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清宮と安田の競演で沸いた今年の神宮大会!まだまだいた逸材たちを一挙紹介!

2016.11.18

 高松商の優勝で終わった昨年の明治神宮大会と、履正社が初優勝を遂げた今年の明治神宮大会。昨年と今年の違いとして、昨年は投手の人材が集中し、今年は野手の人材が集中していることが挙げられる。昨年は高山優希大阪桐蔭関連記事)、高田萌生創志学園関連記事)、山崎颯一郎敦賀気比)とドラフト指名された投手が3人もいた投手豊作の大会だったのに対し、今年は清宮幸太郎早稲田実業)を筆頭に全ポジションに好選手が集まる野手豊作の大会となった。

 今年は出場10チームの打力が高く、決勝戦でも11対6というスコアになったように、この時期でもすでに各打者のレベルは高かった。その中でも目立った選手を紹介していきたい。

東の清宮、西の安田は期待通りの活躍!

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安田 尚憲(履正社)

 まず大会の目玉である清宮幸太郎早稲田実業関連記事)。都大会決勝戦では5三振に終わったが、それでも今大会は7打数5安打と常に安打を記録しているところはやはりさすが。そして7四死球を記録しており、どれだけ警戒されているのかが分かる数字だ。

 清宮は、「神宮大会では、なかなか対戦できないレベルの高い投手と対戦できて、とても価値のある大会でした」と語っており、この経験が清宮をさらに大きくすることだろう。選抜では手が付けられない打者となっているのかもしれない。一塁手としての守備力は非常に高く、そして走塁技術も以前よりも格段に高まった。長打力、走塁技術、高い守備力だけではなく、チームメイトをしっかりとまとめたキャプテンシーの高さも高く評価されており、来年も高校野球の顔として活躍を見せ続けてほしい。

 そして清宮と並ぶ強打者として紹介された安田尚憲履正社関連記事)は、なかなか安田らしい豪快な一発が出ず、苦しんでいた。安田の課題は芯でボールを捉える能力。打ち損じする打球が多く、もったいない当たりが多かった。安田は「なぜ打てていないかは自分ではわかっています。歯がゆい気持ちです」と語っていた。しかし決勝戦では特大3ラン。打った瞬間、それと分かる豪快な当たりだった。守備を見ると肩は強く、送球も安定している。打撃は清宮のような器用さはないが、飛距離は圧巻だ。ゴツゴツとしていて、打った時は凄いというのは何か松井秀喜氏を彷彿とさせるものがある選手ではないだろうか。

 この2人が来年、高校野球を盛り上げるパフォーマンスを見せてくれるのか注目だ。

[page_break:外野手は高階、小西などパンチ力ある野手に注目]

古賀 悠斗、嶋谷 将平など好野手がずらり!

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古賀 悠斗(福岡大大濠)

 捕手では古賀悠斗福岡大大濠)が圧巻。もともと遊撃手だったが、肩の強さと買われて捕手に転向した選手だ。二塁送球では驚くようなスローイングを連発。その地肩の強さは福岡ソフトバンク3位指名の九鬼隆平秀岳館関連記事)にひけをとらない逸材だ。打撃でも、明徳義塾戦(レポート)では高校通算41号本塁打を記録。外角、内角をしっかりとたたき、捌ける技術があり、数少ない捕手のドラフト候補として人気株になっていきそうだ。決勝戦で本塁打を放った片山悠履正社)は下位打線に座っているとは思えない長打力を持った捕手だ。

 一塁手では清宮以外だと、速球に強く、強い打球を打ち返していた井上 開都福井工大福井)の打撃が目立った。二塁手では逆方向にもしっかりと打ち返せて、軽快な二塁守備が光る北川 智也、軽快なフットワークを見せて、広角に打ち返せる打撃が目立った橘内 俊治早稲田実業)が面白い。大会4試合連続安打を放った松原 任耶履正社)は、186センチの大型セカンド。スイングが豪快で、将来的には本塁打量産も期待できる有望株だ。いずれは遊撃手となることを希望しており、今後遊撃を守れる守備力を身に付けると楽しみだ。

