両翼30メートルのホームグラウンド

「狭い」とは聞いていたが、想像以上の狭さだった。
グラウンドよりは公園といったほうがいい。両翼と呼ぶほどの広さはなく、一塁線も三塁線も約30メートルの直線が取れる程度。外野ノック、カットプレーの練習はとてもじゃないができない。
「みなさん、驚かれますよ」
迎えてくれたのは、06年6月から指揮を執る石黒滉二監督だ。もともとは1942年に創立された伝統ある女子校・橘女学校だった。それが2004年から橘学苑に改称し、06年には男女共学に。この流れの中で生まれたのが野球部だった。
「はじめは同好会にちかいようなものでした。今でも覚えているのは、夏の大会のノックをノックバットではなく、選手が使う金属バットで打ったこと。ボールがなければ、ノックバットもない。ベースは段ボールを切ったものを使っていました」

▲石黒滉二監督(橘学苑野球部)