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【福岡展望・北部編】6年連続の北部から甲子園出場を目指して!小倉、自由ケ丘が有力

2016.06.18

 ここ5年間、北部勢が連続して出場している夏の福岡大会だが、今年は好投手が揃う南部に有力校がひしめく。春の九州大会優勝の福岡大大濠、同じく準優勝の西日本短大付、昨秋の福岡を制した九産大九産が3強を形成し、これを九産大九州小倉東筑自由ケ丘などが追う展開が予想される。秋に上位進出したチームが春も同様に勝ち上がるなど、昨年からの勢力図に大きな変化は見られず、今年はシード校を中心としたハイレベルな代表校争いとなりそうだ。まずは北部から今年の有力校を紹介していきたい。

今年の北部をリードする学校は?

土田 天洋(小倉)

 北部では、ともに県大会(ベスト8)出場を果たした小倉東筑自由ケ丘の3校が頭一つ抜け出している。
小倉は、前チームから4番に座る高校通算42本塁打の主砲・土田 天洋、俊足巧打の1番・山﨑 瑛一郎などを中心に打線が活発。昨秋は準決勝で九産大九州の好投手・岩田 将貴から8点を奪って攻略、九州大会出場を決めた。

 負傷のため秋は出場を回避した主力の吉永 快斗が復帰して3番に入ったことで厚みが出た打線は、春の北部大会4試合で32点を奪い、4月の北九州地区大会でも5試合で33点をあげて優勝。ただ、秋季大会決勝では九産大九産梅野雄吾関連記事から1得点に終わり、春季大会は準々決勝で九産大九州岩田将貴に完封負け。全国クラスの好投手をいかに攻略できるかが課題となる。

 投手陣は2年生エース・中野 裕斗に安定感があるが、中野に続く先発投手が手薄なのが気になるところ。それでも北部では秋の大会、春の大会、北九州地区大会と12戦して無敗。実績は筆頭格だ。

 東筑はエース・梅田 祥伍を中心に守りが堅い。秋春とも北部大会では全試合を3点以内に抑えて県大会に出場した。左腕の梅田は直球の球速こそ120キロ台だが切れのよい球を投げ、スライダー、チェンジアップなどの変化球を低めに集めて打たせて取る。牽制やフィールディングにも優れ、走者を出しても簡単に点を許さない粘り強さが持ち味だ。右サイドハンド・金田 拓海、普段は外野を守り直球に勢いのある遠藤 龍之介なども公式戦で好投しており、投手陣は充実している。

 打線は長打力こそないが、山下 廉太水上 尚の中軸を中心に鋭い振りを見せる。公式戦では九州国際大付自由ケ丘飯塚東海大福岡など北部の私立強豪にも勝っており、春の大会では福岡大大濠九産大九州などとも接戦を演じた。派手さはないが、競り合いに強みを発揮する。

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[page_break:投手陣の層の厚さは自由ケ丘がトップクラス]

投手陣の層の厚さは自由ケ丘がトップクラス

柳原 優太(自由ヶ丘)

 底を見せていないという点で、伸びしろがありそうなのが自由ケ丘は右の本格派・岩田 諒大を中心にベスト8に進出したが、はその岩田抜きでベスト8入りを果たした。岩田に代わってマウンドにあがったのは湯浅 絢太岡本 周大柳原 優太などの右投手。長身の湯浅は重い直球に大きなカーブがある。岡本は130キロ超の直球にチェンジアップなどで緩急をつけ、テンポよく投げ込んでくる。

 柳原は140キロ超の直球とスライダーを武器に三振のとれる投手で抑え候補。これに岩田が加わる投手陣の厚さは、県内でも屈指といえる。打線は4番・天野 雅和を軸に、上位から下位まで切れ目なく強い打球を放つ。春以降もチームが底上げされており、夏に向けてもメンバーの入れ替えが予想される。秋春とも勝負処で四球や失策が目立っただけに、ミスを減らすことが課題だ。

