目次

[1]上のレベルを知る関西出身者が大きな刺激に
[2]熊本県のすべてを覆した鍛治舎巧監督
[3]「ここまで成長すると思っていなかった」145キロ右腕の玉木稜真


 九州地区高校野球熊本大会は、決勝で東海大星翔文徳を8対0で破り、3季ぶり14回目の優勝を決めた。東海大星翔は、22日に沖縄県で開幕する九州地区大会へ出場し、2018年夏以来となる3度目の甲子園出場を目指すが、特筆すべきは県外出身の選手と、地元・熊本出身の選手が融合したハイブリッド型のチームである点だ。

 投手陣では大阪・大淀ボーイズ出身の145キロ右腕・玉木 稜真投手(2年)が獅子奮迅の投球を見せると、攻撃では地元熊本出身の3番・川道 樹外野手(2年)、4番・新美 元基外野手(2年)が打線を牽引。地元選手と県外出身選手の力がガッチリとかみ合い、見事センバツ甲子園出場への挑戦権をつかんだ。

 チームを率いる野仲義高監督は言う。
「ある人に言われたのですが、良い形でチームができ始めて今が一番楽しいだろうと。でも本当に甲子園で勝とうと思ったら、今のままじゃダメだよと言われたんです。それは私もわかっているつもりです。今のままじゃまだ甘いと思います」

上のレベルを知る関西出身者が大きな刺激に


 野仲監督は東海大を卒業後、副部長を経て2006年に監督に就任した。チームは長年、熊本工九州学院の壁に跳ね返され続けて、2015年頃からは秀岳館が一気に台頭するなど、なかなか浮上のきっかけをつかめずにいたが、2018年夏に学校として2度目の甲子園出場を果たしたことで風向きも少しずつ変わり始める。

 その後、2020年秋、2021年春と熊本県大会を2度制して九州地区大会を経験し、今夏の選手権熊本大会でもベスト4に進出。県内では常に上位進出が狙え、熊本工九州学院にも引けを取らないチームが作れるようになった。

 チーム強化のきっかけとして、野仲監督が挙げるのが関西出身者を中心とした県外生の力だ。

東海大札幌の大脇英徳監督に、関西の選手いいよと言われて興味を持つようになりました。もちろん最初は来てくれるのは二番手以下の選手たちばかりでしたが、野球観は仕込まれているし元気もある。向上心もあるし、何より自分たちより上のレベルを知っていて、そこは根本的に熊本の子もはないものだったので、チームにとってかなり大きな刺激になりました」

 そうした関西出身の選手たちをレギュラーに育て上げ、試合で活躍するようになると、先輩の姿に憧れた後輩たちも後を追って入学するようになった。すると、次第に関西の強豪校には届かなったレギュラークラスの選手も入学するようになり、さらには活性化していくチームを見て、地元・熊本の有力選手も東海大星翔を選ぶようになったのだ。

「今は県外の子が部員の半分くらいになっていますが、県外の選手が多い現状を分かった上でうちを希望してくれる地元の選手は、結局強い向上心を持った選手なんです。県外の選手も集まる東海大星翔でチャレンジしようと思ってみんな来るので、熊本工九州学院にも気後れすることがなくなりました」