「混戦・香川」を制するのは誰だ!
9月15日(土)に38校37チーム(連合チームは石田・香川笠田が参加)によって開幕した「平成30年度秋季四国地区高等学校野球香川県大会」。15日(土)、16日(日)・17日(月・祝)の3日間で1回戦5試合と2回戦6試合が開催された大会は、9月22日(土)からの3日間で3回戦途中までを消化する予定である。
昨シーズンは秋が英明(センバツ出場)、春が大手前高松、そして夏が丸亀城西とすべて優勝チームが異なった「混戦・香川」を制するのは、はたして誰なのか?ここまでの試合も振り返りつつ、展望を加えていきたい。
気になる「英明・大エース」の動向は?
黒河 竜司(英明)
今大会のシードは例年通り夏の香川大会8強。丸亀城西・高松・観音寺一・英明・観音寺総合・高瀬・高松・三本松を9月3日(月)の組み合わせ抽選時で振り分ける形をとった。が、このシードは旧チームから大きく戦力が入れ替わっている学校が大半のため、参考程度のもの。事実、8校中6校が初戦を戦った現時点で琴平、高瀬、観音寺一、高松が初戦で姿を消している。
そんな中、注目されるのは22日に粘りが身上の丸亀との初戦を迎える英明の動向だ。特にセンバツ出場の立役者でありながら夏の香川大会後、右足かかと付近を骨折し戦列を離れていた最速143キロの「大エース」黒河 竜司(2年・右投右打・180センチ80キロ・高松市立屋島中出身)の復活は必須条件となる。
「先日は済美との練習試合に登板して5回8奪三振。黒河については心配はないと思うが、打線が打てない」と、香川 智彦監督のチーム評が試合を重ねるごとにどのように変化するか。同ブロックには高校通算14本塁打の永尾 斗摩(2年主将・捕手・185センチ87キロ・大阪八尾ボーイズ<大阪>出身)がけん引する尽誠学園がいるなど決して簡単な道のりではないが、7年連続秋季四国大会出場とその先にある2年連続センバツ出場へここは負けられないところだ。
その勝者と準決勝で当たるブロックは高松一との初戦で最速141キロをマークした上杉 輪聖(2年主将・投手・右投右打・168センチ66キロ・さぬき市立長尾中出身)がエースを張る三本松と、初戦で好投手・大西 弘貴(2年・右投右打・180センチ71キロ・香川県立高松北中出身)を攻略し、中塚 公晴(2年・右投右打・172センチ71キロ・高松市立桜町中出身)・香川 卓摩(2年・左投左打・165センチ62キロ・東かがわリトルシニア出身)の両輪も好投した高松商が有力校。両校は勝ち進めば3回戦で激突する。坂出工、小豆島中央などもその間隙を突く力がある。
「津田のダルビッシュ」覚醒へ
吉田 啓人(大手前高松)
逆ブロックはすでにシード4校中3校が初戦敗退。加えて藤井学園寒川の最速145キロ右腕・加茂 優太(2年)も県大会ではベンチ外。混戦度が深まる中、注目度がますます高まっているのが「津田のダルビッシュ」とも称される津田の最速139キロ右腕であるサンドゥ・シャーンタヒル(2年・投手・右投右打・178センチ68キロ・さぬき市立さぬき南中出身)である。
夏の香川大会では高松第一を6安打完封。パキスタンの父と日本人の母の間に生まれたバランスよいフォームから投げ込むストレートには高い将来性を感じさせる。藤井学園寒川・加茂との投げ合いが叶わなかったのは残念だが、彼の覚醒次第では高松工芸、坂出商、四国学院大香川西らを凌駕しての上位進出も十分に考えられるだろう。
このブロックと準決勝で対戦するブロックには夏の香川大会王者・丸亀城西と春の四国大会王者・大手前高松が同居。丸亀城西は甲子園でプレーした藤田 翔希(2年・一塁手・左投左打・165センチ83キロ・三豊市立三野津中出身)や、近藤 勝斗(2年・右翼手・右投左打・168センチ61キロ・多度津町立多度津中出身)がキーマン。大手前高松は継投の先発から「先発完投型」にスタイルを転換した左腕・吉田 啓人(2年・176センチ73キロ・左投左打・高松市立木太中出身)はじめ、投手陣の出来がベスト4進出の命運を左右する。
ちなみに彼らには大きなご褒美もある。香川県高野連が幹事県の四国高等学校野球連盟は今年「四国選抜」を組んで12月25日(火)~31日(月)の日程でオーストラリア遠征を行うことを発表済。4県から5名ずつ(各校1名が原則)計20選手がオーストラリア・クイーンズランド州U-18選抜・ニュージーランドU-18と計5試合を戦うことになっている。
3枠の秋季四国大会切符争いと同時に、秋季四国大会までのタームで誰が豪州行きの切符を獲得するのか?そんな視点で今大会を俯瞰するのも、楽しみ方の1つだ。
(文=寺下友徳)