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2016年の高校野球を占う【新潟編】「日本文理・村上桜ヶ丘の二強体制に待ったをかけるチームは?」

2016.03.08

 プロ野球では各球団キャンプを打ち上げ、3月25日に開幕するペナントレースに向け、オープン戦が本格化している。大学野球もリーグの異なる大学同士のオープン戦が増えてきた。まさに球春到来といっていい3月。高校野球も3月8日に練習試合が解禁になり、3月21日から、第88回選抜高等学校野球大会が開幕する。残念ながらこの選抜大会に新潟県内の高校は出場しないが、4月から始まる春季大会に向け、注目校の戦力分析と展望をお届けしたいと思う。

今年は日本文理、村上桜ヶ丘の二強に注目

藤塚 光二郎(日本文理)

 前チームでは、秋季春季夏季大会の全てを制し、県内公式戦負けなしという絶対的存在だった中越。昨年秋からのチームでこの中越のような存在になりそうなのが、日本文理だ。

 飯塚 悟史(現・横浜DeNAベイスターズ)卒業後、投手陣に苦労し昨夏は惜しくも準優勝。だが、秋季大会ではその悔しさをバネに投手陣が奮起。夏の決勝で先発した藤塚 光二郎(新3年)は持ち前の制球力に磨きを掛け、エース格に成長。この他にも、稲垣 優人(新3年)、稲垣 豪人(新2年)が藤塚と背番号1を争うなど、チーム内で高いレベルでの競争が成長につながっている。打線に目を向けても、明るい話題は多い。

 軽打から外野の間を抜くヒットまで巧みに打ち分けるリードオフマン・齋藤 輝一(新3年)、昨夏からレギュラーの寺杣 直泰(新2年)が出塁し、経験豊富な荒木 陵太(新3年)、打力を活かすために外野に挑戦した川村 啓真(新2年)、昨秋の決勝で本塁打も放った澁谷 唯人(新3年)というクリーンナップが返す。伝統の強力打線は、今年も県内屈指の破壊力だ。昨秋の北信越大会では準々決勝で涙を飲んだが、その悔しさをバネに、一冬越えてどこまで成長したのか楽しみだ。

 この日本文理を追うのは、昨秋決勝で対戦した村上桜ヶ丘。昨夏からエースナンバーを付ける大型右腕・山田 天斗(新3年)は、大崩れせず、ゲームを作れるのが魅力。背番号10・稻垣 健太(新3年)との継投で勝ち上がってきたが、山田が体をしっかりと作り、スタミナ、球威の部分で大きな成長を見せると、日本文理打線前に大きく立ちはだかる存在になりそうだ。打線はつながり出すと止まらない。

 下級生ながら、物怖じしない積極的なバッティングを見せる1番・増田 慶太(新2年)から始まり、長谷川 誉(新3年)、須貝 祐次郎(新3年)、石栗 飛雄馬(新3年)のクリーンナップは勝負強い。ここに昨秋はケガで出られなかった昨夏の4番・西野 護(新3年)が帰ってくるとますます打線に厚みを増す。新発田農業で加藤 健(現・読売ジャイアンツ)を育てた名将・松田 忍氏のもと、厳しい練習を乗り越えた選手たちの成長に期待したい。

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2チームを待ったをかける県内No.1左腕

江村 伊吹(北越)

 この2チームを追う高校として、秋季地区大会で敗れた北越を挙げたい。安定感を増した県内NO.1左腕の呼び声高い江村 伊吹(新3年)の出来にかかってくる部分は大きいが、それをサポートする意味でも小林 太郎(新3年)ら投手陣の奮起が期待される。打線は、ヒットは出るもののチャンスであと一本が出ず得点につなげられなかった秋の課題をどう克服できるか。10安打放ちながら1点しか取れず惜敗した秋の敗戦を糧に、チャンスでどのようなバッティングを見せるのかがチームの明暗を決めるだろう。

 もちろん秋季大会ベスト4東京学館新潟五泉も忘れてはならない。東京学館新潟は、粘りの投球が信条のエース・山田 佳偉(新3年)を打線がどれだけ援護できるかが鍵になるだろう。相手投手の球に慣れてくる中盤以降に得点するケースが多いだけに、先取点を与えないことが上位進出への鍵になりそうだ。五泉秋季大会では、リードオフマン・川﨑 諒(新2年)、4番の成田 仁(新2年)ら下級生の活躍が目立った。秋の大会では粘り切れず4位だった悔しさをエース・廣瀬 生成(新3年)ら上級生がどう受け止め、長い冬を乗り越えたのか気になるところだ。

 そのほか、現時点での注目選手を挙げていこう。

近年苦しい戦いが続いている新潟明訓には1年から試合に出場しているセンスあふれる打撃が魅力の2人、秋葉 悠(新3年)、栗山 兼(新3年)、強力北越打線を抑えベスト8進出の立役者となった右サイドハンドの新潟商藤﨑 千広(新3年)、昨夏投打に大活躍ながら秋はケガに泣いた帝京長岡バンゴーゼムゲレック 高(新3年)、下級生主体のチームの中で打線の軸となる加茂暁星遠藤 莞生(新2年)、昨秋2試合連続完封で注目を集めた糸魚川松澤 寛人(新3年)。

 ただ、ここでの情報はあくまで昨秋の時点でのものであり、高校生は一冬でどれだけ伸びるかは計り知れない。春の大会では、この冬に大きな成長を見せた選手、そして新入生がどれだけ新戦力として活躍できるのか、期待したい。

(文・編集部


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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