戦力充実の秋4強に挑むはどこか?初戦で実現する「山陰の早慶戦」に注目
辰己晴野投手(米子松蔭)
21日に開幕する春季鳥取県大会。優勝校は6月2日に開幕する春季中国大会、上位3校は6月8日から開催される山陰大会への出場権が与えられる今大会の注目校、注目選手の紹介を中心に、展望を行いたい。
戦力充実の秋上位4校
戦力の充実ぶりが際立つのが昨秋4強入りを果たした、米子松蔭、鳥取城北、鳥取商、鳥取境。この4校は2回戦からの登場となる。
昨秋の県大会を制した米子松蔭は、昨夏の甲子園出場に大きく貢献したエース・辰己 晴野が健在。直球と数種類のスライダーを内外角に散らし、的を絞らせない投球が光っている。打っては昨秋4番を経験し、今大会も投打でチームを牽引したいところ。遊撃の波戸 佑真を中心としたバックの固い守りにも注目だ。
春季大会連覇を狙う鳥取城北は浦林 直哉、野田 翔の左右二枚看板で勝負。浦林はやや捻りの入ったフォームが特徴の左腕。昨秋はテンポの良い投球で三振を積み上げた。野田は力強い速球でグイグイと押す投球を見せる右腕と、それぞれ異なる持ち味が光る。
片山 隼、垣内 丈二、期待の新2年生・山田 椋一らが並ぶ打線も強力なだけに、昨秋の中国大会初戦で綻びを見せた守りがどこまで底上げされているかがカギを握りそうだ。
県3位出場ながら昨秋の中国大会で県勢唯一の勝ち星を挙げた鳥取商は打線が自慢。中心となるのは田中 翔馬、田渕 雄大の左右のスラッガーだ。田中は180cm・84kgのガッチリした体格が目を引く左の強打者。中国大会の初戦・広島国際学院戦では、[stadium]福山市民球場[/stadium]の場外へ飛び出す豪快な一発を放った。田渕も183cm・78kgと大柄。外のボールも引っ張り込める強いスイングと思い切りの良さが光る「右の大砲」だ。昨夏、昨秋と二大会連続で敗れている米子松蔭との再戦は、お互い勝ち進めば、決勝で実現する組み合わせとなった。夏を迎える前にリベンジの舞台が実現するかも気になるところだ
昨秋の3位決定戦で鳥取商に敗れ、惜しくも中国大会出場を逃した鳥取境も、投打のバランスは整っている。バランスの良いフォームからキレのあるボールを投じる岩本 竜、軽やかなフットワークを見せる内野手・八幡らの一冬越えた姿も要チェックだ。
初戦から「山陰の早慶戦」が実現
楽しみなチームや注目のカードは、秋4強チーム以外にも多くある。筆頭は大会2日目(2回戦・[stadium]米子市民球場[/stadium])に行われる、鳥取西と米子東の一戦だ。両校野球部の歴史から「山陰の早慶戦」として親しまれているこのカード。第1回大会から欠かすことなく夏の大会に参加し続け、「皆勤」で迎える100回目の夏を前に実現する伝統の一戦は、大きな盛り上がりを見せそうだ。大会初日に行われる、米子西vs倉吉東、鳥取中央育英vs鳥取東の安定した実力を誇る公立校対決の行方も、夏を占う上で見逃せない。
また、連合チームとして出場し、昨秋1勝を挙げた日野・倉吉農は今大会も同様の形で出場。秋に続く勝ち星を挙げられるかに注目だ。
文=井上 幸太