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第722回 「4強」軸に本命なき混戦模様 !カギ握る「勢い」と「確かな力」2018年07月06日
【目次】
[1]【鹿児島実―国分中央】/【川内―神村学園】
[2]【樟南―鹿屋中央】/【尚志館―れいめい】
第100回全国高校野球選手権記念鹿児島大会の組合せが決まった。
3つの連合チームを含む77校70チームが7月7日から23日(雨天順延、準決勝前日は休養日)まで、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民球場で熱戦を繰り広げ、100回目の節目の大会の頂点を目指す。
昨秋・神村学園、今春・れいめい、NHK旗・鹿児島実、この1年間の主要県大会の優勝校は全て入れ替わっており、飛び抜けた力を持った優勝候補の本命はなく、シード校を中心に上位争いは混戦模様だ。上位4シードに入った鹿児島実、れいめい、樟南、神村学園は実力的には甲乙つけがたい。下位シードの川内、鹿屋中央、尚志館、国分中央もそん色ない力があり、昨夏準優勝の鹿児島、薩南工、鹿児島情報などもシード校に比肩する力を秘めたノーシード校も多数ある。
近年の鹿児島大会を分析すれば、16年に志布志、川内が4強入り、17年に鹿児島が決勝に勝ち進むなど、夏までに実績がなくてノーマークだったチームが上位に勝ち進む一方で、選手権の代表は15年・鹿児島実、16年・樟南、17年・神村学園と伝統と実績のある強豪私学がつかんでいる。長丁場の夏を制するためには心技体の準備を万全にして地に足のついた「確かな力」を身に着けることが何より大事。その上で何かをきっかけに「勢い」に乗ることも大事な要素となってくる。混戦の100回大会を制するのはどこか。組み合わせをパートごとに分けて展望を考えてみた。
【鹿児島実―国分中央】

鹿屋中央と鹿児島実
第1シード鹿児島実が調子を上げてきている。春はライバル樟南に準々決勝でコールド負けしたが、右腕・吉村 陸矩(3年)がNHK旗で復調のきっかけをつかんだ。安定感抜群の左腕・立本 颯(3年)との2枚看板は長丁場の夏を勝ち抜く上でも大事な要素。主力をケガで欠いた状態でNHK旗を制しており、夏は打線も一回りレベルアップしそう。創部100周年の年に100回大会の代表をと周囲の期待も高い。
春4強の国分中央は好右腕・内田 慶介(3年)―田之畑翔也(3年)のバッテリーが安定しており、好チームに仕上がっている。2年生左腕・上野 倖汰を擁する枕崎との初戦は屈指の好カードだ。好右腕・宮田 悠希(3年)を擁する武岡台と竹下耕大主将(3年)を中心にまとまる喜界との対戦も好勝負が期待できそう。種子島、鹿屋工、隼人工などが勢いに乗ったら面白い。元プロ選手・佐々木誠監督率いる鹿児島城西にも注目したい。
【川内―神村学園】

川内と神村学園
昨夏、秋を制した神村学園は実績、実力では県下NO1のチームだが、部内の不祥事で春以降、夏の大会直前まで対外試合禁止処分を受けた。実戦から遠ざかっているのは大きなマイナスポイントだろう。大会序盤で試合感覚を取り戻して、上位と争う終盤で本領を発揮したいところだ。知将・田村正和監督率いる加治木工との初戦に注目したい。
春8強の鹿屋、経験豊富な選手を擁する出水工、昨夏準優勝メンバーが主力で残る鹿児島などが名を連ねており、序盤戦から気の抜けない展開になりそうだ。第5シード川内はNHK旗準決勝でれいめいとの「同郷対決」を制し決勝に勝ち上がった。リードオフマンの祝迫 駿輔ら2年生メンバーが元気で、打線の力は県下トップクラス。投手を含めた守備の安定が夏上位に勝ち上がるカギになるだろう。鹿児島工、鹿屋農、鶴丸などの県立勢の奮起も期待したい。

- 政 純一郎(つかさ・じゅんいちろう)
- 生年月日 1974年12月18日
- 出身地 鹿児島市
- ■ 経歴
鶴丸高校―同志社大 - ■ 鹿児島新報で6年間スポーツ担当記者。2004年5月の同社廃刊後、独立
- ■ 「スポーツかごんまNEWS」を立ち上げ、野球、バスケットボール、陸上、サッカーなど主に鹿児島のスポーツを取材執筆する。2010年4月より奄美新聞鹿児島支局長を兼務
- ■ 著書に「地域スポーツに夢をのせて」(南方新社)「鹿実野球と久保克之」(同、久保氏と共著)
- ■ Webでは「高校野球ドットコム」、書籍では「野球小僧」(白夜書房)「ホームラン」(廣済堂出版)「陸上競技マガジン」(ベースボールマガジン)「月刊トレーニングジャーナル」(ブックハウスHD)などに記事を寄稿している。
- ■ 野球歴は中学から。高校時代は背番号11はもらうも、練習試合に代打で1打席、守備で1イニングの試合経験しかない。現在はマスターズ高校野球のチームに所属し、おじさんたちと甲子園の夢を追いかけている
- ■ フルマラソンの自己ベスト記録は3時間18分49秒(2010年のいぶすき菜の花マラソンにて)。野球とマラソンと鹿児島をこよなく愛する「走るスポーツ記者」

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