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県立城南高等学校(徳島)

2011.02.04

徳島県立城南高等学校

徳島県立城南高等学校 ~いざ、飛翔の場へ~2011年02月04日

外野ノックを打つ森恭仁監督

 今大会、21世紀枠で1898年・旧制徳島中野球部として創設以来、113年にして春夏通じて初の甲子園出場を果たした徳島城南。伝統校、かつ進学高という宿命により、休日でも半日程度の練習時間しか取れない同校がこの快挙に至った理由の説明には、やはりキーマンの存在が欠かせない。

 その人の名は現在、徳島城南監督5年目の森恭仁、43歳。

 徳島城南での現役時代には「2年秋の県大会で徳島池田と対戦したとき、翌年のセンバツでベスト4、最終的に高校で2本しかホームランを打たれなかったエースの片山徹からホームランを打って、当時の蔦文也監督から『なんでそんなバッターに打たれたんだ!』と言われたことがある」(本人談)という逸話も持つ強打の外野手出身監督である。

 ただし、現役時代のチームは2年夏にはベスト4まで勝ち進みながら徳島商に2対27と大敗し、主将として臨んだ最後の夏も初戦で鳴門に4対13で敗退。森青年はその悔しさをばねに、「いずれは母校の監督として甲子園」という野望を心に秘め、京都教育大を卒業後の93年4月、昨年の21世紀枠に選抜された川島から高校監督生活をスタートさせた。

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3班に分かれての打撃練習2・トスバッティング

 その指導能力は極めて高く、96年4月に異動した鳴門一では、現在は横浜ベイスターズの中心選手にまで成長した藤田一也内野手、岡本秀寛投手(元・東京ヤクルト)など多くの好選手も輩出し、04年夏には93年春以来となる甲子園出場へ。選手として果たせなかった夢をも見事成し遂げたのである。

 それでも監督の初心はぶれなかった。06年4月、13年目にして待ち望んだ徳島城南への異動を銘ぜられた森監督は、「県内で強豪といわれるようにする」という最初のハードルを越えるべく、就任2年目の07年には早くも春の四国大会準優勝、夏も県大会準優勝。さらに一昨年秋から「エラーが目立たないように3点以内に抑えて5点以上取る」(3番・松原直之捕手)と、攻撃型チームにスタイルを切り替えた彼らは、昨年8月の県新人ブロック大会で「0対4から鳴門工に逆転勝ちしたことで自信がついた」(1番・多田康貴中堅手)ことで、「四国大会決勝進出でセンバツに行く」大目標をより現実的なものとした。

ネット投げに取り組むエース竹内勇太

 そして迎えた秋季県大会。最速140キロ右腕の竹内勇太を投打の主軸に押し立てた徳島城南は、決勝で最速142キロの四国屈指の右腕・龍田祐貴有する徳島商から13得点を奪うなど、5試合で53点という驚異の得点力で創部112年目にして秋季大会初優勝の快挙を達成。

 続く四国大会では初戦となる2回戦準優勝の香川西に6対7と惜敗したものの、近年ではディフェンス重視の学校が多かった同大会に新風を吹き込んだ意味において、彼らが残した偉業は単に成績以上の価値があったと言えよう。

 かくして校門前に踊る「歴史(とき)を超えて翔け」という懸垂幕の文言通りに歴史を変えた城南野球部。「僕が入ったことをきっかけに周りが変わってくれただけです」とあくまで控えめな指揮官の下、29人の部員たちは4ヶ月10万スイングに代表される「克己心」をテーマとした冬練習で、その先にある「飛翔の場」への道程を着々と整えている。

(文=寺下 友徳)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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