第137回 豊川高等学校(愛知)2014年04月29日

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[1] 結果を出したことで、次への目標が育まれていく
[2] ブレない心で、すべてがうまく回っていくようになった
[3] 一度呼び込んだ流れは、個々の自信となっていった

[4] 学生コーチを中心に具体的な練習を回していき問題解決能力がアップ

結果を出したことで、次への目標が育まれていく

 今春、甲子園初出場を果たした豊川。フレッシュな赤のタテジマのユニフォームが甲子園に躍動して、ベスト4に進出。バッテリーを中心とした確実な野球を推進していく一方で、選手個々が伸び伸びとプレーしている印象が強かった。そんな豊川の、魅力を探ってみた。

充実した施設とスタッフで、思う存分練習できる喜びを目いっぱい感受

 日本三大稲荷の一つの豊川稲荷。そのお膝元で、母体となっている豊川閣妙厳寺は曹洞宗の寺院だ。そこに奉られている神様が白い狐にまたがっているというところから、「狐のお稲荷さん」ということになったとも言われている。そして、その妙厳寺へ修行にくる若い僧のために創設されたのが豊川学堂で、1928(昭和3)年に豊川閣の中に設置された。当時は、夜間中学だった。これが、現在の豊川高の母体となっている。

JR豊川駅に掲げられている横断幕

 創部は戦後すぐの学制改革直前の1946(昭和21)年という歴史がある。甲子園にはなかなか届かなかったが、今春ついに悲願の初出場を果たしたかと思ったら、ベスト4まで進出。赤のピンストライプとストッキングは、たちまちその存在を全国にアピールした。

 もっとも、豊川の運動部としては、それより先に男女の駅伝部や水泳部が全国優勝を果たすなど活躍していた。ことに、女子の駅伝では昨年を含めて、全国制覇4度の実績を誇り全国から目標とされる存在である。そういう意味では、県内ではスポーツの有力校としてのイメージは定着していた。

 むしろ、他の部を追いかける立場でもあった野球部としても、森福 允彦投手(現福岡ソフトバンク)を擁していた2003、04年と夏の愛知大会で連続準優勝。秋季県大会も昨秋含めて過去6度準優勝を果たすなど、何度も甲子園が手の届くところまでたどり着いてきていた。しかし、なかなかその壁を突破することが出来なかった。それが、昨秋の東海地区大会で準優勝を果たして、センバツ出場を果たすことが出来たのだ。

 チームを率いる今井 陽一監督は自身、中京(現中京大中京)時代には甲子園出場を果たし、ベスト4、ベスト8進出を果たしているチームで一番センターを務めていた。その後、社会人野球の北海道拓殖銀行でプレーをした。

 豊川の監督に就任したのは昨夏の愛知大会以降で、まだ就任1年も経過していない。しかし、それ以前の07年12月からコーチとしてチームを指導していた。そして、それまで監督を務めていたのが、現在の森 昌彦コーチである。実は昨夏の大会終了時点で、コーチと監督という立場を交代したという経緯がある。森コーチは96年のアトランタオリンピックの代表でもあり、抑えの切り札として活躍し、銀メダル獲得に貢献しているという実績がある。

 その森コーチと今井監督は、全盛を誇った中京時代の同級生でもあるのだ。
「このチームで全国制覇が出来なければ、監督を辞してもいい」
 と断言していた当時の杉浦 藤文監督は、準々決勝で水野 雄仁投手を擁する池田に敗退すると、本当に辞任してしまった。二人は、そんな強力なチームを体験してきたメンバーである。

 その二人の二人三脚でチームを作り上げてきたのである。専用球場を保有していて、恵まれたスタッフと、高校野球を学ぶには申し分ない環境ともいえるのだ。
「実際にやっていることは、森コーチは投手を中心にバッテリーを見て、私の方で野手を見ているというスタイルで以前から変わっていません」
 と言う。そんな中で育ってきた投手が、甲子園でも活躍した田中 空良君だった。
「当初は、田中と阿部(竜也)と落合(旺)とで競わせていこうと思っていたのだけれども、秋季大会を通じて田中がぐっと成長した」ということで、エースとなった。

 そして、そんな田中投手の良さを引き出していったのがチームの主将でもある氷見 泰介捕手だった。こうして、バッテリーを中心とした形のチームとして初めての甲子園に挑んだ。

ジャイアントキリングを起こせ

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プロフィール

手束仁
手束 仁
  • 生年月日:1956年
  • 出身地:愛知県
  • ■ 経歴
     愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
     99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
     さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
     2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。

     スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
     その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。
  • ■ 著書
    都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社) 
    甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
    高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)

    話題作となった
    甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
    スポーツ進学するならコノ高校
    東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
    三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
    スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
    高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
    野球県民性』(祥伝社新書)
    野球スコアつけ方と分析』(西東社)
    流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW!
  • ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
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