國學院大・上月コーチが伝授する「握り替え」の3つのポイント【vol.2】
國學院大学の上月健太コーチによる内野守備ポイント解説。第1回目では、ゴロに対して近づくところから、捕球までのポイントを語っていただいたが、第2回の今回は握り替えからスローイングまでポイントを解説していただいた。
握り替えは内野守備の一番肝になる局面であり、またスローイングは「アウトを捕る」ために最も重要な局面と言えるだろう。国学院大や東海REXでは名手として名を鳴らした上月コーチは、どのような考え方で取り組み、また選手たちに指導を行っているのだろうか。
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9年で5人の内野手をプロへ輩出した國學院大コーチが伝授する知られざる基本【vol.1】
右手の欲しいところにボールを持っている
走者を刺すためには握り替えをいかに早く行うかが大きな分かれ目で、「握り替え」はまさに内野手の見せ場ともいうべき局面だ。上月コーチは、そんな握り替えのポイントとして、「右手にとって都合の良いところで捕球すること」を挙げる。
「握り替えは一番肝になるところで、上手くできればバウンドが合っていなくても何とかごまかせるかなと思っています。練習でもよく選手に『上手くごまかしたなぁ』と言いますが、それはどちらかと言うと褒めています。
これは捕球にも繋がってきますが、捕球して早く握り替えを行いたかったら、右手にとって都合のいいところで捕球するのが一番いいと思います。最終的に右手にボールが欲しいので、握り変えたい所にボールがあれば早くに握り変えることができます。
よく選手で多いのが、クラブの方の手の都合で右手を合わせていくことです。それではロスがあるので、右手のためにグラブを添える意識が大事です。なのでボールの入り方にも繋がるかなと思います」
身体の中心を沿うように
また、最近取材を行う中で中高生がよく語るのが、握り替えの際のポイントとして、腰の辺りで割る意識を持つ選手が多い。この「割る」という意識については、上月コーチはどのように考えるのだろうか。
「割ることは大事だと思いますが、割った結果両手が広がってしまうとそこからの送球は難しくなります。そうではなくて、できるだけ自分の体の近くにボールがあると送球がスムーズにいきます。
割る際には、手を広げるのではなく肘や胸を割る意識を持つ良いと思います。 だから捕球時に右手にとって都合のいいところにもっていくのもそういうことです。
手を広げると意外と捕球が安定するのですが、スローイングまでスムーズにいきません。大学野球や足の速い選手だと、それが慌てる原因になって送球が逸れる可能性もあります。できるだけ身体の中心に寄っていくような意識で送球すると良いと思います」
投げ終わりは手が「グー」に
そしてスローイングの際には、自分の右側の打球、左側の打球、正面の打球の大きく三つに分かれる。
右側の打球は体を縦に使い、左側の打球は体の中心に寄せるような意識を持ってスローイング行う。
また前の打球に関しては、打球まで近づいて横に抜けるようにスローイングを行うか、もしくはランニングスローにもっていくと良い。
「気をつけなくてはいけないのが、勢いだけで突っ込んだ状態でスローイングをしてしまうことです。それでは暴投になったり。小手先だけでいってしまい引っ掛けてしまうことに繋がります」
中にはスナップスローが上手くいかない選手もいるが、そういった選手の特徴が投げ終わった後に手が「パー」の状態になっていることだ。しっかりとボールに指が掛かっていれば、手が握っている状態になるという。グッと握る意識を持つことで、縫い目が指に掛かるのだ。
「昔よく長嶋茂雄さんのスローイングを真似する方が多かったと思いますが、長嶋さんも指が前に向いているように見えて、実はよく見ると最初はグッと握る形で投げた上で最後にスーッと指を前に向けているはずです。僕も昔よく真似しました」
今回の第2回では、握り替えからスローイングまでポイントを解説していただいた。最終回となる第3回では、これまで解説いただいたポイントを、実際にどのように普段練習していけば良いか解説いただいた。次回も是非ご覧頂きたい。
(取材・執筆=栗崎 祐太朗)
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