印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

第66回 目白研心高校(東京)2012年05月04日

 3人の部員たちは、この春が来るのをずっと、心待ちにしていた。
 昨年の夏は、3年生の先輩2人と、弓道部等の他クラブからも生徒をかき集めて、なんとか公式戦に初めて出場することが出来た。東東京大会初戦で攻玉社に0対10で敗れたが、創部3年目の目白研心野球部にとって、まずは大きな一歩を踏み出すことが出来た。

【目次】
[1]2人の先輩がつなげてくれた野球部
[2]日々、高まるモチベーション


特集 四月「新」特集

2人の先輩がつなげてくれた野球部

アップをする目白研心ナイン

 これまで女子校だった目白学園は、2009年に目白研心に校名を改称し、男女共学となった。同年、創部された硬式野球部の監督に就任したのが、鈴木淳史監督。
鈴木監督は高校時代、新潟明訓で2年生の夏に甲子園出場、3年時にはキャプテンを務め、最後の夏は新潟大会決勝戦まで勝ち進んだ。卒業後は、東都リーグの中央大学でプレー。在学中に教員免許を取得すると、その後、山梨県の日本航空でコーチを経験。
高校・大学ともに強豪校で、全国の舞台を常に目指してきた。また、厳しい上下関係やルールの中で、伝統校のプレッシャーも感じながらプレーをしてきた学生時代。そんな鈴木監督にとって、まだ創部1年の目白研心に赴任した当初は、 一体どんな思いを感じて指導をしてきたのだろうか。

「創部してすぐに、野球部に11人の部員が入ってきてくれました。だけど、ユニフォームを着てグラウンドに全員が集まることはなく、しばらくすると、9人が辞めてしまった。今、振り返ってみれば、僕と部員の野球に対する気持ちの温度差が大きかったんだと思います。だけど、その当時は気付けなかったんです。

それから部員が2人になって、大会にも出られない状況で、それでもその2人は野球部を辞めませんでした。他の部員と比べても、決して野球が上手いわけではなかった。だけど、彼らは野球がもっと上手くなりたいからと、残ってくれた。
あの2人が残ってくれたからこそ、今もこの野球部が存続しているんですよね。あいつらが、目白研心野球部のパイオニア。この野球部は、一番ヘタで、一番マジメなやつが、作ってくれた野球部なんです」
今年3月に行われた卒業式で、2人は鈴木監督のもとに来て、こう言った。
「先生、僕は3年間、高校野球をやって本当に良かったです!」

鈴木監督

 3年間、一度も試合で白星を挙げることが出来なかった。それでも2人にとって、鈴木監督のもとで野球を学べたことは、かけがえのない経験となったのだ。
また、そんな2人と、僅か3ヶ月間、一緒に野球が出来た(当時)1年生部員3人にとっても、先輩の前向きに練習に取り組む姿をみて、感じるものは大きかった。

 3年生が引退後、鈴木監督は1年生部員の3人にこんなことを伝え続けてきた。
「これからは、お前たちのチームだ。この3人で、目白研心野球部の歴史をさらにつなげていくんだよ」

まだ、野球部のルールもない。上下関係もない。目白研心というチームを、どんな色に染めるのか。どんな雰囲気にするのかは、彼ら自身だった。
鈴木監督は、自らが経験してきたような強豪校特有の雰囲気を部員たちに求めることは一切しなかった。3人の部員たちと共に動き、共に考え、そして見守り続けた。

「この状況で、この人数で野球をするのだから、何でもありなんです。僕自身がこれまで“何でもありではない”環境で野球をやってきたので、逆にそれをさせない。僕の期待をいい意味で裏切ってくれるような野球をしてほしいんですよね。
だから練習でも、全員で声を出そうとか、そういうことを求めるのではなくて、それぞれの役割というのを考えていく。一人ひとりの色を大事にしていきたかったんです。選手が自らつくった雰囲気のチームじゃないと、試合では勝てないですから」。

このページのトップへ

【次のページ】 日々、高まるモチベーション

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
日本ウェルネスvs目白研心【東京都 2018年秋の大会 東京都大会】
目白研心vs日大三【東京都 2018年秋の大会 東京都大会】
都立江戸川vs目白研心【東京都 2017年夏の大会 第99回選手権東東京大会】
堀越vs目白研心【東京都 2016年秋の大会 東京都大会】
第107回 2015年 春季東京都高等学校野球大会 一次予選展望 「日大鶴ヶ丘、日体荏原など実力校多数」【大会展望・総括コラム】
目白研心vs上野学園【東京都 2014年夏の大会 第96回選手権東東京大会】
目白研心 【高校別データ】
コメント (8)
目指せ甲子園!2015.11.02 日本航空高OB
目白研心高校野球部頑張れー!!
勝つことがすべてではなく、勝ちたいと思うことがすべてだ。
いつも影ながら応援してます。
甲子園出場2014.07.13 目白野球部
初戦突破おめでとう3回戦の岩倉戦でもがんばれ目白
この高校強くなるよ。2013.07.15 日大一高OB
今日貴校との対戦でした。
1、2年生が中心のチームでハツラツとして、
そしてご父母、生徒たちの応援が凄かった。
まるでawayで負けている気さえする、
そんな元気あるチームでしたね。
来年、再来年と良いチームになって旋風を巻き起こして下さい!!
先ずは1勝!2012.05.12 オヤG
監督の元、一丸となって夏太頑張って下さい!応援してます。
2012.05.09 ( ̄。 ̄)
野球好きな人はぜひ入って欲しい
これからの活躍を期待してます(^p^)うへ
甲子園2012.05.06 イッセー
目白研心野球部頑張れー‼
鈴木監督、甲子園ついて来ます!
好きな事をやれるって幸せですよね!!2012.05.04 とん
私は鈴木監督に大学時代お世話になった事がありますが、鈴木さんは頭の回転もよく、周りが良く見れる方で見習うこと多くありました。
そんな鈴木さんに野球を教えて貰っている部員の方を羨ましく思います。人数が少ないなか野球が出来る環境を作った鈴木さんの力もすごいと思いますが試合に出れない環境でも野球続けた3名の部員の方は本当に野球が好きなんだなと思います。野球から学べる事はたくさんあると思いますのでこれからの人生におおいにいかして頂きたいと思います。
鈴木さんまたお邪魔します!!その時はよろしくお願いします。
2012.05.04 たいせー
目白研心高校野球部ファイト!!

鈴木コーチ頑張ってください!!!!

コメントを投稿する

プロフィール

安田未由
編集長 安田 未由(Myu Yasuda)
  • ■ 編集部の媒体プロデュース統括として、企画などを取りまとめる。
  • ■ <書籍>主な寄稿・出版物
  • 野球ノートに書いた甲子園 シリーズ全5巻(2013年~2017年/KKベストセラーズ)
    ・スポーツ感動物語 アスリートの原点「遅咲きのヒーロー」(2016年/小学館)
    ・甲子園だけが高校野球ではない 1&2巻(2010年~/監修・岩崎夏海/廣済堂あかつき出版社)
    ・ただ栄冠のためでなく(2011年/共著/日刊スポーツ出版社)
    ・「高校野球は空の色」「高校野球が教えてくれたこと」など大学時代に3冊出版
  • ■ 講演依頼
    講演・セミナー依頼受付中

野球部訪問トップに戻る サイトトップに戻る

コラム