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近畿6枠はどうなる?龍谷大平安の優勝で幕を閉じた秋季近畿大会を総括!

2018.11.07

大熱戦が続いた秋の近畿大会を振り返る

近畿6枠はどうなる?龍谷大平安の優勝で幕を閉じた秋季近畿大会を総括! | 高校野球ドットコム
優勝を決めた龍谷大平安

 好カード、好ゲームが続いた平成30年度秋季近畿大会は龍谷大平安の優勝で幕を閉じた。

 龍谷大平安は準決勝の履正社戦以外は全て1点差ゲームと接戦での強さが際立った。それを象徴する試合だったのが決勝の明石商戦だろう。スコアレスで延長12回までもつれた熱戦は表に1点を先制されるも、その裏に二死満塁から多田龍平(2年)の逆転打でサヨナラ勝ちを収めた。

 勝負強いチームにおいて特に勝負強さが際立ったのが主将で4番の水谷祥平(2年)と5番の奥村真大(1年)だ。水谷は16打数9安打1本塁打5打点と大当たり。奥村は準々決勝の市立和歌山戦でサヨナラ打を放った。

 投手陣は1回戦の天理戦で豊田祐輔(2年)が9回途中3失点と試合を作ると、準々決勝以降は野澤秀伍(2年)が25回2/3を投げて自責点1という圧巻の投球を見せた。今後も両左腕で切磋琢磨してほしい。

 準優勝の明石商は準々決勝、準決勝を完封勝利で飾るなど投手力の高さが際立った。最速145㎞のストレートを投げる中森俊介(1年)とキレのあるスライダーを投げる宮口大輝(2年)の2投手が強豪校の打線を苦しめた。

 打線では1番の来田涼斗(1年)が準決勝の智辯和歌山戦で3安打1本塁打を放つなど、1年夏から甲子園の土を踏んだ実力を見せつけた。

 大阪大会を制した履正社はエースの清水大成(2年)が準々決勝の福知山成美戦で完封勝利を飾り、大会屈指の好投手として存在感を示した。

 打線は1回戦と準々決勝の2試合で16得点を奪ったが、準決勝の龍谷大平安戦では完封負けを喫した。個々の能力は高いだけに好投手とぶつかった時の対応力が課題となるだろう。

 智辯和歌山は準々決勝でこれまで敗れ続けた大阪桐蔭にリベンジし、4強まで勝ち進んだ。主将の黒川史陽(2年)を筆頭に昨年からの主力が好守でチームを引っ張った。投手陣が力をつけていけば甲子園でも上位に進出できる力はあるだろう。

[page_break選抜への出場権争いは混戦模様]

選抜への出場権争いは混戦模様

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市立和歌山は選抜出場なるか?

 例年通りならここまでに挙げた上位4チームはよほどのことがない限り、来年のセンバツ出場は濃厚。近畿のセンバツ出場枠は6枠だが、残りの2枠を巡る選考は混迷しそうだ。

 選出される可能性が最も高いのは公立校で龍谷大平安と準々決勝で接戦を繰り広げた市立和歌山だろう。1回戦の近江兄弟社戦で4打数4安打の活躍を見せたリードオフマンの山野雄也(2年)を筆頭に上位打線がよく当たっていた。エース左腕の岩本真之介(1年)も粘りのある投球を見せており、甲子園でも十分に通用するチームだということを印象づけた。

 センバツ3連覇を目指す大阪桐蔭は当落線上といったところだろうか。1回戦の橿原戦では打線が活発だったが、準々決勝の智辯和歌山戦では守備や走塁でミスが出て試合の流れを掴むことができなかった。これから実践経験を積んでチームとしての成熟度を上げていきたいところだ。

 京都大会を1位で通過した福知山成美は準々決勝の履正社戦で完封負けを喫したのがどう響くだろうか。丁寧な投球が光るエースの小橋翔大(2年)は近畿大会でも安定した投球を見せていた。履正社戦では内野と外野に落ちる不運な当たりが多くあったため、守備の連係をより高めていきたい。

 報徳学園はエース左腕の林直人(2年)が近江戦で2失点完投と好投した。準々決勝の明石商戦でも後半まで息詰まる投手戦を見せていたが、3位通過という評価が選考に響くかもしれない。

 1回戦敗退校からセンバツに選出される可能性は極めて低いが、神宮枠を勝ち取ることができれば、わずかにチャンスが回ってくるかもしれない。唯一チャンスがありそうなのは1回戦の龍谷大平安を最後まで追い詰めた天理だろうか。

 前評判の高い近江はエースの林優樹(2年)が1回戦の報徳学園戦で思うような投球ができずに2対5で敗れてしまった今年は3校出場した滋賀県勢だったが、近江兄弟社も1回戦で敗れ、来年のセンバツ出場校輩出はほぼ絶望的となった。

 今大会で唯一の初出場となった京都国際は準優勝した明石商を相手に終盤までリードする健闘を見せたが、8回に守りのミスが出て一気にひっくり返されてしまった。この悔しさをバネにより強い姿を春以降に見せてほしい。

 結果的には出場校で明暗が分かれたが、決勝に進んだ龍谷大平安明石商が初戦で苦戦したように全体的には大きな差はなかったように思われる。試合の流れや一つのプレーで雌雄を決する試合も決して少なくはなかった。各校が今大会での収穫と課題を持ち帰って今後の強化に励んでほしい。

文=馬場遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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