いよいよ3日アジア大会開幕!野手、投手の仕上がり状況を分析!
9月3日、侍ジャパンU18代表はいよいよ香港戦に臨む。8月25日~29日まで東京合宿、30日~2日まで宮崎合宿を行ってきた。ここまで侍ジャパンU18代表はどんな時間を過ごしてきたのか。
国内合宿 実戦は2勝1敗1分け 打線は集中打を見せることができるか
侍ジャパンU18代表の選手たち
侍ジャパンU18代表は本大会まで4試合を行った。
8月27日 侍ジャパンU18代表 3vs2 立教大
8月28日 侍ジャパンU18代表 3vs7 侍ジャパン大学代表
8月29日 侍ジャパンU18代表 4vs4 明治大学
8月31日 侍ジャパンU18代表 4vs2 宮崎県選抜
打線では小園海斗(報徳学園)、藤原恭大(大阪桐蔭)、蛭間拓哉(浦和学院)、野尻幸輝(木更津総合)、根尾昂(大阪桐蔭)、中川卓也(大阪桐蔭)の6人が木製バットに順応している。打線の力強さという点では、2016年のアジア大会のメンバーを上回っている感じだ。2017年の世界大会と比べると長打力が劣る分、足が使える強みがある。
小園は大学代表戦で本塁打、藤原は4試合すべてで安打を記録し、蛭間も宮崎県選抜では痛烈な安打に加え、凡退になった打席でも鋭い打球を連発、野尻は宮崎県選抜では2本の三塁打を放っているように、打球の力強さは金属バットを打った時とほぼ変わらない。根尾は大学代表戦で2安打を放ったようにここ一番の勝負強さは素晴らしい。中川は高い打撃技術で、宮崎県選抜では145キロのストレートを左前安打を放ったように、頼りになる。
ここまで計14得点と、レベルが高い投手相手にしっかりと点数を稼げている。またこの4試合、打順は4通りと固定したオーダーではない。永田監督は「本番を想定したり、打者の状態を見て」と語るように、普段5番を打っている蛭間を打席数を増やすために2番にしたり、大学代表戦まで4番だった藤原を1番にしたり、野尻を5番にしたりといろいろ試している。その中でも永田監督は1番藤原、2番小園の並びに手応えを感じている。
「藤原の1番が最高です。自分も1番藤原、2番小園が一番いいと思っていました。けれど、小園の成長もありますのでばらしていいかと思いました。そもそも藤原は4番ではなく、1番打者タイプだと思うので、勿体ないです。果たして4番はどうなのかと。ただ、1番藤原、2番小園なら得点力は上がると思います。威圧感を並べるもの手かと思います。」
ここまで代表の攻撃を振り返ると少ないチャンスをものにする攻撃はみられるが、集中打がない。木製バットに対応できている6人が台湾、韓国の強豪国相手に集中打で一気に点数をたたき出すことが大事となる。理想としては藤原、小園のコンビで畳みかけ、3番~5番がどれだけ機能するかである。
また、渋いヒットを見せている小泉航平(大阪桐蔭)、高い意識で木製バットに対応しようとしている峯圭汰、二塁手として機敏な守備を披露し、芯でとらえれば鋭い打球を見せる奈良間大己(常葉大菊川)、控えに回っている根来龍真、日置航も本来の持ち味を発揮すれば破壊力は増すだろう。
最終日の公開練習では多くの選手が快音を響かせた。特に日置はコーチとしてベンチ入りしている小針監督(作新学院)の指導を受け、最終日の練習ではこれまでなかった長打性の打球を連発。「木製バットに慣れてきた」と手応えを感じている。
「相手国を見ながら打線を組んでいきたい」と話す永田監督。本番へ向けて最善のオーダーを組み、爆発を期待したい。
[page_break:投手陣の仕上がりは良好 先発構成はギリギリで決断]投手陣の仕上がりは良好 先発構成はギリギリまで決断
吉田輝星
投手陣考察コラムでは吉田輝星に負担をかけないというテーマで公開したが、その通りの構成となっている。吉田は首脳陣の計らいで、合宿当初は完全別メニューで調整。宮崎県選抜の試合では最速149キロのストレートを軸に三者凡退。吉田は「常時150キロ近くでているので、状態はかなり良い」と語るように、エースが万全の状態で仕上がってきたのは朗報である。
気になるのは先発起用である。永田監督は先発投手については明言しなかったが、ギリギリまで考え、決めていくことになりそうだ。また、今大会は球数制限がある。どういうルールになっているのか。もう一度整理したい。
【球数】
1~49球:制限なし
50~104球:1日休み
105球(上限):4日休み
【連投】
2日連続登板
・球数が2日間で計50球を下回る:翌日も連投可能
・球数が2日間で計50球を超える:1日休み
3日連続登板:1日休み
4日連続登板:不可
永田監督はこれまでの試合でも球数制限を気を付けながら投げてきた。永田監督は「完投したら、105球以上。その投手は今大会使えないことになるので」とすべての試合で継投策を示唆。今回のルールは永田監督にとっても頭を悩ませている。
「今までの2回の国際大会ではなかったので、悩みです。野球の根本が変わりますから。けどこれは相手国も悩みだと思います。しっかりスタッフで現在、考えています」
とはいえ、今回の球数制限は投手の肩、ひじを守るためには大事なルール。永田監督をはじめとした今大会の首脳陣がどう運用するのか。次回以降、国際大会を受け持つ首脳陣のためにもベターな運用法を示し、財産としたい。
永田監督がキーにあげていたのが、野手兼任の野尻幸輝、根尾昂の2人だ。2人の存在について永田監督は「大きな助けになる」と期待をしている。どのタイミングで使うのかも重要で、できるだけ主力投手の負担を軽減させたい。
今年のチームは結束力が高く、自主性も高い。永田監督は「主将の中川が自主性が高く、自ら選手ミーティングをしている」というように、常にコミュニケーションをとりながら、結束を高めている。中川は「大阪桐蔭にいたときは、365日あっても難しいチーム作りでしたが、今回は即席でやらないといけないことが難しい」と話すも、「自主性があって頼もしい」と永田監督が太鼓判を押す。
また、永田監督は選手の健康状態や気持ちの部分を確かめるために野球日誌も始めた。1ページきっちりしっかりと書く選手もいれば、数行で終わる選手もいるとか。
こうして本番へ向けて、勝てるチームになるために少しずつ1つにまとめている侍ジャパンU18代表。充実の合宿を終えて、いよいよ本大会に臨む。
(文=河嶋 宗一)