ドラ1・イヒネを輩出した誉が来年も面白い!144キロ右腕や愛知県屈指の飛距離を誇るスラッガーなど見どころ満載
高須 寛大、松下 音生主将(誉)
今年のドラフトで、ソフトバンクから1位指名されたイヒネ イツア内野手を輩出した誉(愛知)は、改めてその育成力の高さが注目されているが、新チームにも楽しみな選手がいる。
同校にとっては初の本指名が1位指名となったイヒネ選手の後をつなぐ形で、遊撃手、主将となった松下 音生内野手(2年)はこう語る。
「グラブの捌きや方の強さや柔らかさなど憧れの存在でした」
遊撃手として一緒に守っているうちに、いろいろ学んだという。
今年の4番打者である高須 寛大内野手(2年)は、中学時代は無名で、長打力もあったわけではないようだが、大きく成長し、飛距離は愛知県トップクラスのスラッガーとなった。飛距離アップの要因についてこう語る。
「毎日やっているフィジカルトレーニングで打球が飛ぶようになりました」
参考にしているのはイヒネと同じ学年で、高校通算48本塁打の左のスラッガー間井 蒼生外野手の打撃だ。
「間井さんからはバッティング練習から全部フルスイングすることを教えてもらいました」
誉はシートノック、打撃練習といった技術練習を除くと、フィジカル練習や動作につなげたトレーニングが多い。フリー打撃のときはゲージに入っていない選手はスイングスピードを測ったり、チューブを使って打撃動作を意識したトレーニングをするなど、質の高い練習を行う意識が見られる。
また、練習時間を短くし、睡眠時間を確保。体を大きくする時期も取り入れ、パワーアップも図っており、ポテンシャルを伸ばす取り組みが備わっている。
こうした環境について、松下主将は参考になると語っている。
「イヒネさんや川嵜さん(巨人育成)などすごい選手がいっぱいいる。そのほかにも小柄でもしっかり打てたり、尊敬できる方が沢山いるのでとても参考になります」
松下は強豪・神戸中央シニア出身で、指導者からは「愛知県で周りは強豪が多いけどお前らが甲子園に連れて行くつもりで頑張ってこいと言われました」と送り出され、寮生活を送っている。「質の高い練習ができていて、ウエート数値、デッドリフトの数値などが伸びました」とフィジカルアップに成功し、攻守で力強いプレーができているという。
今年も好選手が多い。本格派右腕・黒野 颯太投手(2年)は現時点で最速144キロ、平均球速140キロを超える速球を誇り、首脳陣からの期待も大きい。
身体能力も高く、三段跳び、30メートル走の数値はトップレベルの数値を計測する。打者としての能力も高く、投打でチームを牽引する。投手を指導する矢幡監督は来春までに最速152キロを到達することを目標に掲げており、そのためにフィジカル強化や、投球フォームの完成度を高めるなど、徹底的に突き詰めていく予定だという。今年のチームではドラフト候補に挙がるだろう。
他では、チームトップクラスの脚力があり、野球センスが抜群な1年生の田所 璃乙外野手も注目。左打席からシャープな打球を飛ばし、弾道を上げることをテーマに、強打の俊足ヒッターに化けることを目標としている。さらに1年生捕手・矢島 海もパワフルな打撃をウリとする。
ポテンシャルが高い選手を多く揃えているが、今年の秋は地区予選で敗退し、悔しいシーズンとなった。主将の松下はこう振り返る。
「チームとして打線が繋がらず、守備でもしょうもないミスが出た。チームのまとまりがなかったので、声かけとか当たり前のことができるようにやっていきました」
ポテンシャルを高めることと勝利の両立がテーマだ。松下は最後の夏へ向けてこう意気込んだ。
「愛知私学4強(東邦、享栄、中京大中京、愛工大名電)はしっかりと単打で繋げるチームなので、僕たちもそれになれるように、この冬練で取り組んでいき、守備ではエラーが無くまとまったチームになって勝ち抜いていきたいです」
しっかりと蓄えた実力を春に開花させることができるか。
来年も誉は見逃せない。
(記事=河嶋 宗一)