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東西ともに熱戦が繰り広げられた、愛知100回目の夏を振り返る!

2018.08.09

危険な暑さの中で争った東愛知の代表枠

東西ともに熱戦が繰り広げられた、愛知100回目の夏を振り返る! | 高校野球ドットコム
愛知産大三河

 愛知大会のメイン球場となった[stadium]岡崎市民球場[/stadium]のある岡崎市では、今年になって何度も報じられている「危険な暑さ」となっていた。スタンドは最高温度45℃を示したという。その対策として、スタンドやベンチには扇風機を増設し、外野席にも日よけ用のテントを張った。さらには、準決勝の開始時間は一時間繰り上げて午前9時からと、少しでも気温上昇しない時間帯に試合をこなしていこうという対応をした。また、準決勝以降は東大会と西大会が1日交替だったのを準決勝と決勝の間に1日休養日を設けて、中2日とするなどの対策がとられた。

 そうしたスケジュールの中、東西の三河地区と知多地区の東大会では、「30校くらいにチャンスがある混戦状態」という予想だったが、候補の筆頭に押されていたのが豊川だった。その豊川に対して準決勝で対戦した西尾東は4回に逆転すると、その後も細かく得点して最後は一気に爆発して相手ミスもあってコールド勝ち。寺澤康明監督は、「ウチがコールド勝ちなんていうのは、まったく想定外です。その逆ならば、いくらでも想定できたのですが…」と興奮気味だった。しかし、準々決勝でも昨夏のベスト4の豊橋中央に快勝していた。春季大会は地区予選で敗退からのチーム再建だっただけに見事と言っていい。

 それにしても、西尾東は12年、16年とベスト4、そしてこの夏初の決勝進出と躍進著しい。記念大会でチャンスが増えた西三河勢は、この西尾東に限らず安城、好投手の横田君を擁していた豊田工、刈谷などの公立勢も、私学の愛産大三河も「今年は千載一遇のチャンス」と甲子園を狙ってきていた。最終的にそれを実現したのは愛産大三河だったが、やはり投手力でエース松原絃介君が防御率でも1点に満たない数字で安定していたのと、上田希由翔君、櫻井仁生君らの中軸を任された2年生が櫻井春生監督の起用に応えたのが大きかった。

 8強には西尾東のほか公立勢では刈谷安城半田が残った。また、知多勢としては日本福祉大附もベスト8に躍進したのは見事だった。その一方で、8強を前に10年前の代表校大府豊川に序盤でペースに乗り切れず、大敗してしまった。

[page_break西愛知は順当といえる8強が接戦を演じた]

西愛知は順当といえる8強が接戦を演じた

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愛工大名電

 名古屋市内勢を含む西愛知大会は、ベスト8に私学4強と至学館愛知とほぼ下馬評通りの学校名が並んだ。これに日進西天白という顔ぶれだった。天白は4回戦で春季県大会優勝のを下しており、日進西も2回戦でシード校の愛知啓成を下した勢いでの進出でもあり、順当と言えば順当ともいえる8強となった。

 愛知県の場合、夏はベスト8の段階で再度抽選という形になるのだが、西大会は準々決勝でも私学4強同士の対戦が実現しなかった。そんな中で最大の注目カードとなったのが昨夏の代表校中京大中京と昨春のセンバツ出場校の至学館との対決だった。ここまで安定した形で戦ってきていた至学館が、序盤からリードして中京大中京の反撃を抑えた。春季大会で西春にコールド負けした中京大中京は、その後に建て直したものの、至学館の元気に屈した印象でもある。この段階で最も勢いを感じさせた至学館だったが、準決勝の東邦戦では得意の機動力を生かそうとしかけた段階で2度、守備妨害を取られるなどでリズムを崩したのが、やや悔やまれる敗戦にもなってしまった。

 決勝は今春のセンバツ出場の東邦と、春季県大会は2回戦で敗れてノーシードで挑むこととなった愛工大名電となった。愛工大名電享栄に延長の末勝利し、春季大会の雪辱を果たして決勝進出。大会を通じて調子を上げて打順も3番に上がった稲生賢二君が2本の本塁打を放ち、5回から室田祥吾君をリリーフした秋山凌祐君が猛打東邦打線を抑えて5年ぶり12回目の夏の出場を掴んだ。

 愛工大名電の戦いは、2回戦では星城に7回まで4点リードされながら、永井翔君の満塁本塁打などで逆転。4回戦も愛知大成と両軍37安打の乱戦の末に9回に2点を奪い16対14で何とか逃げ切り。準々決勝でも天白にリードされ9回二死から西脇大晴君の同点本塁打で追いつき、延長11回に勝ち越し。そして準決勝は享栄に4点リードを8、9回で追いつかれながらも10回に突き離すという苦戦の連続だった。苦しみながらも、チームは粘りと力を示していき、決勝ではほぼベストゲームで制した戦いは見事だった。

 第1回大会から地区大会に参加し続けている東大会の時習館は期待されたがシード校の強豪愛知桜丘に屈した。その愛知桜丘を1対0で下した半田の戦いも見事だった。準々決勝ではその半田刈谷という愛知七中と八中の伝統を汲む対決も実現して話題となった。また、西大会では愛知旭丘が100回目の地区大会を戦いベスト8前の4回戦で東邦に敗退したが3つ勝って存在を示したのも、100回記念大会を飾る活躍と評価されていいだろう。

文=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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