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秋季愛媛県大会展望!「本命不在」大会を制するのはどこだ?

2018.10.06

 10月6日(土)より開幕した「平成30年度秋季四国地区高等学校野球愛媛県大会」。東予地区23校22チーム(連合は西条農今治北大三島)、中予地区20校、南予地区16校13チーム(連合は愛媛津島・南宇和三間三瓶)による地区予選を経て、16校(東予6・中予6・南予4)が参加し、香川県で行われる秋季四国大会出場「3」枠を巡る戦いが繰り広げられる。

 

 はたしてシード校は今治西・聖カタリナ学園・松山聖陵帝京第五の順に決まったものの「本命不在」と目される今大会を制するのは?今回は今年から変更されたシード校決定方法や、惜しくも地区予選敗退に終わった学校の注目選手も紹介しつつ、大会の見どころを探っていきたい。

第1シード・今治西に立ちはだかる「夏甲子園ベスト4」

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芦谷 泰雅(済美)

 まず展望に入る前に9月26日(水)に開催された抽選会で明らかになった新たなシード校選出方法について書き記しておこう。

 昨年までは東予・中予・南予の地区別新人戦優勝校3校に、県大会出場校責任教師全員の投票により選出された1校を加えた4校が今大会のシード権を獲得し、さらに順位設定投票(1位:4点・2位・3点、3位:2点、4位・1点)でシード順位を決めていたが。今年からは地区別新人戦が過密日程も考慮し準決勝以上(南予地区は決勝戦)を開催しなくなったことにより3校の選出方法を変更。県大会出場校の責任教師が地区別に別れ、地区別新人戦で最上位に入った以下のチーム

東予:新居浜西今治北今治西
新居浜商は地区予選で敗退

中予:松山城南、聖カタリナ学園、松山東松山聖陵

南予:帝京第五大洲

のうち、地区別投票で最上位に入った今治西松山聖陵(一次投票では聖カタリナ学園と同数だったため、両校の抽選で決定)、帝京第五がまずシード校に選出。
 以後は昨年までと同じく責任教師16名の投票で8票を集めた聖カタリナ学園が4校目のシードに。そして順位投票により51点を集めた今治西が第1シード。以下、聖カタリナ学園(46点)、松山聖陵(36点)、帝京第五(27点)の順にシード順位が決している。

 かくして旧チームの両輪・村上 滉典(2年・投手・171センチ63キロ・左投左打・西条市立東予東中出身)、澤田 和希(2年主将・一塁手兼投手・176センチ73キロ・右投右打・南国ヤングマリナーズ<高知>出身)。さらに新チームから松山リトルシニア時代に務めた捕手に転じた土居 駿介(2年・173センチ71キロ・右投右打)や思い切りよいプレーに定評がある深川 拓人(2年・中堅手・165センチ70キロ・右投左打・今治中央ボーイズ出身)といった旧チームからのタレント力が認められ、第1シードに推挙された今治西であるが、その道のりはなかなかに険しいものとなりそうだ。

 初戦で対戦する松山東は夏の愛媛大会・[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]で本塁打を放った4番・松野 誠士郎(2年・三塁手・178センチ88キロ・愛媛松山ボーイズ出身)が健在。ここを勝ち抜いたとしても待っているのは夏の甲子園ベスト4・済美新居浜南の勝者である。

 済美は福井国体でもクリーンナップを張った芦谷 泰雅(2年主将・捕手・170センチ75キロ・右投右打・伊予三島リトルシニア出身)と山田 響(1年・左翼手・169センチ70キロ・新居浜ヤングスワローズ出身)ら打線が投手陣をいかに援護できるかが焦点。新居浜南も東予地区予選・新居浜工戦で本塁打を放っている鈴木 大誓(2年主将・遊撃手・173センチ・右投右打・新居浜市立船木中出身)など実力者がそろうが、松山工に苦戦を強いられた反省を糧にできれば、第1シード撃破・2年ぶり四国大会出場も視野に入ってくる。

 なお、これら4チームの勝者と準決勝で対戦するブロックも強豪ぞろい。旧チームからほぼ変わらぬメンバー構成で臨む帝京第五がシードを張るが、初戦は大洲との「南予地区王是決定戦」。最速138キロ右腕・真鍋 魁(2年・右投右打・176センチ66キロ・西条市立西条北中出身)、強肩・宮嶋 海斗(2年主将・捕手・184センチ71キロ・右投右打・西条ボーイズ出身)のバッテリーに加え、野手は昨秋の県大会準優勝・四国大会経験者を多数そろえる西条も、初戦は夏の愛媛大会初戦敗退からの雪辱を期す名門・宇和島東である。

