目次

[1] チームへの帰属意識を育んでいくことも大事
[2] 思い切ったオフ期間の週休二日制と体重増加計画
[3] 3年生全員を必ず一度は背番号をつけてベンチに入れていきたい

[4] 段階を経て、一つひとつ目標達成をしていく姿勢

 最激戦区と言われている神奈川大会で、過去2度の決勝進出の実績のある向上。また、関東大会にも、今春を含めて2度の出場実績を誇っている。甲子園まで、あと一歩のところまで来ている。100人以上の多所帯だが全員でまだ届いていない甲子園を目指す。
 その舞台へ向ける思いは強いが、特徴的なのは部の組織運営を会社的なシステムとしていることだ。各自がそれぞれの役割で責任を担うことで、意識を高め合っている。そんな向上のこの夏へ向ける意欲とテーマへの取り組み姿勢を紹介してもらった。

チームへの帰属意識を育んでいくことも大事

平田監督の指示を聞く選手たち

 100人を超える部員がいる向上野球部。それだけの人数がいるということは、各学年だけでも30人以上いるということになる。それは、当然3年生であってもベンチ入りから漏れる選手も出てくるということだ。
 ベンチ入りメンバーの数が限られている以上仕方のないことである。しかし、100人以上いれば、組織作りとしてチームへの帰属意識を育んでいくことも大事な要素となる。そのためにすべての部員に、部としての仕事を与えて責任と自覚を持たせていく。バットやボールを持たない活動の中で何をするのか、それぞれの班で計画して、プレゼンをしてそれが通れば実行していくというスタイルだ。それは、あたかも組織や会社と同じ捉え方ともいえる。

 向上野球部の活動の根底には、そうした考え方がある。それは、平田 隆康監督が大学(駒澤大)を卒業後4年間、NTT関連の企業でサラリーマン生活をしていて、その間に経験し学んだことも大きい。
「実際、社会に出た時に感じましたね。上から言われたことだけをやっていたのでは、便利屋として使われるだけで終わってしまう。社会に出ると、納得いかないことも多いと思います。上からの指示通りにだけやっていたのでは、マッチしないことも多くあるということがわかりました。そうした中では、言いたいことを言える姿勢、自分の言葉で意思表示できるということも大事なのです。そのためには、それぞれの役割の中で、責任を持っていくということです」

 そうした思いもあって、部内でさまざまな班を設けてあり、各班が自分たちの意志で積極的な活動をしていくことを奨励している。つまり、自分たちの責任や役割を認識していけるようにしているのだ。

 例えば、レクリエーション班は「日本一にちなんだもの」というテーマで、どこへ行って何を学ぶのがいいのかということを研究して提案する。そうした中で、今年の2月1日には「日本一の集客力を誇っているディズニーランドへ行こう」ということに決まった。

 もちろん、オフのレクリエーションでもあるのだが、そこでも班の代表者は、そこで仕事をしている人たちに積極的に質問をしていくという姿勢だ。こうして、社会勉強をしていくとともに、何か自分たちにも生かせられるものはないか探していく。質問の答えで自分たちにもすぐに導入できることをA、少し工夫をすればできることをB、ディズニーランドならではのことはCとランク付けして検討した。こういったことを通してビジネス感覚を育んでいくことも、大事な練習の一つと捉える。それは、向上野球部という組織の中では、欠かせないことだと位置付けている。