 三塁手では1年生2人に注目したい。準決勝福岡大大濠戦で本塁打を放った野村大樹早稲田実業関連記事)は、読みの鋭さが光るスラッガー。速球、変化球にも対応できる技術、逆方向にも強い打球を打ち返す技術もあり、1年生とは思えない選手だ。また2試合続けて強打を連発した柴田 颯札幌第一)は、対応力が高く、1つ1つの打球の力強さがあり、来春の注目選手になっていきそうだ。

 遊撃手では嶋谷 将平宇部鴻城関連記事)がダントツ。三遊間から深い打球を逆シングルで捌いて、ダイレクトスローで投げられる強肩、捕ってから投げるまでの速さ、守備範囲の広さ、球際の強さとどれも一級品。4打数2安打であったが、対応力の高さを示し、全国トップクラスのショートストップであることを証明した。嶋谷が見せるファインプレーに高校野球ファンが熱狂した。今後はフィジカル的な要素を鍛えていけば、もっと活躍が期待できる選手になるだろう。

 また野田優人早稲田実業)は日に日に成長が見える1年生ショート。守備範囲の広さはもちろん、堅実に打球を処理してアウトを積み重ね、投手からの信頼も厚い。また神宮大会から1番を打つようになり、実際に安打を連発。右、左と打ち分けるミートバッティングが光った。大会前から評判が高かった宮澤 晃汰札幌第一)、西巻 賢二仙台育英)は目立つパフォーマンスができなかったので、来春の巻き返しに期待だ。西山 虎太郎履正社)もキレの良い動きと肩の強さが光る好遊撃手だった。

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今年は多くの出場チームに強打者が揃う

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高階 成雲(札幌第一)

 外野手では、まずレフトは近畿大会で2試合連続本塁打を放った若林将平履正社)は神宮大会で爆発ならず。来春、安田とともに爆発となるか注目だ。またライトやセンターを兼任、静岡戦で決勝の適時三塁打を放った小西 優喜早稲田実業)も来年、長打力が磨かれるとより楽しみなスラッガー候補だ。また2試合続けて強烈な打球を飛ばした高階 成雲札幌第一)も守備、走塁を磨いていきたい左の強打者。

 俊足巧打であり、一発を打つ長打力を秘めた今野 克則札幌第一)も高い守備力、バットコントロールの良さを披露した。1年生ながら4番に座った成瀬 和人静岡)もパワフルなスイングで強烈な打球を飛ばしており、来春以降の進化に注目。右中間へ鋭い打球を連発、さらに俊足も披露した古谷 慎吾宇部鴻城)も注目だ。

 高校通算23本塁打の西浦 颯大明徳義塾)は走攻守ともに高いスキルを兼ね備え、評判も高かったが、神宮大会では目立った活躍ができず悔しい思いをしていた。西浦は福岡大大濠戦(レポート)の試合後に、「この冬は打撃フォームのすべてを見直していきたいです」とコメント。春ではどんな姿を見せてくれるだろうか。明徳義塾戦で3安打を披露した鈴木萌斗作新学院)は秋からしっかりと振りきることを意識し長打力がアップした左の強打者。さらに俊足、強肩の大型外野手で、春以降、プロを意識できる外野手へ成長を遂げられるか注目だ。

投手のトップ3は?

 ここまで野手の逸材を紹介してきたが、投手では竹田祐履正社関連記事)、三浦銀二福岡大大濠関連記事)、長谷川拓帆仙台育英関連記事)の3人がトップ。竹田祐決勝戦で145キロを計測。重量感のストレート、スライダー、フォーク、カーブを内外角に投げ分けていきながら隙のないピッチングを見せていく投球は、この世代でもトップクラスのものがある。三浦は内外角、高めへ投げ分けるコントロールが売りの好右腕。キレのある140キロ前後のストレートはさらに速くなりそうで、カットボール、スライダー、チェンジアップ、カーブの精度の高さも光った。

 長谷川は初戦敗退で終わったが、最速143キロをマークした。またキレの良いスライダーにも注目。制球力を磨き、春ではドラフト候補として期待できる左腕へ成長することを期待したい。そして140キロ近い速球とスライダーを投げ込んだ池谷 蒼大静岡)、最速137キロを計測した荒武 悠大宇部鴻城)、140キロを計測した佐川 正明仙台育英)の3人の左腕も目立った。

 今大会は近年まれに見る野手豊作年。来年はぜひ投手も成長を見せて、高校野球を盛り上げることを期待したい。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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