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高校野球ドットコムが選ぶU-18代表 精鋭20人を発表!

2017.08.19

高校野球ドットコムが選ぶU-18代表 精鋭20人を発表! | 高校野球ドットコム
三浦銀二(福岡大大濠)※共同通信社

 20日、日本高野連は9月1日に開催されるカナダ・サンダーベイで開催される「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に参加する高校日本代表チーム20名を第99回全国高等学校野球選手権の準々決勝後に発表する。今回は高校野球ドットコムでも、独自で代表メンバーを考えてみた。まず最初に皆様にお伝えしたいのが、あくまで予想ではなく、高校野球ドットコムならばどういう選手を世界で戦わせたいのか?今回はそういうコラムである。

 今回の選出ポイントは、

・世界一を狙うため
・選手としてのポテンシャル、将来性が高く、国際大会の経験を積ませたい人材

 以上2つの観点から選んだ。勝てるために穴がない選手を選びつつ、一方でまだ調子に波があり、不安定なところがあるものの爆発的なポテンシャルを持った選手も選考した。また、この国際大会を経験させることで、今後の成長のために選んだ方が良いという選手も選んでいる。

 それでは投手、野手の順番で紹介をしていきたい。

完成度が高い投手と強いストレートを投げる投手をバランスよく選出

投手 9名

三浦銀二福岡大大濠
徳山壮磨大阪桐蔭
清水達也花咲徳栄
皆川 喬涼前橋育英
阪口皓亮北海
川端健斗秀岳館
櫻井周斗日大三
山下輝木更津総合
丸山和郁前橋育英

投手の選出ポイントは、

・完成度が高く、試合を作れる先発タイプ
・強いストレートを投げられる投手
・投手としての総合力、ボールの強さ、将来性、メンタルの全てを判断して選考を行った。

 先発タイプだと三浦銀二徳山壮磨山下輝川端健斗の4人が中心となるだろう。三浦に関しては選抜のピッチングで、夏で故障しない限り、選びたい投手と確信した。福岡大会決勝で敗れたが、54イニングで68奪三振、防御率0.83、奪三振率11.33、K/BBは5.66と素晴らしい実績を残した。甲子園に出られなかったのは本人にとって残念だが、もし選出された場合、夏の福岡大会の疲労も癒えた三浦は大きな力となることは間違いない。今年の日本代表のエースとして、獅子奮迅の活躍を期待したい。

 そして徳山はフォーム技術、制球力、変化球の精度、球速とともに今年の高校生右腕では高水準。安定感もあり、先発投手として期待したい右腕。
 山下は常時140キロ中盤をたたき出せるスタミナ、スライダー、チェンジアップ、ツーシームの精度は確かなものがあり、勝負所でも淡々とピッチングできる強みがある。甲子園では荒れてしまったが、最初から先発完投を意識するのではなく、6回、7回までと限定すれば、しっかりと仕事をしてくれそうだ。

 川端は選抜と比べるとだいぶ安定感が増した。左腕から球速も常時140キロ台と一定以上のものがあり、変化球の各種の精度も高い。先発投手としてしっかりと仕事してくれそうだ。

[page_break:阪口、清水の2人の速球派右腕が世界の強打者にどれだけ通用するか]

阪口、清水の2人の速球派右腕が世界の強打者にどれだけ通用するか

高校野球ドットコムが選ぶU-18代表 精鋭20人を発表! | 高校野球ドットコム
阪口皓亮(北海)※共同通信社

 強いストレート。ただ速いではなく、簡単に前へ飛ばせない球威のある直球を投げる投手だ。名前を挙げれば清水達也皆川喬涼阪口皓亮櫻井周斗の4人がこの条件に相応しいと考えた。清水はリリーフで、常時145キロ前後。さらにスプリット、スライダーの各種の精度は高く、少々荒れることはあるが、リリーフとして心強い存在。阪口は、甲子園でスカウトを驚かせる140キロ後半の連発。ストレートは角度があって、130キロを超えるカットボールも素晴らしい。そしてフィールディングも良い。長いイニングを投げるよりも短いイニングで登板したほうが阪口の持ち味を発揮できるだろう。

 皆川は、明徳義塾戦で9回二死まで無失点に抑える快投を見せたように、常時140キロ中盤の速球、スライダー、90キロ台のカーブ、チェンジアップと多彩な球種を投げ分けて投球を構成する本格派右腕。ピッチングも上手い投手だが、短いイニングで投げてみたらどんなボールを投げ込むのか?非常に興味がある。

 そして櫻井。実は直前まである左投手を入れていたが、不調ゆえ、逆転選出。櫻井は西東京大会ベスト8に終わったとはいえ、力を入れた時は常時140キロ後半、さらに打者が消えると表現する「縦スライダー」は世界の強打者にも通用するだろう。去年の堀瑞輝((広島新庄)のような活躍を期待したい。さらに打撃の潜在能力は野手のメンバーを入れても、トップレベルである。DH・もしくは外野の起用もあるだろう。

 最後の9人目は丸山和郁前橋育英)にした。丸山は1人で、4選手の役割をこなせるのが選んだ一番の理由である。打者としても、パンチ力ある打撃が魅力。甲子園2試合で6盗塁を決める技術と俊足でチャンスを呼び込み、さらに球際が強く、守備範囲がとても広いセンター守備は窮地を救ってくれることは間違いないだろう。投手としても140キロ前後の速球、スライダーのコンビネーションで抑える。つまりスタメン・代走・守備固め・中継ぎで使えるのだ。国際大会では、不測の事態があって、先発投手が降板することがある。その時、メインの中継ぎ投手を準備させるために、すぐに肩ができて、メンタルが強く、コントロールも良い丸山はかなり使いやすい投手といえよう。なんでもできる丸山は今年の侍ジャパンU-18代表のキーマンとして絶対に入れたい選手だ。

捕手は強肩強打のトップ3を選出!

