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甲子園の三大スラッガーは今井、村田、栗原だ!今大会の強打者・巧打者を一挙紹介!

2016.08.05

 昨年はオコエ瑠偉関連記事平沢大河関連記事といった野手のスター選手がいた。今年も3学年通してみると楽しみなスラッガーが多い。今年の注目野手たちを厳選してピックアップした。

今年、ドラフト候補に挙がるスラッガーは?

上:村田 雄大(横浜) 下:今井 順之助(中京)

 今大会注目のスラッガーといえば、高校通算68本塁打の今井 順之助中京関連記事)だろう。昨秋までで45本塁打、同校の先輩である松田 宣浩選手関連記事の60本塁打を目標にしていたが、それをあっさりとクリアした。そんな今井の持ち味はフルスイング。強靭な太ももをしていて、縦ぶりのスイングで捉えた打球は軽々とスタンドインする。今井は木製バットでも練習をしており、それでも本塁打を打てる打者だ。

 技術は非常に高く、これまで岐阜県内では敵なしの活躍を見せていたが、この夏、岐阜の各校たちは、勝負するより歩かせる方が賢明と考えて、今井との勝負を徹底的に避け、なんと13四死球となった。それにより打撃の調子を崩したのか、13打数2安打に終わった。だが2安打の中身を見ると、二塁打1本、本塁打1本と長打を打っているところはさすがだ。甲子園で勝負を避けられることは少ないはず。甲子園では好投手が多いので、好投手との力と力の勝負で、今井の長打力が復活するか注目していきたい。

 この夏、3本塁打を打っている村田雄大横浜)は185センチ85キロと恵まれた体格を誇る左の大型スラッガー。昨秋は体格に似合わず上手い打撃をする選手という印象であったが、がらりと変わった。右足を高々と上げてから、豪快なフルスイング。打ち損じすることなく、内角、外角、低め、高めのボールを捌き、ライトだけではなく、レフトにも飛ばす。横浜高の左打者では筒香嘉智関連記事以来の強打者ではないか。2年前の先輩・浅間大基関連記事よりもスラッガーとしての素質がある。強打の左打ち外野手としてアピールするために、甲子園でも豪打を披露したい。

 そして話題になりそうなのがここまで高校通算48本塁打の栗原健常葉菊川)。70センチ73キロと決して大きくないのだが、柳田 悠岐関連記事ばりのフルスイングで、豪快に打球を飛ばす。ただ振り回しているのではなく、軸のブレがなく、打ち損じすることなくボールを捉えることができる。恐らく今年の高校生打者では最も振れるのではないかという選手だ。小柄だがホームランを打てる左打者といえば、森友哉大阪桐蔭-埼玉西武関連記事)の名前がすぐに浮かぶが、栗原はまさにその系譜を受け継ぐ逸材ではないだろうか。さらに静岡大会7試合で7盗塁を決めている俊足も魅力。外野守備も強肩で、プレースタイルは非常に華やか。活躍すると一気に人気打者になれる可能性を持っている。

 最後は九鬼隆平秀岳館関連記事)。強打・強肩・俊足のキャッチャーだが、一瞬の判断、視野の広さが光る好捕手で、熊本大会では本塁打なしに終わったが、甲子園では走攻守すべてでチームを引っ張り、世代ナンバーワンキャッチャーに相応しい活躍を見せることができるか。

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[page_break:甲子園で注目を浴びそうな全国の強打者・巧打者たち]

甲子園で注目を浴びそうな全国の強打者・巧打者たち

 注目打者を北から見ていくと強打者・益田敦成、フルスイングが魅力の田城飛翔、投手よりも野手として素質を感じさせる櫻井一樹など打力が高い選手が揃った八戸学院光星打線はこの夏の注目。また山形大会では7本塁打を放った鶴岡東は大会3本塁打を放った丸山大、準決勝で満塁本塁打を放った佐藤要の3年生スラッガーコンビの打撃に要注目。

 6連覇を果たした作新学院は、二けた得点が全6試合中5試合と強打で圧倒したが、その中心となったのが山本拳輝だ。今年はショートを守る山本は守備力が高まり、栃木大会ではわずか1失策。ダイナミックな動きと強肩が光る好ショートへ成長。打っても打率.524を記録し、強い打球を放てる打撃フォーム、スイングの強さがある。また3年ぶりの出場を決めている前橋育英は、守備範囲の広い守備、さらにパンチ力ある打撃が光る好ショートストップ・小川龍成のワンプレーに注目だ。

 関東地区に目を向けてみる。常総学院では長打力と巧打力を兼ね備えた強打の三塁手・花輪直輝がこの夏にようやく本領発揮。関東一は野手それぞれに個性があるが、その中でもサヨナラ本塁打を放った佐藤佑亮は攻守のバランスが取れた好捕手で、甲子園でも活躍を期待したい。そして初出場の八王子では158センチのショート・竹中裕貴に注目。躍動感あるプレーは八王子スタンドに掲げられている横断幕「ありんこ集団」を象徴する選手だ。

