明治神宮大会で大阪桐蔭(大阪)が大会史上初の連覇を達成し、神宮大会枠は近畿地区に渡った。2023年のセンバツに向けて、近畿地区から選ばれる学校が気になるところ。同時に毎年議論が飛び交うのは21世紀枠の行方だが、ここでも近畿地区の争いは激しい。

 京都史上初となる連合チームである宮津天橋丹後緑風はもちろん、奈良からは生駒と結果を残してきた学校が揃う。そのなか、兵庫が選んだのは小野だった。

120年の歴史ある文武両道校は周りの支えと人間力で強くなった



市橋 慶祐主将

 創立120年の歴史をもち、野球部も県8強に勝ち上がることもある。加えて県内でも有数の進学校という一面を持ち、野球部からも現役での京都大合格や、医学部への進学する選手も輩出。現在のチームも、およそ半数が塾に通うなど、文武両道を実現させていることが評価されて選出された。

 「甲子園に行けるかもしれないところに立たせてもらったので、甲子園にふさわしい選手、チームを目指して普段からしっかり練習をやりたい」

 チームをまとめる主将・市橋 慶祐捕手(2年)は兵庫の21世紀枠推薦校選出に気を引き締めている。グラウンドには「甲子園にふさわしいチーム、甲子園が似合う選手になる」という言葉がホワイトボードに書かれていたが、改めて自分に言い聞かせるように話していた。

 市橋とともにチームをまとめる藤井 卓投手(2年)は「これまでの先輩の取り組みや、学校の雰囲気が認められて選出されたのは誇らしい」と周りへの感謝の思いを話すが、まさにその通りの練習環境である。

 他部活とグラウンドを共用しているため、安定して使えるのは内野のダイヤモンドだけ。照明もOBの協力でバックネット付近にいくつか2、3年前に設置されたが、それまでは一切なかった。さらに練習時間はおよそ1時間半程度。取材日も16時半頃から全体練習が始まり、18時には練習が終わり、18時半には完全下校と練習量は物足りない。

 OBの支援でトレーナーによるトレーニング指導を受けて、「短い時間で効率的にやる」という北垣監督はじめ小野の選手たちが意識していることを実践できているものの、周りの支えなくして実現しない。

 それでも秋では25年ぶりとなる県8強入りとなった。周りに比べれば環境が恵まれているとは言いにくくても、多くの方から力を借りて、「甲子園にふさわしいチーム、甲子園が似合う選手になる」ことを目指す。

 「(小野の生徒は)何事にも本気でやる意識の高さがある」と北垣監督は話すが、その人間力こそが、小野にとって最大の魅力であり、強さの源でもあるようだ。