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第100回記念大会の組み合わせ決定 大阪桐蔭、智辯和歌山の戦いの行方は?

2018.08.05

 8月5日から開幕する第100回全国高等学校野球選手権記念大会。史上最多の56校が登場する今大会は全国各地で精鋭が集結した。そんな今大会の見どころを紹介したい。

大阪桐蔭のブロックには旭川大高、高岡商など好投手擁するチームが集う

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作新学院 高山陽成と大阪桐蔭 根尾昂

 史上初の2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭(北大阪)は2日目の第2試合に登場。初戦で作新学院(栃木)と対戦する。大阪桐蔭は春以降、さらに隙がなく、強いチームになるべくかなりハードな練習試合をこなしてきた。春季近畿大会の翌日に日体大との練習試合、そして愛知遠征、香川遠征とタイトなスケジュールを乗り越え、選手は一段とたくましくなり、北大阪大会では圧倒的な大差で勝ち上がった。

 大阪桐蔭の強さを象徴したのが北大阪大会の準決勝・履正社戦だ。

 9回二死まで3対4と1点ビハインドの状況から4者連続四球で追いつき、6番・大阪桐蔭山田健太の適時打で勝ち越しに成功。苦戦を制し、その勢いで決勝の大阪学院大高戦で23得点を挙げ、四季連続の甲子園出場を決めた。

 投手陣ではエース・柿木蓮、二刀流・根尾 昂の状態は仕上がっており、チーム打率.446、8本塁打、70得点を記録した攻撃力は全国トップクラス。個人の能力の高さが注目されるが、失点を防ぐ守備力、投球も見逃せない。今年に入ってから3度対決した智辯和歌山の高嶋監督も「打ったと思った当たりをみんな捕ることができる。またバッテリーの頭が切れていて、うちなんか、打ったろって思ってるから、そのボール球を打つんですよ。その辺の心理を掴みながら投げるのがうまいんです」と舌を巻くほど。そんなチームを作るために西谷浩一監督は「今年の選手は1年秋から経験した選手が多く、2017年は春秋の甲子園、国体、春秋の近畿大会、神宮、そして大阪代表として台湾遠征とどこよりも濃密な経験をしてきました。その経験を生かしてほしい」と語っていたが、ここまで厳しい試合を制しているのを見ると、その経験を十分に生かしているといえる。さて投打で圧倒した北大阪大会の戦いを甲子園でも持続できるか。

 対する作新学院は8年連続の甲子園出場。公式戦6試合で7本塁打を記録した強打が持ち味。全国レベルで見ると、投手力に不安があり、打ち合いに持っていきたいところだ。

 大阪桐蔭の同ブロックには、初出場の沖学園(南福岡)、プロ注目の好投手・沼田翔平擁する旭川大高(北北海道)、最速148キロ左腕・山田 龍聖擁する高岡商(富山)、10年ぶりの出場となった佐賀商(佐賀)にも145キロ右腕・木村颯太と、投手力が高いチームが多いのが特徴だ。

[page_break:智辯和歌山はいきなり近畿のライバル・近江と対戦]

智辯和歌山はいきなり近畿のライバル・近江と対戦

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近江の金城登耶と智辯和歌山の林晃汰

 選抜準優勝の智辯和歌山(和歌山)は近畿地区の強豪・近江(滋賀)と対戦。プロ注目の林 晃汰など大型打者を揃える智弁和歌山とはいえ、左腕・金城登耶、147キロ右腕・佐合大輔など好投手4人を揃え、滋賀大会でチーム打率.410を記録している巧打は智辯和歌山にとって脅威となるだろう。だが、大阪桐蔭を打ち破るために努力を重ねてきた智辯和歌山にとって、超えなければならない壁である。主将の文元は大阪桐蔭に勝つために、普段の生活、野球に取り組む姿勢を見直し、チームミーティングの回数を増やし、結束を固めてきた。和歌山大会決勝の市立和歌山戦では先制を許し、9回表に同点を許しながらも、サヨナラ勝ちをして優勝を決めたように、接戦でも勝てる実力は身についている。

 同ブロックには健大高崎を破って3年連続の出場を決めた前橋育英(群馬)、静岡大会で打率.818と驚異的な打率を記録した奈良間大己を軸とした強力打線が持ち味の常葉大菊川(静岡)も怖い存在だ。智辯和歌山と同ブロックには打撃力が高いチームが多いため、選抜同様、打ち勝つ野球が求められそうだ。

 他のブロックを見ると、夏2連覇を目指す花咲徳栄(北埼玉)は、鳴門(徳島)と対戦。その勝者は横浜(南神奈川)vs愛産大三河(東愛知)と注目のカードになりそう。連覇を狙う花咲徳栄のキーマンはエースで4番の野村佑希だ。高校通算56本塁打を誇る野村だが、投手としても5試合に登板し、31イニングで4失点と安定感抜群の内容。野村は投手としても150キロ、打者としては高校通算60本塁打を目指しているが、この甲子園で2つの目標を達成することができるか注目だ。

 花咲徳栄と同じブロックには、今大会ナンバーワン右腕として評判が高い吉田輝星擁する金足農(秋田)が登場する。

 超高校級のショート・小園海斗擁する報徳学園(東愛知)は12年連続出場の聖光学院(福島)と対戦。また同ブロックの昨夏準優勝の広陵(広島)は二松学舎大付(東東京)と。5年ぶり出場の浦和学院(南埼玉)は、5年前と同じく仙台育英(宮城)と初戦で対戦と、名門校同士の対戦がいきなり実現。5年前、春夏連覇を目指した浦和学院は、初戦で仙台育英に敗れ、その夢が絶たれたが、いきなりその再戦が実現する因縁深いカードとなり、高校野球ファン必見だ。

 また甲子園100勝を目指す龍谷大平安(京都)は、鳥取城北(鳥取)と対戦する。

 今大会は実力校が多く散らばったが、ベスト8に進むまでに実力校のつぶし合いが多く、2回戦~3回戦はハイレベルな戦いが期待できそうだ。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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