目次

[1]香川県:「全国で勝つ」戦術幅を創るために
[2]愛媛県:済美ベスト4の「方法論」を次のステップへ

 第90回記念のセンバツ、第100回記念の選手権と「メモリアルな一年」だった2017~2018年シーズンの高校野球も福井国体のみ。ほとんどの学校は新たな100年への助走に入った。そこで今回は四国地区の4県について、2編に分けてその軌跡と次への提言を紹介したい。

 前編は残念ながら春の英明、夏の丸亀城西が共に甲子園初戦敗退に終わった香川県と、センバツの松山聖陵・初戦敗退から夏は済美がベスト4にまで駆け上がった愛媛県を取り上げる。

香川県:「全国で勝つ」戦術幅を創るために


水野達稀(丸亀城西)

 夏の香川大会をノーシードから制し、14年ぶり5度目の甲子園へと足を踏み入れた丸亀城西だが、結果は日南学園(宮崎)の前に0対2で敗戦。大前 輝明(3年)の好投は光ったものの、ノーヒットに終わった1番・水野 達稀(3年・遊撃手)をはじめ、打線が攻略の糸口をつかめぬまま試合を終えてしまった。

 これで香川県勢はセンバツの英明に続く甲子園2大会連続初戦敗退。結果的には黒河 竜司(2年)が11奪三振の力投も、國學院栃木(栃木)の継投に打線があと一歩届かず2対3で敗れた英明が残した「守備から入る野球が崩れた際の第2案を持ち合わせていなかった」春の課題を持ち越し、丸亀城西も同じ轍を踏んでしまった印象が強い。 

 一方で、2016年に小豆島を21世紀枠センバツ出場に導いた杉吉 勇輝監督率いる高瀬の27年ぶりベスト8。琴平は36年ぶりベスト8。
 さらに観音寺一がベスト4、高松は84年ぶりの夏甲子園に王手をかけるなど、各々のスタイルを磨いた学校が躍進を果たした香川大会は例年以上の観客が詰めかる大盛況。
 高校野球に対する周囲の理解度・協力度は2016年・高松商のセンバツ準優勝以来定着傾向にある。

 加えて春秋2度の招待試合開催など、県高野連は県勢の実力強化に様々な策を打っているだけに、学校側がそれらの経験を「自ら動く」「戦術幅を広げる」材料にしなければあまりにもったいない。

 前記の流れの中で生まれた昨夏・三本松の8強を「歴史的」の3文字で終わらせてはならない。秋以降も混戦が予想される県内での競り合いを戦術幅の創成につなげるために。各校に求められるのは「全国で勝つ」の意識・練習・試合サイクルの熟成である。