 ここから野手である。野手については打撃力、身体能力が高い選手を選んだ。やはり世界ではそれなりの打撃力がないと勝負することができないのは、これまでの国際大会を取材して感じた次第である。

捕手3名

中村奨成(広島広陵)
猪田和希神戸国際大附
古賀悠斗福岡大大濠

 捕手ではこの3人となった。3人ともスローイングタイム1.9秒台。さらに打撃も良い。木製バットでも十分に長打が打てる人材としてピックアップした。中村は2試合で3本塁打。足も速く、状況判断能力に長けている。今大会の活躍で、ドラフト1位候補となった。正捕手として担うべき人材だろう。

 猪田も塁間1.9秒台の強肩、右方向へ本塁打を打てる技術と超高校級の技術を持った捕手ということで選出した。まだワンバウンド処理に課題を抱えるが、それを補えるだけの肩、長打力がある。2年夏まではレフトを守っていた選手だ。レフトでも使える選手である。

 古賀も猪田とと同じく2年秋から捕手となり、地道な努力で、スローイング、リード、キャッチングを磨いた。一から丁寧に物事を取り組んできたこともあり、気配りができる捕手である。チームメイトの三浦銀二専任の捕手でもいいし、また2年夏まで遊撃手。それも守備範囲が広く、強肩の選手だった。何かあった時にショートで使える選手として選出した。

[page_break:清宮、安田、増田と並ぶ内外野陣は超強力!!]

清宮、安田、増田と並ぶ内外野陣は超強力!!

高校野球ドットコムが選ぶU-18代表 精鋭20人を発表! | 高校野球ドットコム
清宮幸太郎(早稲田実業)※共同通信社

内野手5名

清宮幸太郎早稲田実業
太田英毅(智弁学園)
安田尚憲履正社
小園 海斗報徳学園
亀岡京平済美

 内野手は例年6人だが、他のポジションの兼ね合い、選出した選手の力量を考えて今年は5人にした。むしろ5人で十分だ。

 最強打線を形成することを考えた時、高校通算107号本塁打の清宮幸太郎、高校通算62本塁打の安田尚憲。2人抜きでは構成することはできない。この2人は木製バットでもパワーあふれるバッティングを見せてくれるはずだ。二塁は太田英毅を選んだ。現在は遊撃だが、2年夏は二塁で甲子園に出場。遊撃よりも二塁の方が良い動きをしていたので、二塁で起用したい。さらに木製バットの対応力も高く、昨冬の台湾の高校との親善試合で1試合5打点。良い活躍を見せてくれそうだ。

 内野の要である遊撃手。恐らく正式な発表では3年生の遊撃手が選ばれると思うが、高校野球ドットコムでは小園海斗報徳学園)を推す。正確なバットコントロールと長打力を兼備した打撃、高校生とは思えない出足の速さ、肩の強さ。大事な場面で力を発揮する勝負強さ。力量は今年の3年生遊撃手と比べても上回っており、、高卒でNPBを目指せる力量を持つ選手である。今年は小園に国際大会を経験させることで、来年のアジア大会にも大きく生きるのではないだろうか。

 亀岡京平済美)は甲子園で3本塁打。デスパイネ(ソフトバンク)のような構え、前捌きで打つ技術は亀岡独自の技術。ずんぐりむっくりの体型で、三塁守備は身軽で強肩。2年秋までは遊撃手ということで、状況次第では遊撃を守れるのも1つのウリである。

 外野手3名

植田拓盛岡大附
増田珠横浜
藤原恭大大阪桐蔭

 外野手は例年通り3人。高校通算60本塁打の植田拓は、常にフルスイングを心掛けている。木製バットを使う国際大会で、植田ぐらい振れて、コンタクト能力が高い選手は代表選手に相応しい。外野守備も標準以上で足も速い。今回はレフトで起用したい。

 神奈川大会で5本塁打を記録した増田珠は高校生では文句なしの打撃技術がある。恐らくこの代表メンバーで最も打率が残せて内容のある打撃ができる選手だと確信できる。守備も準備が良く、強肩。さらに相手の隙をつく好走塁もできる。リーダーシップもあり、視野も広く、今回選んだ3人はすべてセンターだが、増田をセンターに任せたい。

 2年生の藤原恭大は走攻守の総合力の高さは高3年の外野手と混ぜてもトップクラス。一発を打つ長打力、相手投手を焦らせる粘り打ちができる選手。センターからの強肩、そして前後の打球にもそつなく対応できる守備力の高さがある。そして果敢に次の塁を狙える走塁技術の高さもある。左投げの特性を考えてライトを任せたい。

 以上である。皆様はどんなU-18代表を考えているだろうか。20日の発表後には正式メンバーについての考察コラムを公開予定。選ばれた20名をどう世界で戦っていくべきなのかを述べていきたい。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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