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優勝するのはどこなのか?実力が拮抗してい南埼玉の大会展望を分析!

2018.07.06

 100回記念大会ということで今年の埼玉からは2校が出場する。その組み合わせが決まった。本命はあくまで北埼玉が昨夏の全国覇者・花咲徳栄、南埼玉が浦和学院と今年もこの二強という構図だが、何があるかわからない夏の大会だ。今年の南・北埼玉大会出場校をこの二強を中心に考えていきたい。

浦和学院と埼玉栄の現在の戦力

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南埼玉 注目の2校

 南埼玉大会も今春の県大会優勝校であるAシード浦和学院が中心であることに間違いはない。だが、北埼玉大会での花咲徳栄のような絶対的な存在ではなく、不確定要素が多いのが現状の浦和学院だ。

 というのも、浦和学院が本命視される大きな要素である投手力だが、本来エースである左腕・佐野涼弥(3年)は肩を痛め完全な状態ではなく、MAX145kmの長身右腕・渡邉勇太朗(3年)も春の関東大会でひじ痛から復帰したばかりで無理はさせられない。だが、浦和学院は彼ら2人を欠いた状態ながら春の県大会6連覇を果たした。

 それはなぜか。近野佑樹(3年)と河北将太(3年)、左腕の永島竜弥(2年)などがその穴を埋める好投をみせたからだ。今大会は組み合わせに恵まれたこともあるが、あくまで佐野や渡邉は回復待ちで、今大会特に序盤は森監督の信頼を勝ち得た近野や河北を中心に回すであろう。浦和学院は順当に行けばベスト4までは堅い。

 順当に行くとベスト4には埼玉栄聖望学園が待ち構えるが、ここで佐野や渡邉の出番が来るか。逆に言えばここ数年公立勢に敗れることが多かっただけに、ベスト4まで順調に来ることができれば、その後は優位な展開に持ち込むことができるであろう。

 浦和学院のキーは何と言っても打線であろう。主砲・蛭間拓哉(3年)、矢野壱晟(3年)、中前祐也(2年)などを中心とし、7、8人の左打者が並ぶ左偏重の打線なだけに右投手であればある程度計算ができる打線だが、当然好左腕に苦しむ。

 昨秋は市立川越和田光(2年)に苦しめられ敗れると、今春も山村学園和田朋也(2年)相手に勝つには勝ったが、1点に抑えられた。それだけに打者としても貴重な右の強打者である河北に対する負担は大きい。あとは河北に続く右の強打者が出てくるかが5年ぶりの甲子園への鍵となる。

 この浦和学院に続くのは戦力的にはCシードの埼玉栄だ。若生監督就任時に入学し、1年夏から出場していた有望な選手達が最終年度を迎える勝負の夏だ。埼玉栄には何と言っても1年夏から主戦として登板していたMAX146km右腕・米倉貫太(3年)がいる。

 フォーム、ボールの質を見ても申し分ない今大会1、2を争う投手だが、唯一のウィークポイントはメンタルの部分だ。ピンチや劣勢の場面を迎えると、とんでもない方向への暴投も見られるなど、制球を乱していた。このメンタルの部分を克服し一皮むけることができるか。そこにかかっている。

 打線も1年春からスタメンだった好打者・海崎雄太(3年)や渡部壮大(3年)など経験豊富な選手も多く、和田康平(2年)、鈴木貴大(3年)、池ノ上和貴(3年)のクリーンアップは破壊力抜群だ。このチームは2年前から注目されてきたが、結局その後も春、秋を含めてベスト4まで進出した経験がない。

 唯一その点に不安が残るが、順当に行くとベスト8で激突する聖望学園戦が一つの山になるであろう。ベスト8の壁を破ることができるか。

[page_break:上位に食い込む実力は十分ある4校]

上位に食い込む実力は十分ある4校

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南埼玉 注目の4校

 そのDシード聖望学園も虎視眈々と上位進出を狙っている。聖望学園はたとえ春や秋で早期敗退しても夏には仕上げてくる試合巧者である。直近の3年も準優勝1回、ベスト8が2回と安定した成績を残している。それは当然経験豊富な岡本監督の存在が大きいのだが、今年はやや状況が違う。1、2年生を使わざるを得ない布陣であり、あくまで投打の軸である坂本颯太(3年)のチームである。

 やや坂本に対する負担が大きいのが気になるが、その分1年生の蔵田亮太郎(1年)など1、2年生が伸び伸びとプレーすることができれば、浦和学院戦も見えてくるであろう。最近浦和学院には勝てていないだけに期するものがあるのではなかろうか。

 今大会浦和学院の対抗馬と目されているBシード・山村学園だが、今大会一番の最激戦ブロックに入ってしまったのは痛い。まず初戦でMAX140km近い直球を誇る今大会屈指の左腕・英真太郎(3年)を擁する浦和実業とぶつかる。この対決を制しても、順当に行くと4回戦は春初戦で花咲徳栄と1点差の好勝負を演じた川越東と当たる。

 川越東は旧チームから登板してきた経験豊富な小笠原海大(3年)を中心とし、浪江麟太郎(2年)、菅原隆太郎(3年)、前多奨悟(3年)のクリーンアップは破壊力抜群だ。ここを突破してもベスト8は順当に行けば昨秋の関東大会進出校である市立川越が待ち構える。

 市立川越は2枚看板である右の太賀龍丈(3年)、左の和田がおり、対策が立てづらい。この4校は本来組み合わせでうまくばらければどのチームもベスト8、ベスト4へ進むだけの力があるだけに、潰し合いが予想される。山村学園はこの3チームとの対戦でエース和田を出さないわけにはいかないだろう。

 ただ、和田は秋・春共に基本一人で投げ抜くなどスタミナには自信を持っている。とはいえまだ2年生、そこは木内輝(3年)、野邨祐樹(3年)、長谷川兼太(3年)、深田竜二(3年)、和田と強力な山村学園打線が、いかに序盤で試合を決め和田に”楽をさせる”ことができるかが上位進出の鍵となるであろう。

 Bシードふじみ野梅澤駿平(3年)、大野竜也(3年)のバッテリーを中心とし、打線が活発だ。だがこの山は、他に山村国際大宮東埼玉平成、所沢商業などもおりどこが勝ち上がるか読めない混沌としたブロックになっている。

 南埼玉大会は春のベスト16に13校が残るなどレベルが高い。戦力的には浦和学院が一つ抜けているが楽観はできない状況だ。浦和学院は5年ぶりに甲子園へ進むことはできるか。

文=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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