Column

今年も九州大会は人材豊富だった!夏へ向けて楽しみな逸材を一挙紹介!

2018.05.07

 今年の春季九州地区大会は九州国際附が優勝を収めた。高校野球ドットコムでは6試合のレポートを配信したが、各校に逸材が多く、改めて九州地区のレベルの高さを実感した。今回のコラムでは注目選手をピックアップし、そして、レポートで取り上げることができなかった逸材を紹介したい。

【配信したレポート一覧】

1回戦:未来沖縄vsれいめい


1回戦:創成館vs文徳


1回戦:明豊vs聖心ウルスラ


1回戦:樟南vs延岡学園


準々決勝:未来沖縄vs八幡


準々決勝:明豊vs伊万里

明豊は投打でタレント揃い 未来沖縄は二刀流・宜保翔に期待

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濱田太貴(明豊)

 明豊は投打ともにタレント揃い。高校通算37本塁打のスラッガー・濱田 太貴(3年)は大会を通して活躍を見せ、スカウトの評価を大きく上げた。

 初戦では聖心ウルスラの145キロ右腕・戸郷 翔征(3年)から2安打。準々決勝の伊万里戦では先制タイムリー。準決勝の東筑戦でも本塁打を放った。本人は「投手に投げる球がないと思わせる活躍を見せたい」と語ったが、その言葉通りの活躍を見せた。また今大会ではライト・レフトを守ったが、そこで強肩を披露し、守備力の向上も見せつけた。また、主将の菅大和(3年)は準々決勝の伊万里戦では9回二死から同点となる適時二塁打、準決勝の東筑戦でも本塁打を打つ活躍を見せた。2年生ショートの野邊 優汰(2年)は軽快な守備を披露。準々決勝の伊万里戦でもサヨナラ打を打つなど打撃面の存在感を示した。

 初戦で2番を打ち、準々決勝の伊万里戦では4番を打った伊谷 幸輝(3年)も球際の強さと強肩を兼ね備えた三塁守備、140キロ台の速球に対応できる巧打が光るプレイヤーだ。

 投手陣では、最速142キロを計測した右腕・寺迫 涼生(2年)、躍動感あふれる投球フォームから130キロ後半の速球を投げる本格派右腕・大畑 蓮(2年)も将来性抜群だ。

 初出場ながらベスト4の未来沖縄は二刀流・宜保翔(3年)が活躍を見せた。最速143キロのストレートとスライダーを器用に投げ分け打たせて取る投球に徹し、登板3試合でしっかりとゲームメイク。だが、本人は本職が遊撃手と語るように、野手のほうが魅力がある。

 守っては遠投117メートルの強肩と軽快なフットワークを生かした遊撃守備、また塁間自己最速3.7秒を誇る俊足、広角に打ち分けるバットコントロールが光る。九州大会では、投手としての起用が目立ったが、やはり初の夏の甲子園出場へ、宜保以外の投手の台頭が課題で、どれだけ野手として専念にできるかにかかっている。

[page_break:伊万里の梶山、八幡の山上など好野手が揃う]

伊万里の梶山、八幡の山上など好野手が揃う

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梶山勇人(伊万里)

 ベスト8入りした伊万里梶山 勇人(3年)は、パンチ力ある打撃と強肩が魅力の大型捕手。明豊の各投手の速球にもしっかりと対応し、また冷静沈着なリードも見事であった。チームも選抜を経験し、一皮むけた感がある。打撃・守備力も非常に高く、夏まで進化が楽しみなチームである。

 同じくベスト8の八幡は、山上 壮志朗(3年)が走攻守で目を惹いた。未来沖縄戦で2安打。左打席から最短距離で振り抜くバットコントロールの高さ、狙い球を見逃さない集中力の高さは必見。八幡は普段の練習時間は約2時間となっており、さらにグラウンドも他部活と共用という環境下の中、打撃をメインに取り組んできた。また守備練習の時間が少ない中、打球判断が良いセンター守備も見逃せない。山上は「将来は大学でも続けたい」と上のレベルを志望しており、今後が見逃せない存在だ。

