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スーパーラウンド!速球派揃いの台湾、ディフェンス力の中国にどう戦えばいいのか?

2018.09.07

 いよいよ7日からスーパーラウンドが始まる。日本はチャイニーズタイペイと中国と対戦する。ここでスーパーラウンドの見どころを紹介していきたい。

代表メンバー18名はコチラ!

決勝進出へ向けて打順の組み換えか

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久々に1番・藤原を見ることが出来るか?!

 6日のシート打撃で、日本チームは1番藤原恭大、2番小園海斗という打順を試していた。ここまで永田監督は様々な打順を試してきた。今後も相手を見ながら打順を組んでいくことになりそうだ。果たしてスーパーラウンドでは、シート打撃で試した打順となるのか、それとも違う打順でくるのか。しかし一番大事なのは出塁して、打って返す形ができ、なおかつ集中打を生み出せるかどうかである。

 韓国戦では4番藤原がポイントゲッターではなく、チャンスメーカーとなっていた。チームで一番良い打者と藤原を評価する永田監督からすれば、トップバッターに藤原を任せるのは自然な流れなのかもしれない。となるとカギとなるのはクリーンナップ候補の蛭間拓哉野尻幸輝根尾昂の3人。韓国戦では3人とも速い球に差し込まれており、しっかりとコンタクトできていなかった。スイング自体は悪くないので、140キロ前後の速球をしっかりと打ち返せるポイントをもう一度確認したい。

 また、下位打線はどうなるのか。永田監督は日置航(日大三)を輝かせたい思いで、3試合連続でスタメン出場させたが無安打。苦しい状況が続いている。日置をスタメンに使うのか?それとも峯圭汰(創成館)なのか?注目が集まる。

投手陣は連投・球数制限を気にしながらフル回転の姿勢

 一方、投手陣はフル回転になりそうだ。特に7日のチャイニーズタイペイ戦は絶対に落とせない試合だけに先行してどんどん投手陣をつぎ込んでいきたい。ただフル回転といっても今大会には連投制限・投球数制限がある。決勝進出することを見据えると、韓国戦で登板した投手はどこか1試合休ませないといけない。ここがポイントとなるだろう。

 理想は、チャイニーズタイペイ戦で、香港戦に登板した市川悠太明徳義塾)、公式練習で投げた渡邉勇太朗浦和学院)、山田龍聖高岡商)、奥川恭伸星稜)が投げて、柿木蓮大阪桐蔭)、吉田輝星金足農)を温存して勝つことだ。そして、次の中国戦では野尻、根尾の野手兼任の投手リレーで逃げ切りたいところだ

[page_break:台湾打線は緩急ある左腕がカギか]

台湾打線には緩急をつけれる左腕がカギ

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板川佳矢がカギとなるかもしれない

 これを踏まえて台湾戦の見どころを紹介していきたい。今回の代表選手で、台湾選手と対戦経験があるのは、大阪桐蔭の選手たち。昨年12月、大阪選抜として、台湾の高校と対戦している。登板した柿木は「ヒットエンドランを多用するイメージがあります」と語るように台湾は足を絡めた攻撃を得意とする。

 そのキーマンとなるのが、1番江坤宇。右、左に打ち分けるバットコントロールの良さが光る。江は今年の台湾プロ野球の中信ブラザーズから3位指名を受けた遊撃手で、守備範囲も広く、堅実な守備が持ち味だ。3番で主将の李冠賢も一発を秘めた長打力が持ち味。

 また体格が良く、内角球や縦の変化球にもろさがあるが、甘く入ればスタンドインできるパワーを持っている右の強打者・4番・林逸達や左のスラッガー・5番・邱智呈。そして富邦ガーディアンズからドラフト1位指名された戴培峰は7番打者だが、スイング軌道は無駄がなく、鋭く、長打力もある。インドネシア戦でも本塁打を打っており、要警戒しなければならない打者の一人だ。昨年から台湾代表として出場している郭天信は9番打者ながら、バットコントロールが良く、俊足でいやらしい打者である。

 そんな台湾打線だがチームカラーは日本と似ており、苦手とするタイプは緩急を得意とする左腕だ。実際に5日の中国戦では、130キロ前後の速球、スライダー、カーブを駆使する桑洋に苦しんだ。そうなると板川佳矢横浜)、山田がカギを握るのではないか。

[page_break:台湾は速球派が勢揃い 速球を打ち返すことができるか?]

台湾は速球派が勢揃い 速球を打ち返すことができるか?

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中国戦でも好投を見せた李晨薰は要注意投手の一人だ

 今年の台湾は速球投手が多い。その中でマークしないといけないのが、2人の2年生右腕、陳柏毓と李晨薰だ。陳は今大会は怪我で辞退した古林睿煬(統一)の代役として選出された2年生右腕である。足をクイッと上げてから鋭い腕の振りから繰り出す最速148キロのストレートは威力抜群。コマンド能力も高く、脅威となりそう。李は193センチの長身から145キロ前後の速球をマークする大型右腕だ。日本のマスコミからも注目度が高い李は打倒・日本に燃えており、「全力を尽くしたい」とコメント。また二刀流の林逸達も140キロ後半の速球、キレのあるスライダーを武器にする投手で、リリーフとしてスタンバイしている。

 また日本チームは伝統的に左腕投手を苦手にする傾向が強いので、インドネシア戦で先発した岳政華、中国戦でリリーフした王彥程の登板も予想されそう。特に王は140キロ前半の速球と曲がりが鋭いスライダーを武器にする実戦派左腕で警戒が必要だ。
速球投手が多いだけに速球に振り負けない打撃が求められる。

中国は守備力の高さが持ち味

 中国はU18世代のトップ選手だった153キロ右腕・趙倫(Zhao Lun・ブルワーズ傘下)、強巴仁増(ChangBaRenZeng・レッドソックス傘下)がメンバーに含まれておらず、ドリームメンバーとならなかったが、それでも台湾戦で好投を見せた桑洋、130キロ後半を投げる本格派右腕・伊健と楽しみな投手が多い。

 また張文韜の守備力は必見。日本の高校生遊撃手と比較しても、負けていない。バウンドに合わせるのがうまく、淡々と打球を裁く。投げる側からすれば心強い選手だ。内野、外野の守備を見ていてもかなり鍛えられており、守りのミスから失点することは少ない。圧巻の強さはないが、対戦していてやりづらいチームだろう。ただ、チャイニーズタイペイ、韓国と比べると速球投手がいない。そういう意味ではじっくりと戦えば、後半で突き放す試合ができるのではないだろうか。

 6日の日本チームの練習を見ると、選手たちはしっかりと切り替えて練習に取り組んでいる様子が見られた。1日挟んだことは選手たちにとっては良かったかもしれない。スーパーラウンドのチャイニーズタイペイ、中国の試合では、ここまでの試合では出せなかった潜在能力を発揮することを期待したい。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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