[page_break:「松山市内私学両雄」に名門たちが挑む]

「松山市内私学両雄」に名門たちが挑む

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宇都宮 樹(聖カタリナ学園)

 逆ブロックの注目校はシードの松山聖陵と聖カタリナ学園。「松山市内私学両雄」だ。松山聖陵はセンバツメンバーの大多数が入れ替わったものの、堅実な戦いは継続中。荷川取 秀明監督の期待も大きいエース・根本 大蓮(2年・右投右打・188センチ84キロ・松山市立拓南中出身)リードオフマン・大村 侑希(2年・右翼手・185センチ85キロ・松山市立雄新中出身)ら成長度が、そのまま勝敗に直結しそうである。

 聖カタリナ学園の大黒柱は背番号「10」の最速140キロ右腕・田中 拓磨(2年・178センチ83キロ・右投右打・兵庫尼崎ボーイズ<兵庫>出身)。田中 翔大(2年・遊撃手・172センチ64キロ・右投右打・松山坊っちゃんボーイズ出身)、宇都宮 樹(2年・中堅手・168センチ72キロ・左投左打・伊方町立伊方中出身)、浪花 鈴太郎(2年・二塁手・179センチ68キロ・・右投左打・えひめ港南リトルシニア出身)など、打線には「長打力が付いてきた」(越智 良平監督)だけに、中予地区予選では「軽投」が多かった田中 拓磨のフルスロットルが噛み合えば、春のような「愛媛県大会初制覇」も十二分に考えられる。

 ただ、ここにも名門校が数多く入った。松山聖陵と初戦で当たる松山商は、新田に打ち勝ち、好チーム・内子に競り勝っ中で得た課題を旧チームから主軸を担う大村 玄(2年主将・中堅手・174センチ70キロ・右投右打・松山リトルシニア出身)、佐藤 勇斗(2年・捕手・181センチ82キロ・右投右打・えひめ西リトルシニア出身)を中心に消化できれば、4強に残った夏の愛媛大会再来も夢ではない。

 また、川之江は東予地区代表決定戦では愛媛小松に2点をビハインドはれた延長11回裏に4番・三宅 優貴(2年・一塁手・178センチ75キロ・右投右打・四国中央市立三島東中出身)の3ランで劇的サヨナラ勝ち。八幡浜との初戦を制すると、次に待つのは新居浜西と聖カタリナ学園の勝者だ。

 さらに松山城南の4番・佐久間 和貴(2年・左翼手・170センチ63キロ・右投左打・福山リトルシニア<広島>出身))は高校通算15本塁打を超える県内屈指のスラッガー。昨年は東予地区1年生大会を制するなどチーム力に定評のある今治北との初戦は、隠れた好カードである。

[page_break: 敗れたチームにも楽しみな選手たちが]

敗れたチームにも楽しみな選手たちが

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永居 泰成(小田)

 と、ここまで県大会を展望してみたが、すでに秋は敗れ、2019年春に向けて始動しているチームにも好選手・好チームはいる。

 東予であれば「1番・投手」で新居浜南戦では6打数5安打の丹原藤原 大輝(2年・180センチ67キロ・右投右打・西条市立小松中出身)。中予であれば済美戦で6打数5安打の松山工朝比奈 幸司(2年・遊撃手・169センチ57キロ・右投左打・東温市立重信中出身)に4番にして俊足の愛媛北条・田村 和也(2年・三塁手・166センチ75キロ・右投右打・今治市立大西中出身)。まだ技術的には向上が必要だが、小田永居 泰成(2年・遊撃手・172センチ65キロ・右投右打・内子町立小田中出身)の「一歩目」の鋭さと守備範囲の広さは、県内強豪校と伍してもそん色ないレベルにある。

 また、内子はストレートのキレ味がある4番エース・池田 泰征(2年・174センチ78キロ・右投右打・内子町立内子中出身)、松山商戦で強烈な一発を放った3番・稲積 春樹(2年・二塁手・175センチ75キロ・内子町立大瀬中出身)を中心に春・夏の大躍進が十分望める集団。さらにケガで秋は代打のみの出場となったが、新田大判 球太(2年・中堅手・176センチ72キロ・右投左打・新居浜リトルシニア出身)は、本来ならば愛媛の同世代をけん引するスピードスターである。

 

 そして南予では夏の愛媛大会1勝の野村と愛媛吉田。南予地区大会で野村大洲に代表決定戦で無念のサヨナラ負け、愛媛吉田も大洲農に1点が届かず初戦負けに終わったが、西日本豪雨災害の爪あとがいまだ残る地域に光を灯すためにも、彼らには地域と共生しつつ推進力を高めてもらいたい。

(文=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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