今年の秋季関東地区高校野球大会でベスト4入りした健大高崎(群馬)。

 横浜高(神奈川)の好投手・杉山 遙希投手(2年)から5得点を奪う強打を見せ、ファンを驚かせた。

 先日のドラフト会議では、強打の捕手・清水 叶人捕手が広島から4位指名を受けるなど、強打者育成にも定評がある。ある練習の1日に迫り、その秘密に迫っていく。

健大高崎の打撃理論で伸びた今年の選手たち


 平日練習では技術練習中心の日とトレーニング中心の練習で分かれるなど、年間を通してトレーニングを行い、体作りを行っている。

 盛岡大附(岩手)でコーチ修行に励み、打撃理論を学んだ赤堀佳敬コーチの下、選手それぞれに合った打撃フォームをアプローチしてもらい、長打力を伸ばしている。

 今年の4番打者・佐藤 志龍内野手(2年)は、取材した9月中旬では高校通算20本塁打を放ち、飛距離はチーム一。弟は今年の中学生No.1左腕の佐藤 龍月投手(東京城南ボーイズ)だ。佐藤は中学時代(東京城南ボーイズ)、本塁打を打つタイプではなかったが、健大高崎の打撃改革で長打を打てる選手へ成長した。

「中学の時はドライブの打球が多くて、ホームラン性の打球でも飛ばないことがありましたが、ラインで捉えることを意識して、ボールの一個先、二個先を押し込むイメージで打つとドライブしなくなりました」

 また、1年生遊撃手の田中 陽翔内野手は、健大高崎が行う近距離打撃に衝撃を受けたという。

「全然バットに当たらなかったです。近距離で真っ直ぐや変化球をミックスさせるメニューもありましたが、目が慣れてきて対応できるようになりました」

 また1年春から試合に起用され、徐々に高校のレベルに対応できるようになった。

 森田 光希主将(2年)は名門・静岡裾野シニア出身で中学時代はホームランを打つ打者ではなかった。

「自分はあまり大きいのを打つ打者ではなかったので、あれだけ振るという考えはなかったのです。現在は通算本塁打は10本打てるようになりました」

 ちなみに森田は絶対的なレギュラーではない。他にも控え選手ながら通算10本塁打を超える大型スラッガー・川口 龍吾内野手(2年)など、本塁打を打てる打者が多く揃うのも健大高崎の魅力だ。

なぜ変化球を見逃す練習をするのか?



佐藤志龍内野手(健大高崎)

 健大高崎の練習メソッドは過去にも多く紹介してきたが、今回、新たに目についた練習内容を紹介したい。

 打撃練習で、打撃投手の速球、変化球を見逃す選手がいた。これにはしっかりとした意味がある。主将の森田が説明する。

「自分のカウントを作るということを意識しています。例えばツーボールワンストライクの時にスライダーを見切れるか。ボール球を振ってツーストライクにするか、(見逃して)スリーボールにするかは大きな差なので、一球一球にこだわってやっています。

 野球は確率のスポーツなので、自分達に有利な方で勝負をしようというのは話しています」

 高校野球の好投手となれば、一定レベルの球速に加え、狙い球を外す、あるいは空振りを奪う変化球を必ず投げる。ボールになろうとする変化球を空振りすれば、たちまち投手が有利になる。しかし見逃すことによって、打てる確率が高まり、甘い球が来る確率が高まる。その結果、北海道遠征のある練習試合では7本塁打を記録したという。

 主砲の佐藤もこうした見逃し練習で、本塁打が増えた実感があるという。こうした取り組みが横浜の好投手・杉山を攻略できた1つの要因となったかもしれない。

 秋は関東大会ベスト4まで勝ち上がったものの、まだ爆発しきれていない印象が強い。ただ、チームワークは抜群によく、主将・森田のキャプテンシーは歴代でもトップクラスだという。

 森田は9月の取材でこう誓っていた。

「日本一を目指してやっているので、そこには強い思いを持ってやっていきたいです」

 苦しい試合を勝ちきってセンバツへ前進した健大高崎。まだまだ大きく進化していきそうなチームだ。

(記事=河嶋 宗一

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