近畿地区で注目を集めている高校の1つに東洋大姫路(兵庫)が挙げられるだろう。兵庫県を代表する名門校の1つで春8回、夏12回の甲子園出場経験があり、1977年夏には全国制覇を成し遂げている。
話題となったのが、昨年の監督交代劇だ。昨春の甲子園を最後に原 樹理投手(ヤクルト)や甲斐野 央投手(ソフトバンク)らを育てた藤田 明彦監督が退任。4月からは2019年夏に履正社(大阪)を全国制覇に導いたOBの岡田龍生監督が就任した。
前回の取材から1年。名将を招聘して常勝チームを目指す東洋大姫路の変化に迫った。
名将就任でチームは大きく変わり始めた

岡田監督
まず設備面から大きく変わっている。6月に室内練習場とトレーニングルームが完成。さらに寮生の食事を管理栄養士にサポートしてもらうなど、学校側の支援も手厚くなっている。
夏は2011年を最後に甲子園から遠ざかっており、センバツも昨年が14年ぶりの出場と、近年はなかなか思うように結果を出せていないのが現状だった。「10年以上甲子園に出られないということは僕がいる時代ではちょっと考えられない」と岡田監督も1人のOBとして危機感を抱いていたようだ。
そんな中で、まず取り組んだのが選手との会話である。履正社時代も練習中にコミュニケーションを積極的にとるようにしていたが、それを東洋大姫路でも実践したのだ。
「どういう考えでプレーに取り組んでいるのか、直接話をしないとわからないので、そういう時間をできるだけとるようにしました」
また、岡田監督の代名詞といえば、高速テンポのノックだ。履正社時代に比べれば少し遅くなったようだが、それでも約2秒に1本のペースでノックを打ち続けており、徐々に岡田色が浸透している様子が感じられた。
さらに主将の小野 洋介内野手(3年)によると、練習内容にも変化があったという。
「藤田監督は守り勝つチームなんですけど、岡田先生になってからバッティング練習が増えて、バッティング強化に力を入れ出しました。バッティングのゲージも増やして頂いて、そこからまずセンター方向に返すことであったり、方向性というのを大事にしながら打つように言われました」
近年の東洋大姫路は森 健人投手を擁した昨年のように投手を中心に守り勝つ野球が特徴的だったが、岡田監督が就任してからは履正社のように打ち勝てるチームを目指そうとしている。