貧血予防(2/2)
第47回 貧血予防(2/2)2012年04月01日
寒かった冬も終わりに近づき、ようやく桜の便りが届き始めました。皆さん、進級・進学おめでとうございます。新しい環境で野球に取り組むという人もいるでしょう。体調にはしっかり気をつけてくださいね。さて、先月から『貧血』についてお話しています。先月は、「貧血とは何か」や「鉄」のお話をしましたね。今月は、その『鉄』を効率よく摂取するためにはどうしたらいいかお話していきたいと思います。
「鉄」はこまめにしっかり摂る
先月お話しした通り、鉄の吸収率は低く動物性食品(肉類、魚介類)に含まれる「ヘム鉄」は10~30%、植物性食品(野菜、豆製品、果物、海藻類など)に含まれる「非ヘム鉄」は2~10%しかありません。平均でも10%程度の吸収率しかありませんから、まずは三度の食事からしっかり摂取する必要があります。欠食は、摂取のチャンスを減らすことにもなりますから、三度の食事(もちろん球児は補食も)をしっかり摂るように心がけましょう。
「鉄」の吸収率を高めるには
【貧血予防=鉄+ビタミンC+たんぱく質】
「鉄」の吸収を阻害するもの
【お茶を飲むタイミングに気をつけよう】
一方、「鉄」の吸収を阻害するものには「タンニン」や「フィチン酸」が挙げられます。
タンニンとは、コーヒーやお茶(緑茶・紅茶・中国茶など)の渋み成分、フィチン酸は加工されていない全粒穀物食品(玄米やライ麦など)に含まれる成分です。どちらも通常摂取する分には問題ありませんが、貧血予防や治療をしている人は注意が必要です。コーヒーやお茶は食事の際に飲む人も多いと思いますが、1時間程度時間をずらして飲むようにしましょう。同じお茶でも茶葉を使っていないもの(麦茶やハーブティーなど)であれば大丈夫です。
繰り返しになりますが、鉄の吸収率は低いです。この中にも、もしかすると鉄剤やサプリメントで摂取しているという人もいるかもしれません。
ただし、「鉄」も過剰摂取を続けると臓器に沈着して機能不全を起こしたり、他の栄養素の欠乏につながったりしますので、これらを利用する際にはきちんと専門家の指示を仰いでください。(通常の生活で過剰摂取になることはありません)
貧血は、単にパフォーマンスの低下につながるだけでなく、一度なってしまうとずっと対策をしなくてはなりません。それを防ぐためにも、日々の食卓から工夫をしていきたいですね。
■ 次回の栄養学一口コラムの公開は2012年05月01日予定です。お楽しみに!