目次

[1] 地域の人たちの協力で育てられた「南高」
[2] 自分たちの野球をやっていこうという意識
[3] 創立60周年に刻む新たな歴史

公立校の現在地

 横浜を筆頭に東海大相模桐蔭学園桐光学園慶應義塾など全国的にも知られている強豪がひしめきあっている神奈川県。選手権神奈川大会に参加する190校は全国最多。その頂点に立つのは並大抵のことではない。まして公立校にとって、その壁はとてつもなく厚い。そんな中でこの春、横浜市立高校がベスト8に進出した。準々決勝慶應義塾に敗れたものの、夏を占う上で外せないチームとしてファンの記憶に刻まれた。

 学校の前の通りはかつて「南高通り」と呼ばれていた。その通りに面した正門から入ると、校舎の脇にスタンド付きのグラウンドがある。これが、野球部の専用球場である。

地域の人たちの協力で育てられた「南高」

 グラウンドに恵まれない都会の公立校をイメージしていると、驚いてしまうほどの充実した施設。これは、市立校でもある高が、60年前の創立の際、同じく市立の横浜商の普通科的な位置づけだったことと関係がある。地元の有志たちが学校を「誘致」したという。さらに、グラウンドの用地を彼らが準備したとのこと。まさに地元の人たちに支えられてきたチームであった。

 高校野球と地域社会が良好な関係を保つことは理想だ。それを形にしているのが、高校と地元の関係と言える。

学校すぐ前の信号にも「南高」の表記

 これだけのグラウンドを保有しているので、毎年春秋の県大会予選となる横浜地区ブロック大会では会場校となる。神奈川県の場合は、それだけでもかなり有利だ。というのも、会場校であればブロック予選の段階で横浜慶應義塾横浜隼人横浜商大高といった甲子園出場実績があり、同じく会場校となっている強豪校との対戦を回避できるからだ。

「自分が現役の時は、それほど思わなかったですけれども、指導者となって監督という立場になってみると、これは有利」
 と、同校の出身で就任4年目となる近内 真一監督も認めている。

 県下の公立校の中でも高は組み合わせにおいて、好条件ということが言える。また、今の3年生をはじめ、近内監督も含めて、「このグラウンドがあるから、公立校で野球をするならここだと思った」という意識で高を選んで入学してきている選手も少なくない。なので目的意識の高い選手が集まる傾向にある。それに、進学校としての実績もある学校なので、親としても安心して子どもを進学させられるということもあるだろう。

 とはいえ、それだけでベスト8に残れるほど神奈川県の野球は甘くはないのは確かだ。どのような練習を積んでいったのだろうか。

第96回全国高等学校野球選手権大会 特設ページ

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