環境の変化に適応する(2/2)
6月になりました。早い地区では、そろそろ夏の大会の抽選会ではないでしょうか。ドキドキしている主将・選手も多いのではないでしょうか。私もマネージャーをしていましたから、現役時代の抽選会のドキドキを今でも覚えています。
先月から「環境の変化に適応する」をテーマにお話ししています。大会が近付くにつれ、プレッシャーを感じている選手はいませんか?食事はしっかりと摂れているでしょうか。もう一度自分の生活スタイルを見直して、ストレスに打ち勝ちましょう。
忘れないでほしい水分補給
忘れないでほしい水分補給
どうしても後回しにしてしまいがちなものが「水分補給」です。体内での水分の働きはいくつか挙げられますが、その1つに「体温調節」があります。体温は運動などで発生した熱で上昇しますが、汗を出し蒸発することで体外に熱を放散しほぼ一定に保たれています。ちなみに、条件によって異なりますが多い時で1時間に1~2ℓもの発汗が認められると言われています。
では、水分補給ができていないとどうなるのでしょうか。
もちろん、体温の調節ができないわけですから体温が上がり続けます。体重の3%の水分が失われると運動能力が低下、5%で腹痛や吐き気、持久力の低下がみられます。
練習前や休憩中、練習後などに体重を計り状態を把握するのも脱水予防の手段の一つです。
発汗すると、体内のナトリウムやカリウムなど(電解質)も同時に排出されます。これらの電解質は、体温調節はもちろん筋肉の収縮など体内で重要な働きをしています。ですから、発汗量が多い時(暑い時や練習が長時間になる場合)は電解質の補給もしましょうね。市販のスポーツドリンクでもいいですし、オリジナルドリンクを作ってもいいでしょう。
脱水状態は、選手にとってパフォーマンス低下だけでなく強いストレスにもなります。運動中のこまめな水分補給を心がけましょう。(水分補給については第9回コラムをご参照ください)また、指導者の皆さんは水分補給への配慮をよろしくお願いします。
栄養補給の工夫
栄養補給の工夫
先月、「ご飯抜きはダメ」というお話をしました。食事を抜きがちだったあなた、少しは食べられるようになったでしょうか。「まだ無理!」という人もいるかもしれません。今回は栄養補給のポイントをお話します。
「環境に負けず、しっかり食べること!!」と言いたいところですが、理想論。もちろん、できる人はしっかり食べてくださいね。
では、なかなか食欲がわかないときはどうしたらいいでしょう。
(1) 喉ごしのいい食品を取り入れる。
食が進みにくい時は、麺類や豆腐など喉ごしのいい食品を取り入れましょう。ただし、それだけでは栄養に偏りが出てしまいますので、それだけにならないようにしましょう。また、市販の麺類は特に野菜が少ないですから、他の食品から補給しましょう。
(2) 食欲増進アイテムを利用する
食欲がどうしても出ないとき…それでも食べないといけませんから、食事に一工夫して食欲を出すのも手段の一つ。唐辛子などの香辛料、カレー粉などのスパイス、にんにくや生姜などの香味野菜。これらは食欲を増進させてくれるアイテムです。上手に取り入れて食欲を増進させたいですね。
(3) 三度で足りないときは、小分けにして摂取
前回と重複しますが『食事は3度』と決まっているわけではないのですから、一度の量が少ない場合は補食を取り入れて食数を増やしましょう。「授業の休み時間などの時間を見て補食をとる(取っていいかの状況判断はご自身でお願いします)」1日の食事量をキープする(もしくは増やしていく)方法の一つです。おにぎりやゆで卵などをうまく利用するといいと思います。
ストレスには、ビタミンも効果を発揮してくれます。ビタミンAやビタミンC、ビタミンEなど抗酸化作用をもつ栄養素は非常に大事になってきます。色の濃い野菜や果物に多く含まれますので、あわせて摂っていきたいですね。
2回にわたってお話してきた「環境の変化に適応する」いかがでしたでしょうか。今からでも夏の大会にはまだ間に合います。早めに生活スタイルの見直しと対応をしてくださいね。
■ 次回の栄養学一口コラムの公開は2012年07月01日予定です。お楽しみに!