滋賀県一の進学校として知られている膳所。昨年度は過年度生を含めて47名の京大合格者を輩出している。野球部は春4回、夏2回の甲子園出場経験があり、近年では2018年春に21世紀枠で出場したことが記憶に新しい。

 4年前にセンバツ出場した際に話題となったデータ班は当時より人数も増えてパワーアップしている。高いレベルの文武両道を実践する膳所の現在地に迫った。

21世紀枠出場で脚光浴びた「データ班」が進化


 膳所では部活動を班活動と呼んでおり、野球班は学校の近隣にある第2グラウンドで練習を行っている。実戦練習が十分にできる広さがあり、雨天練習場も完備されている。公立校の中では比較的恵まれていると言えるだろう。

 膳所の代名詞となっているデータ班が発足したのは2017年4月。当時の上品 充朗監督(現教頭)は強豪校との能力差を埋めるべく、相手の打球を正面で捕れるようにすることでヒット性の打球をアウトにしたいという発想があった。だが、根拠となるものがないと、大胆な守備シフトを敷くことを躊躇してしまう。

 そこでデータ分析を専門とする部員を募集し、その年に2名が入部。秋はデータ分析をもとにした大胆なポジショニングが見事に機能して、8強入りを果たした。準々決勝で近江相手に1対3と善戦したことに加え、選手、マネージャー以外でも野球に携わる部員がいるという新たな試みが評価され、21世紀枠でセンバツに選出された。

 センバツでは初戦で日本航空石川に0対10の大敗を喫したが、中盤まではデータ通りの守備で失点を防ぐ場面が目立ち、観衆を湧かせた。この時に部長でベンチ入りし、この春に公式戦初采配を振るった清水 雄介監督は「生徒たちは楽しいと言っていました」と当時の選手の心情を代弁してくれた。

「どんどんパワー野球になっていますが、そうじゃない野球の形もあると思うんです。公立校でも甲子園に行って爪痕を残すじゃないですけど、何かを力を出す方法はあるんじゃないかと感じてくれるんじゃないかなと思います」

 それから4年。データ班の人数も15名に増え、大会期間中は手分けして県大会が行われている球場でデータ収集を行っている。そのデータをスマートフォンのアプリに落とし込んで、部員内で共有できるようにもなった。こうしたデータ班の働きに佐貫巧実主将(3年)もありがたみを実感している。

「データをもとに実際の試合でも守備位置を変更して、何個かアウトにできた打球もあったので、そういう点で凄く助かっています」

 データ班は他の班活動との掛け持ちが可能で、ボート班や山岳班に所属している班員もいる。班長の蒲生 麻琴さん(3年)もギター班に所属しているそうだ。野球一家に育ち、自身も野球好きだった蒲生さんは「データを集めて分析するというやり方をしたことがなかったので、新しい関わりが持てて、これから野球以外のことにも活用して行けるかなと思います」と充実した日々を送っている。

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