
センバツ初出場を決めた城東ナイン
第95回記念選抜高校野球大会の出場校の選考委員会が27日に行われ、出場36校が決定した。困難を克服しながら一定の成績を収め、地域の模範となっているチームに出場機会が与えられる「21世紀枠」には氷見(富山)、城東(徳島)、石橋(栃木)の3校が選ばれた。
春夏通じて初の甲子園出場を決めた城東は選手12人、マネージャー1人の部員13人で活動している。少人数のため、満足のいく練習メニューができない中でも、選手主体で考える野球を実践してきたことが評価された。「考える野球」というフレーズは良く耳にするが、具体的には何を、何のために「考える」のか。城東の事例から学べるものは多い。
伝統の機動力で打者だけでなく、走者も含めて相手バッテリーを崩し、得点を目指す。秋季大会ではノーサインで積極的に進塁を狙う姿勢も光った。
チームを率いる新治 良佑監督は「”打撃”ではなく”攻撃”を」のスローガンを掲げ、自主性を養う練習メニューを多く取り入れている。
1月初旬の取材日では、走者を置き、バントのみでシート打撃を行う「バントゲーム」というメニューが行われていた。ノーアウト一、二塁から打者を回して行く。
このメニューの意図について、新治監督は次のように説明する。
「バントの技術向上というよりは、各塁でのランナーの走塁の技術向上で、どういうカウントで仕掛けていけばいいのかの感覚を養っている。実際のゲームで僕のサインではなくノーサインで仕掛けていくことをゴールにしている」
走塁の精度を上げるため、振り返りも徹底する。
なんで仕掛けたのか?
ーピッチャーの癖を盗みました。
ー1球前にワンバン変化があったので、次は取りにくると思ってエンドランしました。
シーン毎に言葉にすることで少ない練習回数でも感覚を身につける。「カウントの感覚を持たずにサインだけでエンドランしろと言われるとでは成功率は違う」と走者としての嗅覚を養い、グラウンドでプレーする選手の決断を尊重する野球を目指している。
主将の森本 凱斗捕手(2年)も選手主体の城東野球は走者を生かすことだと解釈しているという。
「ランナーが主体的に動けるようなゲームプランを作って、一番展開しやすい一、三塁を作る。2アウトからのアウトはゴロアウトということを徹底して、どんな時でも相手チームにプレッシャーを与えられるのが城東の野球です」
わずか部員13人で甲子園出場の夢をかなえた。そして、少人数でも甲子園へ行けるという夢を与えたチームが、その実力を大舞台で花開かせる。
(記事=編集部)