友廣 陸(北陸)

 この秋にブレークした高校の1つに北陸(福井)が挙げられる。福井県大会こそ3位だったが、北信越大会では県内のライバルである福井商敦賀気比を下して34年ぶりの頂点に立った。

 明治神宮大会でも初戦で四国地区代表の英明(香川)に逆転勝ちして4強入り。34年ぶりの出場が確実な今春の甲子園に期待を抱かせる戦いぶりだった。

 北陸が所在するのは福井県福井市。福井駅からえちぜん鉄道で5駅の田原町駅から歩いて数分の所に校舎とグラウンドがある。取材に訪れた1月5日は雪こそ積もっていなかったが、グラウンドには水たまりがあり、とても使用できる状態ではない。この時期の北陸地方ではよく見られる光景だ。

 室内練習場はあるものの2学年で43人の部員が1度に練習をするだけのスペースはない。そのため、取材日は午前と午後で練習するメンバーを分け、ティー打撃やウエートトレーニングなどを行っていた。

 「これも福井県の良いところ。みっちり体づくりや基本練習ができる時期だと思って、そこに全力を注ぎたいと思っています」と話してくれたのは林 孝臣監督。敦賀気比出身で1999年に同期の内海 哲也(元巨人、西武)とともに明治神宮大会で準優勝した実績を持つ。立正大卒業後は母校の敦賀気比でコーチを務めていたが、縁あって2019年秋から北陸の監督に転身した。

 昨夏の福井大会は準優勝。この時から主力として活躍していたのがエースの友廣 陸(2年)と正捕手の平田 海智(2年)だ。友廣は185センチの長身から最速142キロの速球を投げ込む本格派右腕。現チームでは4番も任される強打者で、北信越を代表する二刀流だ。平田は洞察力に優れた強肩捕手で、旧チームから中軸を打っている。

 バッテリーの2人が計算できる一方で、新チームでは野手が総入れ替えとなり、「正直、バッテリーが何とか抑えてという風にしか思っていなかった」と村田監督。新チーム結成当初は明治神宮大会まで勝ち進む青写真は描けていなかった。

 ところがふたを開けてみると、秋季大会前の練習試合では7勝1分けの好成績。「点差が開いても諦めずに何とか同点に追いついたり、1点差で逃げ切って勝つというゲームも多かったので、意外と負けづらいチームなのかなというのはありました」と手応えを感じて秋の大会に挑んだ。

 福井県大会では順調に4強まで勝ち上がったが、準決勝で福井商に2対9の7回コールド負け。まさかの大敗に「やはり力がないのか」といった雰囲気になったそうだが、「勝って驕らず、負けて挫けず、腐らずということは常に言っていたので、それをもう1回、選手たちには伝えて、可能性がある限り一生懸命やろうという話をしました」と林監督は選手をもう1度奮い立たせた。その結果、翌日に行われた啓新との3位決定戦は7対2と快勝し、辛くも北信越大会の出場権を獲得した。

 北信越大会では1回戦で新湊(富山)を10対1の7回コールドで下すと、準々決勝で友廣が日本航空石川(石川)を5安打完封。「日本航空石川さんとの戦いが彼らには自信になったのかなと思います」(林監督)と勢いのつく勝利となった。

 準決勝では友廣がまたも好投を見せ、福井商に4対3でリベンジすると、決勝の敦賀気比戦では1年生投手の竹田 海士投手と鳴海 凱斗投手が奮起。2人で10回途中までを1失点で持ちこたえて友廣にバトンを繋いだ。疲れが残る中でも友廣は力を発揮し、延長13回タイブレークの末に2対1で勝利。福井の盟主を破って北信越の頂点に立った。

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