激戦が予想される秋季長野県大会地区予選会を展望!【大会展望】
秋季長野県大会の地区予選会は8月31日、一部地区から順次開幕していく。夏の大会で下級生を中心にした布陣で準優勝した上田西が一歩リードした感もある。しかし県内全般に好投手が少ないだけに、混戦が予想される。秋は地区上位6校が県大会へ、さらに県大会上位3校が北信越大会に進める。比較的各出場枠が広いだけに、勝ち上がっていくことで予想以上のスピードでチームが進化していくことも考えられる。
地区ごとに展望していく。
【北信地区】
長野日大 栗木将太
長野西、飯山、長野日大、長野商業が予備戦でシード権を取った。ここで中心となりそうなのが長野商。夏は初戦で上田西に敗れたものの、捕手や三遊間など主要なポジションでスタメンを張った2年生が数多く残った。夏は直前の故障でベンチを外れた2年生の竹元悠斗が復調しており、制球のいい安定した投球で試合を作れるのは心強い。
隣のブロックに入った長野日大は、エース格の栗木将太ら1年生世代に注目が集まるが前チームからの正ショート宮本靖宝ら2年生が意地を見せている。有馬寿哉ら足のある選手も多く、バランスが取れている。
飯山はほぼメンバーが一新したが、打撃好調でシード権を確保。夏の大会3回戦、連覇を狙う松商学園を相手に好投した大型左腕岡田恵太はボールに力があり、投手陣の軸になりそう。長野商と長野日大の反対の山に入ったシード長野西は総力戦で臨む。
このほか、長野西に予備戦で敗れたが好投手大澤優人擁する長野俊英、さらに長野、長野工業といった力のあるチームが、シード校の下ヤマに入る厳しい組み合わせとなった。
春、夏の大会ともベスト8に一校も残れなかった北信勢。ここで巻き返しを図りたい。
【東信地区】
佐久長聖 北畑玲央
上田西、野沢北、小海、小諸商業がシード校。夏の甲子園帰りで予備戦に参加しなかった佐久長聖は、野沢北のブロックに入った。最近は佐久長聖、上田西、小諸商の3強時代ともいえる状態だったが、小諸商は主力の上級生が多く抜け、戦力ダウンは否めない。上田西と佐久長聖が抜けた存在だが、順当なら両校は準決勝で当たる。つまり両校の地区1、2位通過はないため、県大会の組み合わせで他地区の上位通過チームにとってもその動向が気になる。
上田西は1番右翼手、3番捕手、5番二塁手、7番遊撃手、8番三塁手の夏準優勝メンバーが残った。スラッガータイプはいないが、機動力が使え、守りの要所が固まっているのが大きい。ただ投手陣は、夏ベンチ入りの宮尾優豪と竹花晧平、阿部巧が中心になるが、絶対的なエースは不在。打線でカバーしながら、投手陣の成長を待つことになる。
佐久長聖はスタメン総入れ替えの状態。ただ甲子園でも好投した2年生北畑玲央、ボーイズ日本代表に選ばれた1年生左腕梅野峻介が投手の柱になる。捕手と内野手に夏のベンチ入りメンバーやこれまでの公式戦出場者らがいるため、ある程度計算できるディフェンス陣は組めそう。しかし前チームのような強力打線とはいかないだけに、この秋は守備から勝機を伺うことになる。
シード野沢北は窪田岳と加々美航成の2年生左腕が引っ張り、小諸商は夏スタメンの野手2人を中心に複数の投手で臨むことになる。シード小海は、夏3年生が3人だったこともあり2年生エースはじめ多くの下級生が経験を積んだ。
シードを逃したが、夏37年ぶりに16強入りした小諸も2年生が充実した学年で、地区初戦は、予備戦で2対3で敗れたシード野沢北と再び対戦することになる。
【中信地区】
松商学園 山本健斗
シード校は松商学園、東京都市大塩尻、松本国際、松本県ヶ丘。近年常に上位争いに絡んできた公立の松本深志は、140キロ右腕の小林綾・小林絃ツインズが引退となりやや小粒に。私立優位の情勢が強まっている。
中でも松商学園がややリード。前チームの3番山本健斗(遊撃手)と4番伴在汰文(一塁手)は健在。絶対エースは不在だが、夏もベンチ入りした183センチ右腕鈴木健介、春に公式戦経験のある右の塚本強矢、左の堀翔太郎など力のある投手がそろう。県大会でも上位争いに絡む力を備えると言っていい。
このほか私立の都市大塩尻、松本国際、さらにノーシードの松本第一は、夏から大幅にメンバーが入れ替わったため、試合を重ねながら陣容を見極めていく状況。昨秋の県優勝校、日本ウェルネス筑北もスタメンが全員入れ替わり、初戦を突破すると2回戦で松商と対戦することになる。
この私立勢にシードの松本県ヶ丘、ノーシードでは松本深志や田川、松本工などがいかに割って入れるか。
【南信地区】
岡谷南 飯田武尊
赤穂、東海大諏訪、岡谷南、松川がシード校になった。中でも、夏ベスト4の岡谷南、東海大諏訪は前チームの主力が多く残り、上位争いの軸になってくる。
岡谷南は左腕飯田武尊と小池龍のバッテリーが健在。夏は4番の五味音央や三遊間、センターも2年生レギュラーだったため、スムーズに新チームに移行できている。東海大諏訪も夏の4番寺嶋太陽(一塁手)、5番五味雅翔(捕手)の中軸のほか、二遊間も2年生。投手陣は清水絢斗や山田竜成らこれまで公式戦経験のある複数の投手がそろい、ある程度試合をつくっていけそうだ。両校は地区予選はもとより、県大会でも上位争いに絡んでいきたいところだ。
この2校を追うのがシードの赤穂、松川、さらに組み合わせ的には初戦で対戦する上伊那農と長野飯田、高遠や岡谷工、飯田OIDE長姫などが県大会出場枠争いに絡んでくると思われるが、大きな力の差はないだけにかなりの混戦が予想される。
文=小池剛