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北照高等学校(北海道)

2011.02.14

北照高等学校

北照高等学校2011年02月14日

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【目次】
1.北照高等学校
2.心技体+医の4分野の融合
3.難しいトレーニングで、あきらめる選手と悔しがる選手
4.トレーニングを野球技術へ適応する
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北照高等学校

 昨秋の北海道大会準決勝までの4試合で40得点。さらに駒大岩見沢との準決勝では4本塁打とパワーをみせつけた北照打線。

 3季連続甲子園出場を狙っていた北照だったが、決勝戦では北海玉熊 将一投手に抑えられ2対6で敗戦。あと一歩でセンバツへの出場切符を逃した。

 夏までに、さらにチーム全体のレベルアップを図るため、この冬は、「大きく・強く・速く」をテーマにトレーニングに励んだ。

 室内場で練習をする5ヶ月間。11月~12月まで基礎的体力向上期。1月~3月は専門技術移行期と定め、月1回トレーニング指導にあたる寺中靖幸トレーナーのもと、ウエイト器具は使わないトレーニングでの体作りを進めていった。

【体の負荷を利用して筋力アップ】

【判断力と瞬発力を鍛える】

【テニスボールの落下前にキャッチ】

【メディシンボールを使ってパワーアップ】

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【目次】
1.北照高等学校
2.心技体+医の4分野の融合
3.難しいトレーニングで、あきらめる選手と悔しがる選手
4.トレーニングを野球技術へ適応する
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心技体+医の4分野の融合

【お互いに教え合う姿も】

 今年で就任31年目となる河上敬也監督はベテランの指揮官ながら、今でも周りからの意見を柔軟に取り入れて、チームや技術指導に反映していく。現在は、監督・コーチ・コンディショニングコーチ・トレーニングコーチと完全専任制の形をとる北照。

「2002年からの2年間、しばらく勝てない時期が続いたんです。どうしたら、これからの時代で勝てるチームになれるのか。そう考えた時に選手たちのコンディションやメンタル面の強化、またトレーニングも年間通じて行ったらどうかという考えにたどりつきました」(河上監督)。

 その後、心・技・体・医と4つの分野からアプローチを図り、選手を育成。結果として、05年以降は南北海道でも安定した結果を残せるようになった。

「コンディショニングコーチやトレーニングコーチに指導を行っていただいたことで、実績にもつながってくるようになりましたが、何より故障者が少なくなり、シーズン中の怪我が減りました」そう語る河上監督の下で育った選手の中で、翌年からは投手、捕手それぞれ2人ずつプロ入りも果たしている。

【室内練習場の窓まで積み上がった雪】

 今では北照といえば、“私立で強豪校”のイメージから部員数も多い印象があるが、実はこの北照が位置する小樽地区の学校というのは、なかなか生徒が集まらない地区なのだ。北海道では、中学時代から注目されてきた選手のほとんどは、小樽から特急で30分の札幌市内の高校を利便性の良さから選んでしまうという。毎年、北照は1学年17名程度。そのため、怪我でメンバーを1人欠くだけで、チームにとっては大きな痛手となる。
 北照はトレーニング中の故障者も出ない。河上監督と寺中トレーナーの意向からウエイトは取り入れず、オフシーズンの間は「野球では動作的課題解決が見られない限りは飛躍的なパフォーマンスアップは望めない」をチームの合言葉にし、オリジナルのトレーニング指導を実施している。

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【目次】
1.北照高等学校
2.心技体+医の4分野の融合
3.難しいトレーニングで、あきらめる選手と悔しがる選手
4.トレーニングを野球技術へ適応する
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難しいトレーニングで、あきらめる選手と悔しがる選手

【ラダーでは難しい動きに挑戦】

「僕の場合は、必ず出来ないことを選手たちにやらせます。そうすると、出来なくて諦める選手と、悔しがる選手に分かれるんです。毎年見ていますが、出来なかった時にトライしようとする選手が、最終的には伸びていきますね。例えば、方向転換の練習。どうしたら上手くできるようになるのか考えて、歩数を減らしてみたり、体の使い方を変えてみたり、トレーニングがきつくても逃げ出さない選手は必ず伸びます」(寺中トレーナー)。

昨秋のドラフトでヤクルトからW指名された西田 明央選手と又野 知弥選手も、出来ないことや難しい動きのトレーニングにも前向きに取り組んでいたという。

 確かに北照指導者たちが、選手に求めているレベルは高い。ラダーでは、どんな複雑な動きであっても、北照の場合はトレーナーが一度見本を見せたら終わり。すぐにスタートの笛が吹かれ1人目が進んでいく。

「前の人がやってるのをみて出来なければアウト」それくらいの意識を持って、選手たちはトレーニングの時間も、まるで戦場にいるかのように高い集中力をみせていた。

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【目次】
1.北照高等学校
2.心技体+医の4分野の融合
3.難しいトレーニングで、あきらめる選手と悔しがる選手
4.トレーニングを野球技術へ適応する
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トレーニングを野球技術へ適応する

【実践に近づけるトレーニングメニュー】

 1月を過ぎると、野球の動きに結びついたトレーニングメニューが組まれていく。動的柔軟性を鍛えるキャッチボール、パワーや体幹筋力を高めるティーバッティング。フットワーク、方向転換にはボールさばき。またスタミナに関しては、長距離走は行わない。「長距離は心肺機能の力。野球はショート系の動きが多いのでやりません。持久力は9時から19時の1日練習をこなすことで養えますから」と河上監督は話す。
 トレーニングを技術にどう結び付けるのかを常に考える北照指導陣。シーズンが始まれば、今度はコンディショニングコーチも出動する。心技体医の融合で、選手を1人1人育てていく北照。大きく、強く、速く―――。

 昨秋、北海道の頂点を奪えなかった悔しさは、今シーズン必ず屈辱してみせる。

(文=安田 未由)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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