東邦が優勝!そしてフレッシュな顔ぶれもあった秋季東海大会を振り返る!
準決勝で9回大逆転を見せた東邦が、決勝でも快勝して春秋の東海大会を制す
サヨナラで優勝を飾った東邦
前評判の高かった愛知県1位の東邦と岐阜県1位の中京学院大中京の試合が、すべてだったといってもいいだろう。それくらいに、この大会の象徴的な試合だったともいえるものだった。
先攻の中京学院大中京は9回に2点を追加して9対4とした。試合の流れからしても、ほぼ決したかなと思えるものだったが、その裏東邦は下位の長屋君のこの試合2本目となる3ランなどで5点差を追いついた。さらに、延長に入って中京学院大中京が内野ゴロで1点をリードするのだが、その裏に2点を奪い返してのサヨナラ勝ちとなった。東邦との劇的逆転と言えば2年前の甲子園での2回戦、八戸学院光星との試合で同じように9回裏に5点を入れて追いついたどころかひっくり返したという試合があった。スコアも同じ10対9というのも奇縁だ。
これで勢いづいた東邦は、決勝でも津田学園に快勝した。津田学園は大会屈指ともいえる好投手前君を擁して、前川君の3試合連続本塁打などで、強力打線も機能して、初戦で大垣日大に逆転勝ちして勢いづいていた。試合ごとに強くなっている印象を与えていたのだが、その津田学園に対して、前半から攻めまくって快勝。東邦は、今春に続いて東海地区大会を制した。これで2年連続のセンバツもほぼ当確となった。
[page_break:平成最後の甲子園、東邦が魅せるのか]平成最後の甲子園、東邦が魅せるのか
中京学院大中京・不後祐将投手
来春は、平成最後の甲子園ということでセンバツ大会もまた、違った意味でも話題になるであろう。ちなみに、実は平成最初の[stadium]甲子園[/stadium]は1989(平成元)年の第61回大会ということになるのだが、その優勝校はと言うと、東邦である。さらに言えば、昭和最後のセンバツとなった第60回大会では東邦は準優勝を果たしている。ということを振り返ってみると、来春の東邦は、[stadium]甲子園[/stadium]で何か起こしそうに気がしてくるのだ。そして、そのプロローグとも言えそうなのが、この大会の準決勝の大逆転だったということになるのかもしれない。
東邦に逆転された中京学院大中京は、エース不後君の安定感は一番とも言われていたが、準決勝では伊勢湾を横切る強風と鈴鹿おろしが融合した[stadium]四日市霞ケ浦球場[/stadium]独特の風にも悩まされて、やや不運な打球も相次いだのは気の毒だった。
県大会から著しい成長を見せて、1回戦では3連覇を狙う静岡に快勝した中京大中京は、2回戦でも三重県1位の菰野にサヨナラ勝ち。チームとしての成長を感じさせてくれていたのだが、準決勝ではエース板倉君が初回にいきなり3ランを浴びて、調子を上げきれず、失速していってしまったのは残念だった。
東邦、津田学園が来春センバツ出場へ一歩前進
津田学園エース・前佑囲斗投手
今春のセンバツではベスト4に進出した三重と久しぶり出場となった岐阜第一は初戦突破したものの、2回戦で三重は中京院中京に、岐阜第一は東邦に屈した。
静岡勢は、常連の静岡が3位校として進出してきたほか、1位の御殿場西と2位の清水桜が丘とフレッシュな顔ぶれも登場してきたものの、今大会では1つも勝つことなく終わってしまった。それでも、御殿場西は森下監督の提唱していく‟フルスイングベースボール”は、徐々に浸透してきているのではないだろうか。そんな兆しは、少し感じさせてくれた。
いずれにしても、大会結果からは、東邦と津田学園が来春のセンバツ出場をほぼ掴んだと言っていいであろう。また、惜しくも届かなかった各校は、来春へ向けて、この冬のさらなる精進を期待したい。県大会では3位決定戦で23対20という大乱戦の末に進撃を続けてきていた西尾東を下した中部大春日丘は、東海大会ではロースコアゲームを展開したものの、三重に屈した。
文=手束仁