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高校野球ドットコムが選ぶ侍ジャパンU18代表 今年のテーマは「冒険」

2018.08.19

高校野球ドットコムが選ぶ侍ジャパンU18代表 今年のテーマは「冒険」 | 高校野球ドットコム

高校野球ドットコムが選ぶ侍ジャパンU18代表 今年のテーマは「冒険」

 9月3日から9日までの間、宮崎市で開催される「第12回BFA U18アジア野球選手権大会」。そのメンバーが甲子園の決勝戦後に発表される。昨年、大好評だった高校野球ドットコムが選ぶ侍ジャパンU18代表を今年も実施したい。

 まず主張したいのは、選ばれるメンバーを予想するのではなく、「今年のアジア制覇且つ来年の世界大会」を見据えて勝てる可能性が高いメンバーを選出している。21日に発表されるメンバーとは、大きく異なっているかもしれない。

 今回のテーマは「冒険」。2017年の世界選手権日本戦、そしてアメリカ、韓国、キューバなどの強豪国を見てきて、アジア選手権から世界を見据えた代表選出をさせていただいた。

投手は8人中6人がマックス150キロ以上 速球派ぞろいの布陣

 まず投手は「スピードがあって球威がある」投手を選出した。去年優勝したアメリカ、準優勝の韓国の投手を見てきて思ったのは球威がある投手を揃えていること。145キロ前後のストレートは木製バットを握り始めたばかりの日本の打者たちには太刀打ちができなかった。対する日本の投手は140キロ前半でも、キレ型の投手が多く、日本では空振りを奪えるストレートでも、アメリカ、韓国などのパワー自慢の打者はあっさりと遠くへ打ち返してしまう。去年の代表で力で押し込むことができたのは三浦銀二だけだった。

 今回はストレートのスピード、威力があり、且つ変化球、コントロールも平均以上の投手を選出すると、マックス150キロを計測したことがある投手は8人中、6人という顔ぶれになった。

【投手】8名

柿木蓮大阪桐蔭
吉田輝星金足農
西純矢創志学園)2年
山田龍聖高岡商
佐々木 朗希大船渡)2年
奥川 恭伸星稜)2年
引地秀一郎倉敷商
渡邉勇太郎浦和学院

 まず柿木蓮は春から成長を示し、コンスタントに140キロ中盤~140キロ後半のストレートを投げられるまでになった。スライダー、フォークの精度も高まり、クローザーとしても140キロ後半を投げる。どちらでも対応ができる投手だが、間隔をあけないとガタッと平均球速が落ちる傾向にあり、個人的には先発向きだと考えている。

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吉田輝星(金足農)

 今大会、快投を見せ、[stadium]甲子園[/stadium]のファンの心をがっしりつかんでいる吉田輝星はぜひとも入れたい投手だ。トップギアに入ったときの速球の勢い、走者時の投球の粘り強さなど投手として必要なものが備わっている。ただ秋田大会、[stadium]甲子園[/stadium]を通じて球数が多い。起用法はリリーフ、先発としてもかなり間隔を開けさせていきたい。

 西純矢は、2年生ながらトップクラスの投球術を持つ投手。最速150キロのストレートと落差抜群の変化球のコンビネーションは完成度が高い一方、まだまだ伸びる奥行きを持っている。来年の世界大会のエース候補であり、いろいろ学びながら、精神的にも大人になってほしい選手だ。

 そして山田龍聖。今年は左腕をどの投手にするのかで最も悩んだ。というのも今年の左腕投手はあまり目立ったパフォーマンスを見せていない。そんな中、大阪桐蔭戦で二けた奪三振を記録した山田を選んだ。左オーバーから角度のある140キロ台のストレート、落差ある鋭い変化球は苦労しそう。国際大会は外が広めなので、コーナーを幅広く使う山田にとっては追い風だ。

 154キロ右腕・佐々木 朗希も必要な投手だろう。今年は150キロ越えの投手が[stadium]甲子園[/stadium]に多くいたが、思わず打者を圧倒するような破壊力満点のストレートは素晴らしく、アメリカ、中南米の逸材たちに負けていない素質を持った投手であろう。高速スライダーの切れも素晴らしい。佐々木はチームでセンターも務めており、外野手として起用するプランも考えている。

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佐々木 朗希(大船渡)

 奥川 恭伸もステップ幅が狭いフォームから繰り出す140キロ後半の速球、多彩な変化球を操る実戦派右腕。まだ[stadium]甲子園[/stadium]のピッチングを見ると、すべてを引き出しきれていないように感じる。今回の国際大会でより進化した奥川が見られるかもしれない。より良いものを吸収してくれるだろう。

 引地秀一郎は、2018年の高校生右腕ではトップクラス。上半身を鋭く回旋させて繰り出す150キロ前後の速球は長打を打たれにくい球質で、木製バットになると、なお引地の速球の威力を実感することになると思う。変化球を見てもスライダー、フォーク、カーブの精度が増し、実戦力が増した。

 渡邉勇太郎は甲子園で最速149キロを連発し、キレのあるスライダー、ツーシーム。フォークを投げ分け、大阪桐蔭戦まで無失点投球。150キロを出していないが、実力的には今回の投手陣では一、二を争うものがある。