 昨秋の九州大会優勝・選抜ベスト8の創成館は九州国際大附に敗れ、二季連続優勝を逃した。やはり夏へ向けてエースの川原 陸(3年)の進化を期待したい。今大会は背番号18を背負ったが、先発した文徳戦では早々と降板する結果に。だが、持っている能力は本物。184センチ78キロから投げ込む速球はウエイト十分で、この大会では好左腕が多かったが、勢いはナンバーワン。だが、変化球の精度、ボールの出し入れなど細かな部分で課題が残る。今年の高校生左腕ではスケールさでは全国屈指なだけに一皮むけた姿を期待したい。

 ベスト8の樟南はエースの松本 晴に注目が集まった。今大会は延岡学園戦のみ登板。最速140キロのストレートは回転数が高く、125キロ前後を計測する高速スライダーの切れ味は超高校級。改めて全国クラスの力を示したが、フォームが少し気になる。左腕が外回りする癖があり、そのためリリースポイントが乱れ、コントロールを崩す傾向にある。夏までしっかりとフォームを固めていきたい。

 樟南のショート・松下 航汰も延岡学園戦で本塁打を打つ活躍。パンチ力と巧打を兼ね備えた打撃技術と選球眼が持ち味で、遊撃守備も強肩が光る。さらに動きにスピードが増すと、守備面でも評価されるだろう。

[page_break:初戦敗退もきらりと光る活躍を見せた逸材]

初戦敗退もきらりと光る活躍を見せた逸材

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戸郷翔征(聖心ウルスラ)

 初戦で敗退したが、きらりと光る活躍を見せた逸材を紹介したい。この大会で、NPBのスカウトから最も注目を浴びていたのが、聖心ウルスラのエース・戸郷翔征(3年)だった。最速143キロのストレート、120キロ後半のスプリット、125キロ前後のスライダー、カーブと多彩な球種を投げ分けるように、1つ1つのボールの精度は全国レベル。ただ巧打者揃いの明豊打線相手に苦しみ5失点。本人は「もっと球速を高めたいですし、県外の強豪校に通用する投球術を身に付けたい」と課題を語った。

 れいめい松江優作は県大会でも最速143キロを計測し、九州大会・未来沖縄戦で球場のスピードガンで、最速139キロを計測。試合後半にも130キロ後半していたようにスタミナもある。鹿児島は松本 晴樟南)が注目されているが、フォームの完成度は松江が上であり、さらに体ができてストレートの威力も高まると、もっと打たれにくい投手になると予感させる。

 またれいめいは180センチ73キロの大型二塁手・川口 考、強肩とシャープな打撃がウリのライト・新村 優介も面白い存在だ。

 初戦で創成館と接戦を演じた文徳は高校通算36本塁打のスラッガー・萩尾 匡也は夏までの進化が楽しみ。九州大会では明豊濱田 太貴が注目されたが、打者としてのスケールの大きさは萩尾が上で、スイングの強さ、打球の速さも超高校級だ。萩尾は今後の目標として高校通算50本塁打を掲げた。その目標をクリアし、秋から始めたセンター守備を磨き上げ、さらに評価を高めることを期待したい。

 また、強肩が光る捕手・宮川 凌太(3年)もコンタクト能力が高く、鋭い打球で安打を重ねる。複数投手陣を冷静にリードし、修羅場を潜り抜けるインサイドワークも光った。

 選抜出場の延岡学園は、3番ショート・小幡竜平は初戦の樟南戦で3安打を打つ活躍を見せた。インパクトまで最短距離で振り抜くバットコントロール、広角に打ち分ける打撃技術の高さが光った。そしてショートの守備も巧みなグラブ捌きと遠投110メートルの強肩を生かしたスローイングを披露した。九州屈指の遊撃手として、さらなる進化を期待したい。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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