 花咲徳栄は、走攻守三拍子揃い、プロのスカウトから注目を集めているショートストップ・岡崎大輔、打率6割を記録した楠本晃希は、春に比べてスイングもシャープになり、力強さが増した。また無失策を記録した三塁守備にも安定感が出てきた。そして優勝候補・横浜は大会3本塁打の公家響、大型二塁手・戸堀敦矢などタレント揃いだ。

瀧澤 虎太朗(山梨学院)

 5年ぶりの出場となる山梨学院山梨大会で打率5割を記録した滝沢虎太朗に注目。1年生の時から走攻守のバランスが整った選手だったが、最終学年となる今年、長打も打てる選手になってきた。主将として勝負強い一打を見せる。

 元山 飛優佐久長聖)は身体能力の高さがウリの巧打堅守のショート。リリーフとしてマウンドに登る時もあり、最速146キロのストレートを計測する。富山第一は強肩捕手・狭間悠希、身体能力が高い二塁手・岩城 竣貴の走攻守に注目。2年ぶりの出場の星稜は、石川大会1本塁打を放ち、さらに対応力の高い打撃でチームをけん引し、守備範囲の広さと強肩が光る虎谷貴哉が今大会注目の遊撃手。

 東海地区では、攻守の要でパワフルな打撃が光る捕手・米澤 利紀常葉菊川)、強打者揃いの東邦でも最も長打力がある小西慶治、また中京は勝負強い強打の二塁手・吉位翔伍に注目だ。

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[page_break:増田 珠、小泉 徹平など楽しみな下級生打者たち]

 近畿地区では169センチ87キロと豪快な体格を誇る「京都のドカベン」こと石原彪京都翔英)のパフォーマンスに注目。打っては1本塁打、守っては本塁から二塁までの送球1.8秒台と驚異的なタイムをたたき出し、投手の持ち味を引き出す好リードで、初出場を果たした。優勝候補・履正社は走攻守三拍子揃った福田観大など好野手揃いの布陣だ。

 選抜優勝智辯学園は高校生とは思えないぐらいハイレベルなリードを展開する岡澤智基がカギを握っている。中国地区では9年ぶり出場の鳥取境は3本塁打、2二塁打、10打点、打率.556と当たりまくった勝部浩平が要注目の強打者だ。また高川学園の好打者・相田聖人は打率が5割を超え、さらに8盗塁を記録している好打者だ。

 四国地区では尽誠学園松井永吉は勝負強さがウリの強打の三塁手。5連覇中の鳴門は徳島県屈指のスラッガー・手束海斗が自慢の長打力を甲子園で披露できるか。初出場の松山聖陵稲葉智也のパワフルな打撃に注目。ここ一番で魅せる勝負強さを発揮したい。明徳義塾は今年の高校生捕手を代表する古賀優大関連記事が打撃面でどれだけアピールできるか。

 最後に九州地区を見ていく。3年連続出場の九州国際大附では、長打力もあり守備力も高い中山竜秀、好打者揃いの秀岳館は春から急成長中のセンター・秀岳館原田拓実の俊足に注目。9盗塁をマークしており、甲子園でもその快速ぶりに注目が集まりそうだ。2年ぶり出場の大分は好野手揃いだが、その中でも巧みなバットコントロールを見せる佐藤陸をピックアップ。長打力もあり、二塁守備にもキレがあり、甲子園で魅せてくれそうだ。初出場の嘉手納は、決勝戦で豪快な本塁打を放った大石哲汰に注目。170センチ96キロと豪快な体格をした右のスラッガーだ。

増田 珠、小泉 徹平など楽しみな下級生打者たち

増田 珠(横浜)

 続いて下級生。下級生については「清宮には負けない!この夏の甲子園に出場する『清宮世代』のスラッガーたち!」「夏に暴れるスーパー1年生5人衆!野村・万波・下山・斎藤・小園に注目!」で一部の下級生を取り上げているので、それ以外の有望選手を紹介していきたい。一番の注目は増田珠横浜)。ゆったりと間合いが取れて、的確にボールを捉えることができる増田の対応力の高さは素晴らしい。神奈川大会決勝で2本塁打を打ったようにパワーが出てきた。そして注目は肩の強さ。ぜひシートノックで、ダイレクトで捕手のミットに届く増田のスローイングに注目していただきたい。

 2年生では1年生から注目されていた西浦颯大明徳義塾)が一塁手として出場。そろそろ大舞台で、違う姿を見せたい。勝負強い打撃、スピード感ある守備が光るショートストップ・三浦拓人大分)、強打者揃いの秀岳館の中で最も対応力が高い打撃を見せる右打者・木本凌雅、巧みな二塁守備と卓抜したバットコントロールが光る小泉徹平聖光学院)、千葉大会では不振に終わったが、強肩を生かした守備が光った峯村貴希木更津総合関連記事)も復活を期待したい。

 また1年生で注目したいのが180センチ85キロと恵まれた体格を誇る強打者・北村 恵吾近江)。滋賀大会でも勝負強い打撃を見せ、9打点を記録した。構えから威圧感がある選手で、とても楽しみな選手だ。

(文・河嶋宗一


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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