目次

[1] 心を合わせた「拍手」と「アップ」
[2] 松山聖陵、2014年バージョンで加える「丁寧さ」
[3] 「全員野球」で目指す愛媛・夏の初戴冠


全員で太陽をつかむ夏

 一年前、今春の東都大学リーグで亜細亜大6連覇の救世主となった右腕・嘉陽 宗一郎を大黒柱に、6年ぶりとなる全国高校野球選手権愛媛大会ベスト4へ進出した松山聖陵高等学校。今季は1999(平成11)年沖縄尚学(沖縄)の三塁手として沖縄勢センバツ初優勝、春夏連続出場を経験した荷川取 秀明監督に導かれ、新たな形での「全員野球」で夏の愛媛初頂点を目指そうとしている。そのキーワードを6月の練習から探った。

心を合わせた「拍手」と「アップ」

心を一つにして全員野球で夏に挑む

 6月18日・水曜日夕刻。選手権愛媛大会のメイン会場・坊っちゃんスタジアム。その外周を松山聖陵の選手たちは必死の形相で走っていた。今月は3年生と下級生の選手権メンバーは野球部寮を使った長期合宿中。疲労もピークにある中で最後に行なわれた「全員リレー」は、彼らの疲労感を容赦なく増幅していく。

 にもかかわらずアンカーのゴールを迎える選手たちの輪からは、まるで爽やかな風が吹き抜けるかのように拍手が鳴り響いた。これが「僕らの代から気付いたら、みんながするようになっていた」というのは主将の国吉 翔平だ。これで選手同士が健闘を称えるのである。

「みんなで打って、守って、みんなで喜ぶ」と藤田 大輝(2年)が説明するように、練習に対して、選手だけでなく、荷川取 秀明監督や平田 直輝コーチからも、選手の頑張りを讃える声がかかり、ゴールの後、選手とスタッフの間には笑顔があふれる。

 翌日、松山市久万ノ台の小高い丘の上にある学校横のグラウンドで始まった通常練習でも、心を合わせた動きは継続された。グラウンド整備は全員が担当。「謙虚な心と全力疾走!」を5回連呼し一礼後に始まったランニングや体操は正に「一糸乱れず」。続いて「3、4年前からチームのベースを作り、緊張感を作るために採り入れている」(荷川取監督)ラダー・ハードル、1年生はタイヤを使ったステップトレーニングでも、同じ動きが列をなした。

「僕は全員が同じ方向に向いて戦うことが強いと思っているので、最後まで競わせながら、自分に何ができるかを考えて行動できるようにチームを作っています」

 指揮官の一貫した方針の下で、3学年が全て入った形で5班制を作り行なう毎朝の学校・寮周辺のゴミ拾いや、寮内の食事当番制など、グラウンド外でも全員でかかわることを重要視する松山聖陵野球部。「沖縄尚学当時に行なっていて判断が養われたので、松山聖陵でも取り入れている」3人1組でのキャッチボールを含めた一連のアップは「3年生に言われないようにしっかりすることを心がけている」齋藤 友紀(2年・遊撃手)など、上級生から下級生まで全員の意識が統一されていることがはっきり解るものだった。


第96回全国高等学校野球選手権大会 特設ページ

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