 これに続くのは、希望が丘東海大福岡九州国際大付などだろう。
希望が丘昨夏ベスト8に進出した時のレギュラーが内野陣を中心に残っており、経験は豊富。昨夏も活躍した右アンダーハンド・山村 晃輝には安定感がある。昨秋も県大会に出場し、準々決勝では優勝した九産大九産と延長戦にもつれる接戦を演じた。春もパート決勝(5回戦)まで進むなど堅実な成績を残している。

 4月に東海大五から校名を変更した昨年の準優勝校・東海大福岡大庭 龍介大平 颯汰の両投手をはじめ、奥田 勝彦柴田 友行ら昨夏決勝の舞台を経験した主力も多く残る。昨秋も上位進出が期待されたが不祥事により大会途中で出場を辞退、も3回戦で東筑に敗退した。しかし4月の福岡中央地区大会では育徳館飯塚など力のあるチームを破って優勝。シード権を獲得し、今年も夏に向けて戦力を整えてきた。

 夏3連覇を狙う九州国際大付は、投打とも昨年よりひとまわりスケールダウンした印象は否めない。カギを握るエース・藤本 海斗は140キロ超の伸びのある直球が武器の本格派だが、春は制球に苦しみ、パート決勝で自由ケ丘打線に打ち込まれるなど課題を残した。制球にすぐれる石本 大虎の2人でどこまで踏ん張れるか。

 打線は昨夏の甲子園を経験した右の好打者・中山 竜秀、左の立石 蓮ら中距離ヒッターが軸。山本 武白志(DeNA)らのいた前チームに比べると長打力は落ちるが、今年は足を絡めた攻撃を見せている。センスある選手が揃うだけに、夏までに大きく戦力を底上げできれば、昭和34~36年の戸畑以来となる福岡大会3連覇が見えてくる。

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[page_break:常磐、星琳、飯塚など上位校の存在も見逃せない]

常磐、星琳、飯塚など上位校の存在も見逃せない

揚村 彰斗(飯塚)

 福岡常磐は昨夏も主戦として活躍した橘 晃弘が健在で、秋はパート決勝まで進出。北九州地区大会でも準優勝を飾るなど上位をうかがう。ベスト8の門司学園は、右腕・桃坂 太樹を中心に守りのよいチーム。春は希望が丘をパート決勝で破って県大会に出場した。両校ともシードされることが確実で、まずは県大会出場を目指す。

 4年前の優勝校・飯塚は秋春とも県大会出場を逃し、4月の福岡中央地区大会でも東海大福岡に準決勝で敗れ、シード権を逃した。直球に勢いのある角崎 友信、大きなカーブが武器の大山 海、経験豊富な恋塚 太志の3人の左腕の出来が上位進出のカギを握ることになりそうだ。打線は前チームでの実績のある武上 貴則揚村 彰斗らが中軸を担うが、投打とも昨夏ベスト8のチームと比べると物足りなさが残る。ただ、例年夏に照準を合わせてくるチームだけに、ノーシードとはいえ目が離せない1校だ。

 星琳秋季大会春季大会北九州地区大会と強豪との対戦が多く不運な面はあったが、昨夏ベスト16の京橋 幸多郎鬼塚 稜菊地 諒ら主力が残る打線に力強さのある実力校。右サイドハンド・原田 勇志、大きなカーブのある左腕・奈良 大輔、直球に力のありそうな右腕・富山 大地などの投手陣の踏ん張りが上位進出のポイントとなりそうだ。

 北九州市立は右腕・今山 幹太を中心に複数の投手を擁し、打線も麻生 佳汰らを中心に力がある。秋は飯塚を破るなど県大会出場の力は十分にある。真颯館は1年時から出場している岡 天斗江頭 慶の両左腕、主軸の合屋 祐希らが最後の夏を迎える。ここまで実績らしい実績は残せていないだけに、最後に意地を見せたいところだ。

 鞍手嘉穂の筑豊勢も力をつけており、鞍手は打力、嘉穂は投手力が高い。福岡八幡、豊国学園、福岡光陵、八幡南なども秋あるいは春に上位進出の経験があり、シード校を倒しての県大会出場を狙う。

 次は南部の有力校、見所を紹介していきます。

(文・光本 宜史


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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