 今回の8人で6試合を回せるだけの余裕はある。

[page_break:野手選考は打力優先で選出]

野手選考は打力優先で選出

【捕手】2名

田宮 裕涼成田
有馬諒近江)2年

 3年生の中でどの選手を選ぶのか、まず最低基準となる守備力、打撃力が備わっており、そして夏の成績を見て、決めようと考えた。その中で最も気になったのが成田田宮 裕涼だ。東千葉大会では、21打数11安打、2本塁打12打点、打率.524の高打率を残した。スローイングタイム1.9秒台の強肩、感性が優れており、相手の虚をつくけん制送球、セーフティバントもできていて、また明るい人柄をチームを引っ張ることができる。リードセンスも優れており、相手の狙い球を外すのが上手い。細やかな気配りは素晴らしく、速球投手揃いの投手たちの持ち味を引き出してくれそうだ。また昨冬は千葉県選抜に選ばれ、主将を経験していることもリストアップした要因となった。

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田宮 裕涼(成田)

 もう1人は3年生ではなく、2年生の有馬諒にした。4本の矢と呼ばれる近江投手陣を引っ張り、持ち味を引き出した好リード。たびたびさす二塁けん制。そしてパンチ力ある打撃と代表に選ばれるに相応しい選手だった。また有馬を選んだのは来年のワールドカップを見据えてのものでもある。台湾、韓国は世界大会を見据えてアジア大会から2年生を選出する傾向にあり、実際に韓国は2年生から試合に出場していたカン・ベッコが3年生になり活躍を見せて、準優勝に貢献した。

 今回、扇の要である捕手というポジションに選ばれるべき2年生がいれば、選ぶべきというのが持論である。有馬は来年の世界大会のための選出である。

【内野手】6名

野村佑希花咲徳栄
小園海斗報徳学園
大阪桐蔭山田健太大阪桐蔭
根尾昂大阪桐蔭
北村恵吾近江
野村大樹早稲田実業

 今回悩んだのが、例年に多い二遊間の選手を多めに選び、どこでも対応できる選手を選出するのか、それともDH専用の打者を選んでおくということだ。なぜ後者の話をしたかというと、昨年の世界大会で、古賀悠斗福岡大大濠)が先発マスクをかぶり、中村奨成(広島広陵)がDHでスタメンで、控え捕手が0という事態があったのだ。不測の事態に備え、控え捕手は1人スタンバイさせるのは鉄則。捕手をDHでスタメンをさせないため、今回は打力優先でメンバーを選んだ。

 ショートストップで小園海斗は文句なし。去年の世界大会を経験した経験から走攻守すべてにおいてパワーアップした。

 野村佑希は2試合連続本塁打を放っているように、パワー、技術ともに今年の一塁手ではトップクラス。また、一塁、三塁、外野を守れる点もプラスだった。

 大阪桐蔭山田健太は、今年のセカンドで最もバランスがとれている。木製バットの対応力の高さでは山田が一番と考え、選んだ。またセカンド以外にもサード、ファーストを守れる点も買いである。

 野村大樹は今年、最も長打力、巧打力が優れた内野手として必要な選手。[stadium]甲子園[/stadium]の活躍はインパクトがあるため、想像以上に選手の評価が高騰しやすいが、冷静に見て野村大樹以上のスラッガーは見当たらなかった。木製バットにすぐ対応できる技術は備わっており、必要な人材だといえる。

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野村大樹(早稲田実)

 根尾昂は遊撃手としては素晴らしい能力を持った選手。ただ、小園という素晴らしい遊撃手がいるので、起用するならば外野手ということになる。体幹をうまく使ったフルスイングは木製バットでもうまくコンタクトできるようになると、凄い打球を飛ばしそう。また、状況によってもリリーフとして控える。

 北村恵吾は今年の甲子園で17打数9安打、2本塁打12打点の大活躍。変化球、速球を打ち分ける打撃技術の高さは素晴らしく、ここぞという場面で打てる勝負強さも必見。DH枠としてどの選手を起用するかといえば北村だった。

【外野手】2名

藤原恭大大阪桐蔭
蛭間拓哉浦和学院

 外野手は兼任できる選手が多いため2人にした。藤原恭大は走攻守文句なし。膝をうまく使い、体幹をうまく使ったフルスイングは魅力的で、去年の世界大会の対応力を見れば、今年はさらなる活躍が期待できそうだ。

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藤原恭大(大阪桐蔭)

 蛭間拓哉は藤原に負けない総合力の高さを持った外野手。下半身をしっかりとつかったスイングを見ると、木製バットにも対応できる技術は備わっていそうだ。

[page_break:ドットコム選出のスタメンはこれだ!]

ドットコム選出のスタメンはこれだ!

 今回のメンバーだとスタメンは以下のようになる。

1番ショート・小園海斗
2番レフト・蛭間拓哉
3番センター・藤原恭大
4番サード・野村大樹
5番ライト・根尾昂
6番ファースト・野村佑希
7番セカンド・大阪桐蔭山田健太
8番DH・北村恵吾
9番キャッチャー・田宮 裕涼

 今のところ1番~9番まで隙の無いオーダーである。9番田宮のところに、有馬を出場させて経験させる手段もあるだろう。

 さて、決勝戦後に発表される18名はどの選手になるのか。是非心待ちにしていただきたい。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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