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連日接戦の気配漂う、東西愛知大会の夏の展望!【大会展望】

2018.06.29

 記念大会ということで、今年の愛知大会は東西に分かれての2校代表ということになった。東地区は東西の三河地区に知多地区が加わって全101校。西地区は名古屋市と尾張地区で全85校が参加。ともに激戦区となるがその展望を見ていく。

【東愛知】豊川、愛産大三河がわずかにリードだが20~30校くらいにチャンス


桜丘と愛知産大三河

 シード8校は公立校と私学がちょうど4校ずつというバランスとなった。とにかく、最大の壁でもある名古屋市内勢との対戦がないだけに、各校ともに、「今年は千載一遇のチャンス(実際には10年に一度ずつのチャンス?)」とばかりに、気持ちも充実しているであろう。

 有望視されるのは、やはり私学勢で春季県大会でも東邦と競り合った豊川を筆頭に、昨秋の県大会準優勝校で、先の招待試合では大阪桐蔭を下して自信を得ている愛産大三河。さらには昨秋のベスト4愛知桜丘が僅差ながらも3強と言うことになる。

 豊川竹田龍惟君と竹内義将君が投打の軸となる。チームとしての安定感は一番と言ってもいいであろう。愛産大三河は松原絃介君が大阪桐蔭相手に好投してさらに自信を深めた。「どことやっても、苦しい試合になります」と、櫻井春生監督は言うが、大勝はしないが、きっちりと手堅い試合運びは、チームの持ち味でもある。打線は上田希由翔君と監督の息子櫻井仁生君の2年生が中軸を任される。愛知桜丘は近年安定した力を示している。今年も濱田康太君、小林拳誠君らの投手陣は杉澤哲監督の信頼も高い。

 昨夏のベスト4進出で躍進した豊橋中央は、その時のメンバー何人かが残っており、チームとしても経験値は高い。

 公立勢では西尾刈谷安城知立東がシードとなっているが、安城は昨秋もベスト8に進出している。かつて岩津で県大会ベスト4に導いた実績のある丘友嗣監督の指導で、積極的に仕掛けていきながらも、手堅くきちんと進めることも怠らないという野球が定着しつつある。この夏も、台風の目になりそうだ。西尾も、この4月から母校に戻った田川誠監督が「私が意図している以上に、選手たちが自分で考えてプレーをしていってくれる」と、チームの勢いを感じており、面白い存在になりそうだ。

 その西尾と3回戦で当たりそうなのが豊田工だ。昨夏のベスト8だが、その原動力でもあった横田龍也君が残っている。実現すれば、序盤の好カードともいえようか。さらには、その勝者が、夏には毎年好チームに仕上げてくる西尾東と当りそうな組み合わせとなっており、このゾーンは激戦となりそうだ。

 刈谷の初戦、東浦との激突も好カード。この勝者はベスト8まで駆け上がれる勢いがありそうだ。知立東は初戦の岡崎学園、次が東海商と日本福祉大附の勝者で、これも難敵だ。日本福祉大附は知多地区で躍進著しい気鋭である。

 さらにはノーシードながら、県大会後の全三河大会を制した成章も、伝統校だけに夏に強さを示すであろう。愛知桜丘のゾーンだが、ここには時習館半田刈谷北など、丁寧なチーム作りをしている公立進学校もいる。

 上位30校くらいが競り合っており、勢いに乗ればどこにでもチャンスがあるというのが正直なところであろう。

[page_break:【西愛知】東邦が頭一つリードするが、享栄、至学館に誉と中京大中京も追う]

【西愛知】東邦が頭一つリードするが、享栄、至学館に誉と中京大中京も追う


東邦と中京大中京

 昨年秋の県大会優勝校で今春も県大会準優勝し、春季東海地区大会を制した東邦が頭一つリードしている。それを追う形で昨年のセンバツ出場校で、メンバー一掃となったものの、相変わらず粘り強くしつこい野球でシード権を獲得している至学館。さらには双子の三島兄弟のバッテリーなどで話題も提供している伝統の享栄、春季県大会で優勝して勢いを保持しているといったシード校が続く。

 東邦は東海大会では津田学園に一度はリードを許しながらも後半に自力発揮でコールド勝ち。静岡にも打ち勝って、昨秋の東海大会決勝の雪辱を果たし、くせ者いなべ総合も圧倒して、力を示した。扇谷莉君はやや制球に不安を残すものの西有喜君が安定。石川昂弥君と投打の軸はしっかりとしている。3回戦で中部大春日丘と当りそうだが、そこが最初のヤマとなろうか。

 至学館は例によって、どことやっても接戦となるかもしれないが、8強までは勝ち上がりそう。享栄は、ベテラン柴垣旭延監督が最後の年ということで、意識も上がっている。も、初戦の犬山をクリアすれば、春季大会の勢いでベスト8まではすんなりと行きそうだ。

 愛知はやや厳しいゾーンで、初戦の名南工を退けたとしても次が中部大一と昨年の準優勝校栄徳の勝者で、どちらも力がある。栄徳には県内ナンバー1の捕手と評判の野口泰司君がいる。このゾーンには他にも清林館名城大附も控えている。

 春に中京大中京をコールドで退けた西春尾崎聡大君の評判がいい。昨秋も全尾張大会でノーヒットノーランを達成している。また、打線も単打を積み重ねていくしぶとさがある。この夏も、中京大中京と同じゾーンとなった。先の招待試合で大阪桐蔭に打ち勝って、ようやく低迷を抜け出した感のある中京大中京は、初戦で愛知商との伝統校対決だ。大同大大同もいるが、西春にリベンジを果たし、昨夏の代表校としては意地でも、ベスト8進出は果たさなくてはなるまい。

 愛知啓成も秘かに上位進出を狙う。組み合わせとしても、シード校としていい位置につけている。このゾーンでは名市工も注目だ。
 初戦の2回戦では平林宏監督率いる星城と、2回戦で当りそうな組み合わせとなった11回出場の愛工大名電などがノーシードでいるのが誠信のゾーンだ。他にも名経大高蔵や愛知大成など、ひと暴れしそうな雰囲気を持つチームが多く、最も激選と言えるゾーンになりそうだ。

 総じて言えば、東西共に強豪が上手く分散した形になったともいえる。愛知大会の場合はベスト8から再抽選となり、「そこからまた、新たな大会が始まるくらいの気持ちになる」と言われるが、東西に分かれた今年も、その意識は変わらない。

文=手束仁

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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