第578回 日大三、早実を撃破した西東京王者。甲子園4強の東海大菅生には「個の力」があった2017年08月24日

印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

小玉 佳吾(東海大菅生)

 全国的に注目されていた清宮 幸太郎擁する早稲田実業や、櫻井 周斗金成 麗生らを擁する日大三を破った力は本物だった。準決勝で惜しくも敗れたが、全国制覇を果たした花咲徳栄を最も苦しめたのは、東海大菅生だった。それだけに、あと一歩で逃した栄冠への悔しさはあるものの、全国の高校野球ファンに、その存在をしっかり印象付けた。

 清宮フィーバーが始まった2年前の春、若林 弘泰監督は、「今年の1年生はいいですよ」と、嬉しそうに語っていた。その中心にいたのが、佐倉シニアで全国優勝した佐藤 弘教牛山 千尋だった。

 しかし中学日本一の主軸であっても、すぐに通用するほど高校野球は甘くはなく、試合に出られたり、出られなかったりを繰り返した。2人が本当の意味で揃って活躍したのは、甲子園が初めてではなかったか。

 昨年の秋季都大会からエースであった松本 健吾に対して若林監督は、「ドラフト候補になるほどの力はあるんだけど……」と語っていたが、冬場に負傷したこともあり、その評価を結果で示すことができなかった。

 それでも、春には2年生の戸田 懐生らを含め、投手陣全体が成長。春季都大会では敗れはしたものの、日大三の小倉 全由監督を強く警戒させるだけの戦いを繰り広げた。負傷で出遅れた松本も、夏に向けて内角の制球が見違えるほど向上した。あとは攻撃力であった。

 1年生であった昨夏から遊撃手の正選手であった田中 幹也は、守備のうまさは抜群であったが、あくまでも守備の人という感じであった。それでも、冬場以降しっかりと振り込み、リードオフマンとして頼れる存在になった。

 この夏不動の4番であった片山 昂星は、秋や春は時おり途中出場する程度の選手であった。田中、片山という2年生の成長に加え、守備にはやや不安があった主将の小玉 佳吾の守備が安定し、捕手の鹿倉 凛太朗も層の厚い投手陣の信頼を勝ち取った。

 このように、あらゆる要素が夏に向かって噛み合った。そこに選手起用を含めた若林監督の采配が光った。若林監督の指導の根っこにあるのは、「親父」と慕う、三池工東海大相模で全国優勝した東海大元監督で、元巨人監督の原 辰徳氏の父親でもある故原 貢氏である。そこにプロ野球での体験、さらには、帝京日大三早稲田実業関東一二松学舎大附など、全国的に知られた強豪、名将たちにもまれて、高校野球の指導者としての自身のスタイルを確立していった。

 今回のベスト4で東海大菅生は、西東京の強豪として全国的に認知された。この立場を維持し、さらに上を目指す、また新たな戦いが始まる。今回貴重な経験をした2年生の戸田、田中、片山に期待の1年生の小山 翔暉らを擁する新チームは注目の存在ではあるが、他のチームも黙っていない。春は第90回、夏は第100回となる節目の甲子園大会に向けての激しい戦いは、既に始まっている。

(文・構成:大島 裕史)

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
東海大菅生vs日大豊山【東京都 2018年秋の大会 東京都大会 一次予選】
第781回 2019年はリベンジへ。アジア大会で出た課題を検証「特定の投手に固執した投手起用、そして需要高まる二刀流」【大会展望・総括コラム】
第780回 2019年はリベンジへ。アジア大会で出た課題を検証「選考基準を再考する」【大会展望・総括コラム】
第768回 経験者が残る日大三、二松学舎大附ともに秋は実力校と対戦!都大会出場を巡り各ブロックで好カードが満載!【大会展望・総括コラム】
第772回 宿敵・韓国と対戦!韓国の長所・短所を徹底分析!!【大会展望・総括コラム】
第3回 「やっぱり漢字がいいね」の一声で変わった強豪校のユニフォームデザイン  【「奥深い高校野球談議」ライター・手束仁×副編集長・河嶋宗一 】
日大三vs東海大菅生【東京都 2018年夏の大会 第100回選手権西東京大会】
東海大菅生vs八王子【東京都 2018年夏の大会 第100回選手権西東京大会】
東海大菅生vs都立八王子北【東京都 2018年夏の大会 第100回選手権西東京大会】
東海大菅生vs都立府中工【東京都 2018年夏の大会 第100回選手権西東京大会】
第717回 岐阜の二刀流・中神拓都(市立岐阜商)「同じ岐阜県出身のライバルに負けたくない!」【後編】 【2018年インタビュー】
第645回 片山 昂星(東海大菅生)「神宮、そして甲子園を揺るがすスラッガーへ」 【2018年インタビュー】
第638回 田中幹也(東海大菅生)「美技の数々は積極的な姿勢と計算尽くされたポジショニングによって生まれた」 【2018年インタビュー】
第560回 東海大菅生の2年生スラッガー・片山昂星に注目!一番のウリは本塁打の飛距離! 【2017年インタビュー】
第559回 櫻井 周斗(日大三)「苦しみを乗り越えた先に 甲子園出場が待っている」 【2017年インタビュー】
東海大菅生 【高校別データ】

コメントを投稿する

コラムトップに戻る サイトトップに戻る

コラム