第138回 向上高等学校(神奈川)2014年05月20日

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【目次】(ページ下部のフォトギャラリーもチェック!)
[1] チームへの帰属意識を育んでいくことも大事
[2] 思い切ったオフ期間の週休二日制と体重増加計画
[3] 3年生全員を必ず一度は背番号をつけてベンチに入れていきたい

[4] 段階を経て、一つひとつ目標達成をしていく姿勢

 最激戦区と言われている神奈川大会で、過去2度の決勝進出の実績のある向上。また、関東大会にも、今春を含めて2度の出場実績を誇っている。甲子園まで、あと一歩のところまで来ている。100人以上の多所帯だが全員でまだ届いていない甲子園を目指す。
 その舞台へ向ける思いは強いが、特徴的なのは部の組織運営を会社的なシステムとしていることだ。各自がそれぞれの役割で責任を担うことで、意識を高め合っている。そんな向上のこの夏へ向ける意欲とテーマへの取り組み姿勢を紹介してもらった。

チームへの帰属意識を育んでいくことも大事

平田監督の指示を聞く選手たち

 100人を超える部員がいる向上野球部。それだけの人数がいるということは、各学年だけでも30人以上いるということになる。それは、当然3年生であってもベンチ入りから漏れる選手も出てくるということだ。
 ベンチ入りメンバーの数が限られている以上仕方のないことである。しかし、100人以上いれば、組織作りとしてチームへの帰属意識を育んでいくことも大事な要素となる。そのためにすべての部員に、部としての仕事を与えて責任と自覚を持たせていく。バットやボールを持たない活動の中で何をするのか、それぞれの班で計画して、プレゼンをしてそれが通れば実行していくというスタイルだ。それは、あたかも組織や会社と同じ捉え方ともいえる。

 向上野球部の活動の根底には、そうした考え方がある。それは、平田 隆康監督が大学(駒澤大)を卒業後4年間、NTT関連の企業でサラリーマン生活をしていて、その間に経験し学んだことも大きい。
「実際、社会に出た時に感じましたね。上から言われたことだけをやっていたのでは、便利屋として使われるだけで終わってしまう。社会に出ると、納得いかないことも多いと思います。上からの指示通りにだけやっていたのでは、マッチしないことも多くあるということがわかりました。そうした中では、言いたいことを言える姿勢、自分の言葉で意思表示できるということも大事なのです。そのためには、それぞれの役割の中で、責任を持っていくということです」

 そうした思いもあって、部内でさまざまな班を設けてあり、各班が自分たちの意志で積極的な活動をしていくことを奨励している。つまり、自分たちの責任や役割を認識していけるようにしているのだ。

 例えば、レクリエーション班は「日本一にちなんだもの」というテーマで、どこへ行って何を学ぶのがいいのかということを研究して提案する。そうした中で、今年の2月1日には「日本一の集客力を誇っているディズニーランドへ行こう」ということに決まった。

 もちろん、オフのレクリエーションでもあるのだが、そこでも班の代表者は、そこで仕事をしている人たちに積極的に質問をしていくという姿勢だ。こうして、社会勉強をしていくとともに、何か自分たちにも生かせられるものはないか探していく。質問の答えで自分たちにもすぐに導入できることをA、少し工夫をすればできることをB、ディズニーランドならではのことはCとランク付けして検討した。こういったことを通してビジネス感覚を育んでいくことも、大事な練習の一つと捉える。それは、向上野球部という組織の中では、欠かせないことだと位置付けている。

【次のページ】 思い切ったオフ期間の週休二日制と体重増加計画

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プロフィール

手束仁
手束 仁
  • 生年月日:1956年
  • 出身地:愛知県
  • ■ 経歴
     愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
     99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
     さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
     2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。

     スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
     その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。
  • ■ 著書
    都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社) 
    甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
    高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)

    話題作となった
    甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
    スポーツ進学するならコノ高校
    東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
    三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
    スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
    高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
    野球県民性』(祥伝社新書)
    野球スコアつけ方と分析』(西東社)
    流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW!
  • ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
  • ■ 手束仁 Official HP:熱中!甲子園
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