【目次】
1.監督・岡田龍生の思い
2.トップの位置と方向性がポイント
3.後ろ手の使い方を伝授!

後ろ手の使い方を伝授!

"水平チョップ、へその前にひじがくる"

 次に重要になってくるのが、今回の一番のテーマ、「後ろ手」の使い方である。

 長距離砲の多くは、後ろ手の使いが上手な選手が多い。プロ野球の歴代ホームランバッターに、右投げ右打ちや左投げ左打ちが多いのは後ろ手の力が飛距離に一役買っているからである(もちろん、それだけではないが)。ただ、言葉にするのは簡単だが、後ろ手をどのように意識するかを、徹底して指導するチームは非常に少ない。T-岡田ですら「最初は、後ろの手を使うという意識がなかった」と高校時代に話していたほどである。

 岡田監督は、後ろ手の動きについて、ポイントをこう語る。

「後ろ手の肘(ひじ)がへその前に入ってこない子が多い。脇のところで止まってしまうんです。そうなるとバットを振れないから、身体を回そうとする。それで、振り遅れるんです。逆に、肘が自然と入ってくるとバットも自然と出してこれるし、インパクトの瞬間に力が伝わりやすいんです。バッティングの指導で『開くな』っていうのを良く聞きますが、実際、バッティングは開かないと打てません。身体を回転して打つわけですからね。そうではなく、開くのが早いかどうかなんですね。開くのが早いからバットが遠回りするんであって、開いてはいけないのではないんです。開きだすのは、押し手の肘がへその前に入ってこないから、止まってしまう。そして、(身体を)回そうとするんです」。

"肘が入ってきていると後ろ手でボールを捉えられる"

 実際、肘がへその前に入ってくるのと、入ってこないのとでは、力の伝わり方も違う。(写真参照)。肘が入ってこないと力を伝えられないのだ。それを伝えようとするには、身体を回さなければいけなくなる。

 その肘の使い方は「空手チョップが理想的」と、岡田監督はいう。練習では片手ずつのティーを空手チョップをするようなイメージで振り込んで、形を覚える。

「肘が入ってきていると後ろ手でボールを捉えられるのですが、その感覚をつかむことができたら、ほっといても打球が違ってきたり、飛距離がでてきます。」

「そこに取り組むかなのですが、中学時代に、力だけで打ってきた選手は、壁にぶち当たって取り組むようになりますね。土井なんかが、ドアースイングでそういうバッターでしたね。ただ、肘を使うという指導は、一つ間違えると、肘を入れよう入れようとして、肘が下がってしまう時があります。肘を使わないといけないから、下げようとするんです。肘や肩が下がるということはバットが下がってくるわけですから、悪いことはどんどん悪いことを生みだしてしまうので、この指導で一番注意しないといけないポイントだと思います」。

 1、2年生までは引っ張ることしか出来なかった打者が3年になる頃には逆方向へのホームランが打てるようになる。

 岡田監督は「T-岡田はもともと逆方向に打てないわけではなかった」というが、彼自身が履正社高で押し込みの大切さを学んで飛距離が伸びたと話しているのだから、彼の技術向上に幾分(いくぶん)か、役立っている実感があったのだろう。

 逆方向へ強い打球を打てることほど怖い打者はいない。ただ、その為には、「後ろ手の使い方」。打撃力向上のスキルアップに提案したい、一つのテーマである。

(文=氏原 英明

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