福岡の実力校・飯塚にいたドラフト候補右腕2人 ロッテ育成2位・白浜に続け!
2022年、福岡県の実力校・飯塚からは、大型右腕の白浜 快起投手(3年)がロッテから育成2位指名を受けた。夏の福岡大会ではベスト4に進出するなど、県内では常に存在感を発揮し続けるが、今年も2人のドラフト候補右腕に注目だ。
完成度の高い143キロ右腕・中村大輔
中村 大輔(飯塚)
昨年秋季大会でエース番号を背負った中村 大輔投手(2年)は、最速143キロの力強い直球とコーナーへのコントロールが持ち味の本格派右腕だ。下級生時から経験を積み、昨夏の福岡大会では3試合に登板。新チームでも、完成度の高い投球で主戦として牽引している。
「春季大会では、初回から飛ばして9回でも140キロを超えるようなピッチングを目指しています。三振をたくさん取って、チームを勝たせる投手になりたいです。そのため今は、夜にご飯を多く食べるのではなく、授業の合間におにぎり食べるなど間食を摂るようにして、体を大きくすることを心掛けています」
忘れられない敗戦がある。
昨夏の選手権福岡大会の準決勝、飯塚は筑陽学園と対戦した。8回裏、中村は9対6と3点リードの場面でリリーフしたが、押し出し四球で2点差に詰められると、さらに逆転満塁本塁打を浴びて5失点。チームは準決勝で敗れ、甲子園の夢は絶たれた。
中村は、強気に攻めることができなかった気持ちの弱さを悔いる。
「ここぞの場面で抑えきれず、メンタルの弱さを感じました。最上級生となってエースナンバーをもらい、やらないといけないという自覚があったんですが、秋季大会でも不甲斐ないピッチングをしてしまいました。メンタル面を強くして、夏は絶対に甲子園に行きたいと思います」
手投げを改善し146キロ右腕となった藤原大翔
藤原 大翔(飯塚)
そして2人目のドラフト候補が、最速146キロを誇る藤原 大翔投手(2年)だ。
京築ボーイズ時代は内野手で「投手はたまにするくらいだった」というが、飯塚に入学後から投手としての才能が開花。地道な練習で右肩上がりに成長を続け、この秋に球速は146キロに到達した。
「中学校では練習試合では投げるくらいでしたが、135キロを計測して高校では投手でどうだと言われたのが転向のきっかけです。飯塚は甲子園が狙えるチームで、練習がきつい時もありますが入学して本当に良かったなと思っています」
藤原が急成長の要因に挙げるのが、投手陣を指導する赤嶺 槙悟コーチの存在だ。投手に専念したのは高校からだったこともあり、はじめは分からないことも多かった。だが、赤嶺コーチの丁寧な指導により、基礎から学ぶことができ成長に繋がったと語る。
「入学した時は手投げになっていたのですが、赤嶺コーチが一から教えてくださったお陰で綺麗に投げれるようになりました。右足にタメを作ってお尻から降りていこうとか、右足を投げる時に思いっきり蹴るイメージを持つなど、基礎から教えていただきました」
秋季大会では、エース番号を中村に譲り、登板も2試合にとどまった。春に向けて藤原は、「春は真っ直ぐで押して、福岡で一番のピッチャーになりたい」と強い思いを口にする。この冬の成長が見物だ。
ティー打撃でも声を出して、練習から覇気を出す
飯塚ナイン
2人の速球派右腕を擁する飯塚だが、秋季大会では準々決勝で東福岡に4対7で敗れた。序盤に4点を先制し優位に試合を進めていたが、中盤に逆転を許し、終盤は相手投手陣に抑え込まれ痛恨の逆転負けを喫した。
郡山 広大主将は、秋はベンチからチームを盛り上げていたが、力の差を感じたと振り返る。
「東福岡高校さんとは、守備でも攻撃でも力の差で負けたと思っています。その差を少しでも早く埋めることができるように、オフシーズンでは個人のレベルアップを課題にして練習に取り組んでいます。ピッチャー陣のレベルはうちも負けていないと思うので、守備や攻撃面でもっと成長したいと思います」
そのために必要なのは、練習からの雰囲気づくりだと郡山は話す。試合では、練習以上のことは出せない。常に試合を意識した空気感が、春、夏の躍進への鍵を握っている。
「東福岡高校さんはチームとしてまとまっていて、スタンドもベンチも一体となっていました。うちはそれができておらず、それが差になっていたと思うので、準々決勝で負けてからは日頃の練習の態度から変えていきました。ティーでも声を出して打ったり、練習から覇気を出していこうと話をしました」
飯塚は2012年の夏以降、甲子園から遠ざかっている。実力校がひしめく福岡で、真価が試される年になりそうだ。
(取材=栗崎 祐太朗)