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京都国際、龍谷大平安に匹敵する京都の実力校・京都翔英 経験者も多く残るも、頂点を狙うための 課題とは?

2022.11.29

 春1回、夏1回の甲子園出場実績がある京都翔英。近年も2019年秋の京都府大会で優勝するなど、強豪ひしめく京都で上位を賑わせている。

 今年のチームは旧チームからの主力が複数残っており、7年ぶりの夏の甲子園出場も視界に入っている。今回は京都の頂点を目指す京都翔英の秋の戦いや注目選手などについて触れていきたい。

秋に勝負も準々決勝でコールド負け。その課題とは?

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ノック中の様子

 今年は春、夏ともに8強入り。新チームで主将となった古井 康介に主砲の小笠原 蒼、正捕手の西山 迅、俊足巧打の二塁手・梅谷 将暉、投手陣の一角を担う松山 紘生迎窪 大輝と旧チームからの主力が多く残っており、「経験者が多く、ある程度は野球もわかっているので、良い形で入っていけると思いました」と山下 勝弘監督は新チームに自信を持っていた。

 秋の京都府大会は初戦から京都成章と対戦する厳しいゾーンに入ったが、小笠原の同点本塁打から流れを掴んで6対1と快勝を収めると、4回戦では立命館宇治に9対0の7回コールド勝ち。甲子園に複数回出場している強豪校相手にも強さを見せつけた。

 だが、「いけるという慢心があった」(山下監督)と準々決勝では乙訓に5対16で7回コールド負けを喫してしまう。さらにこの試合の前にアクシデントにも見舞われていた。
立命館宇治戦で不動のレギュラーである1番二塁手の梅谷が二塁から三塁に盗塁を試みた際に相手捕手の送球を顔面に受けて負傷交代。乙訓戦では何とか代打で出場することできたが、戦力ダウンは否めなかった。彼をスタメンで使うことができなかったのは大きな痛手だったと山下監督は振り返る。

「アクシデントで守るべき人間がいなくなって、守備から崩れて大量失点になってしまったので、2番手以降の育成がなっていなかったなと思います」

 秋の反省を踏まえて選手層を厚くするべく、山下監督はレギュラーでなかった選手の育成に尽力。練習試合でもこれまでに出番の少なかった選手を積極的に起用して新戦力の台頭を促してきた。

「向上心、どん欲さを常に持とう、競争しようということで取り組んでいます」と山下監督。時間を有意義にできるようにフリー打撃で順番を待つ間にもスイングを課して、1日1000スイングをクリアできるようにするなど、効率的な練習で打力強化を図っている。

「明るくて、何事にも向上心を持ってやれるところが良いところだと思います」と古井が話すように練習の雰囲気は明るい。取材日の練習では最後に連続ティーを行っていたが、選手たちが励まし合いながら取り組んでいる姿が印象的だった。

 今年は春、夏、秋と全てベスト8で敗退。山下監督は準々決勝突破に大きな壁を感じていた。その原因は勝負所での弱さにあると分析している。

「ここ一番で柔い部分があり、リズムが狂うと、自分たちのリズムに持っていけなくなるので、そこを耐えて、自分たちのリズムに持っていけるようなメンタルと技術をこの冬でつけていきます」

 強豪に勝つだけの実力は十分にある。それだけに上位進出が懸かった試合でいかに力を発揮できるかが強豪揃いの京都を勝ち抜くポイントになりそうだ。

[page_break:チームを引っ張るのはプロ注目の二刀流 それ以外にも好選手が多数]

チームを引っ張るのはプロ注目の二刀流 それ以外にも好選手が多数

京都国際、龍谷大平安に匹敵する京都の実力校・京都翔英 経験者も多く残るも、頂点を狙うための 課題とは? | 高校野球ドットコム
古井主将

 チームを引っ張るのはやはり、旧チームからレギュラーを張る選手たちになるだろう。夏以降に10本塁打以上を放ち、投手としても最速141キロの速球を投げる小笠原は投打の中心選手。山下監督が「プロに行かせたい」と話す逸材だ。

 小笠原と同じ愛知港ボーイズ出身の西山も4番捕手としてチームに欠かせない存在。山下監督は小笠原と西山の頭文字をとって「ON砲」と呼んでいる。

 秋に1番を打っていた梅谷は現在5番を任されており、チャンスをものにする役割を求められている。クリーンアップが機能すれば、ビッグイニングも期待できるような打線になりそうだ。

 秋にエースナンバーを背負った松山は緩急を使った投球が持ち味。取材日は課題としているクイックモーションでの投球に力を入れて練習を行っていた。旧チームから公式戦のマウンドを経験している迎窪を含めると、投手層の厚さは府内でも上位レベル。夏の大会で勝負できるだけの投手陣は用意できている。

「今年に関しては全員がある程度の力を持っているので、一人ひとりの役割を果たしていけば、とてつもなく強いチームになると思います」と自信を見せる山下監督。それだけこのチームに手応えがあるのだろう。「春、夏と必ず優勝して終わりたいです」と力強く宣言していた。

 指揮官の思いを選手も共有している。「春はまずベスト8の壁を破って、近畿大会に出て、経験を積んで、夏は必ず甲子園に行って、京都翔英高校の校歌を全国に広められるようにします」と古井。過去に2度出場した甲子園はともに初戦敗退に終わっており、聖地での勝利はまだない。来夏に彼らの手で甲子園初勝利を勝ち取りたいところだ。実力者が揃い、京都の頂点を視界に捉えている京都翔英。2023年の京都をリードしていくような存在となるかもしれない。

(記事=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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