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宇部工が42年ぶりの春制覇で幕を閉じた春季山口県大会を徹底総括!

2018.05.08

好投手・佐伯 亮太朗打ち崩し42年ぶりの春制覇を果たした宇部工

宇部工が42年ぶりの春制覇で幕を閉じた春季山口県大会を徹底総括! | 高校野球ドットコム
42年ぶりの春制覇を果たした宇部工

 

 宇部工が1976年以来、42年ぶりの春制覇を果たした春季山口県大会。大会の印象的な場面、戦いぶりの紹介を交えつつ、今大会の総括を行いたい。

 

 優勝した宇部工は準決勝進出4チームのなかで唯一の公立校。準々決勝は4カード全て「私立VS公立」の構図となったが、宇部工が登場する第4試合までの3試合で残りの公立校は全て敗退。「4強は全て私立校になるか」という空気が立ち込めるなかで始まった、秋準優勝の有力校・高川学園との一戦は非常に鮮烈な試合内容だった。

 高川学園先発の佐伯 亮太朗が、投げては前半5回を無安打、打っても左中間を破る適時二塁打を放つなど、投打に活躍を見せ、試合序盤は高川学園ペース。追いかける宇部工は、6回に3安打を集めて逆転するなど、徐々に佐伯を捉え始め、最終的には8安打7得点。守りでは、先発した背番号8の久保田 巽が130km/h中盤の直球を武器に、粘りの3失点完投で勝利を手繰り寄せた。

 

 この逆転勝ちで波に乗った宇部工は、準決勝で早鞆を4-3、決勝ではセンバツ出場の下関国際を9-5で降し、県の頂点へ。地区大会を含めた6試合で合計39得点と大会を通じて、打線全体の強いスイングが際立っていた。県1位校として臨む地元開催の中国大会での打撃にも要注目だ。

 

 準優勝の下関国際は、エース・鶴田 克樹の登板を下関工科戦の1イニングに留め、投手陣の底上げを図った。今大会、投手として台頭したのが、1年夏から外野手として試合出場を続けている木村 大輝。バランスの良いフォームから投じるスピンの効いたストレートは、球速表示以上のキレを感じさせた。

 

 6回まで0行進が続き、最終的に1-0で勝利を挙げた準々決勝・徳山戦を筆頭に、緊迫した場面でも崩れない守備、そつなく点を奪う試合巧者ぶりは今大会も光っていた。厚みを増した投手陣で、昨夏今春に続く、3季連続の甲子園出場がかかる夏に挑む。

[page_break:夏に向け期待を感じさせる公立勢の活躍]

夏に向け期待を感じさせる公立勢の活躍

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エース・田中 未来投手(宇部商)

 

 昨秋に続いて4強進出の早鞆は、エースに返り咲いた畑村 政輝のスケールアップした投球が際立っていた。準々決勝・戦では投じた直球の多くが[stadium]津田恒美メモリアルスタジアム[/stadium]のスピードガンで140km/h越えを記録する圧巻の投球。今後も熱視線を集める存在となりそうだ。

 

 準決勝で下関国際昨夏以来の“再戦”を果たした宇部鴻城は2年生主体のチームで今春を戦った。その下関国際戦では敗れはしたものの、中軸を担う田中 力が本塁打、翌日の3位決定戦・早鞆戦では池村 健太郎が公式戦初完封を記録するなど、投打で2年生が台頭。“若い”チームなだけに、ここからの一伸びにも期待したい。

 

 私立勢以外にも、「1番・投手」の磯村 飛鷹を中心に、下関国際相手に奮闘した徳山、打線に力のある常連校・南陽工、就任2年目の松尾貢史監督の下、復活の雰囲気を感じる宇部商らの公立勢の活躍も多く見られた今大会。大会を通じて得た自信、浮かび上がった課題を胸に、夏に向けて各校がどんな成長を見せるか。中国大会に挑む上位4校だけでなく、こちらも大いに楽しみだ。

 

(文・井上 幸太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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