須江監督の体制になってからも仙台育英は全国でも実績を残している。これまで培ってきた育成システムが発揮されたのはもちろんだが、日本一を達成するために、あるチームを目標に掲げてきた。それが大阪桐蔭だ。「大阪桐蔭マニア」と自負する須江監督は、今回は日本一を果たすためにこの1年、どんな改革を行ってきたのかを紹介したい。
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・「最初の2年間が原点」最新鋭のチーム運営を行う仙台育英はいかにして生まれたのか vol.1
・仙台育英が求める選手のマインド、技術的な長所とは? vol.2
・大阪桐蔭から学び、日本一を目指してきた仙台育英の22年度の改革 vol.3
大阪桐蔭は打球速度、プレー、選択速度が速い

仙台育英の練習模様
18年1月、仙台育英の監督に就任した須江監督は、1人で大阪桐蔭のグラウンドに足を運び、西谷監督に「高校野球」を学びにいったという。
「どういうことを考えて野球を教えているのか。どんなことを大切にされているのか、チームづくりはなんたるか、そして練習試合のお願いをしました。そこからの交流で、毎年、コロナで甲子園が中止になった20年以外は、毎年やらさせていただいております」
西谷監督との話や、実際に練習や、試合を見て学ぶことは大いにあった。
「まずスピード感が凄いですね。東北にはないものがありました。打球速度、プレー速度、思考速度、プレー選択の速さ。この基準にならなければ、日本一はないと考えるようになりました」
日本一を果たすためには、「大阪桐蔭」を基準として、チーム設計を行った。そして実際に練習試合を行うことで、どんな戦い方をすればいいかを考えるようになる。
「特に入学時の単純な技量では大阪桐蔭さんの方が上なので そういう相手と対峙して、勝てる方法は何かを選手たちとともに考えます。力勝負ではまず勝てません。能力を封じ込めて、うちがポテンシャルを100%発揮し、相手の不発を狙うという戦法を見出すために(練習試合は)貴重な機会ですし、『基準』を学ぶこともできます」
須江監督にはチームの成長のために、実戦の中で検証を重ねるだけではなく、高校野球で実績を残している方にも頭を下げて、教えを請う姿勢がある。だからこそ、トップレベルのチームを作り上げることができたのだろう。
21年の選手たちは、例年以上に選手もレベルアップし、センバツではベスト8。夏でも全国上位進出の期待が高まったが、4回戦で仙台商に2対3で敗れる結果となった。
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