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センバツ出場の東洋大姫路 快進撃だった昨秋の山場は県3回戦の報徳学園との一戦【前編】

2022.03.11

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 今年のセンバツで春夏通算20回目の甲子園出場となる兵庫県の名門・東洋大姫路。1977年夏には全国制覇の実績があり、元メジャーリーガーの長谷川 滋利投手や原 樹理投手(ヤクルト)、甲斐野 央投手(ソフトバンク)など多くの名選手を輩出してきた。

 今年度限りで藤田 明彦監督と三牧 一雅部長の勇退、4月から履正社で長年監督を務めた岡田 龍生監督の就任が決まっており、今回のセンバツは藤田監督の集大成としても注目を集めている。最後の花道を飾るべく、練習に励んできた彼らのこれまでの戦いぶりを振り返った。

「藤田監督を甲子園に連れて行こう」

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主将の岡部 虎尉(東洋大姫路)

 藤田監督が2度目の就任となった2011年の夏に原を擁して甲子園8強入りを果たして以来、甲子園から遠ざかっていた東洋大姫路。この10年間の苦悩を藤田監督はこう振り返る。

「野球そのものを変えたわけではありません。子どもたちも決して野球に不真面目ではなく、一生懸命やってくれていました。たった数ヶ月に甲子園に行くことができて、そこで監督としての勝ち運みたいなものを使い切ってしまったんじゃないかと思っていました」

 昨夏は兵庫大会準々決勝で敗退。それから発足した新チームも「この10年で比較しますと、下の方です」と決して力のあるチームではないと藤田監督は感じていた。

 その中で強みにできると指揮官がいうのは、エース・22876投手(3年)の存在だ。2年春から公式戦の経験がある森を軸に、伝統の守り勝つ野球に舵を切ることを決めた。

東洋大姫路は守りというのが伝統なんです。それを原点に戻ってやり直そうかなと思いました」(藤田監督)

 21世紀に入ってからの東洋大姫路を見ても03年春のグエン・トラン・フォク・アン投手、06年夏の乾 真大投手(元日本ハム、巨人)、11年夏の原と好投手を中心とするチームが甲子園で8強入り以上を果たしている。今年のチームは森がいることで、そういった野球を再現できるチームだったのだ。

 そして、新チームが始まって1ヶ月近く経った8月中旬に藤田監督は3月末で監督を退くことを選手たちに伝えた。

 それを聞いた主将の岡部 虎尉内野手(3年)は「全く知らなかったので、驚きました」というが、これを機に「藤田監督を甲子園に連れて行こう」とチームに一体感が生まれた。

[page_break:エース森をみんなで盛り立てた]

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エース森をみんなで盛り立てた

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森 健人(東洋大姫路)

 秋の兵庫大会は西播地区予選代表決定戦の飾磨工戦から苦戦を強いられる。8回裏に2対2の同点に追いつかれ、なおも1死満塁というピンチを迎えたが、森が三塁牽制でアウトにしてこの局面を乗り切ると、9回表に1点を勝ち越して、県大会進出を決めた。

 県大会で大きな山場となったのが、3回戦の報徳学園戦。「大阪桐蔭に匹敵するくらいの力強いチーム」と藤田監督が話すほど手ごわい相手だったが、森が相手打線を抑え込み、スコアレスで延長戦に持ち込む。すると、10回表に2死二塁から9番・村崎 心捕手(3年)の適時打で勝ち越しに成功。秋の公式戦では25打数3安打と打撃面で苦しんだ男がこれ以上ない場面で結果を残した。森はその裏も0で抑え、1対0で勝利。優勝候補を接戦で下して、チームの勢いはさらに加速した。

 準決勝ではに1対4で敗れたが、3位決定戦で明石商に3対2で勝利して近畿大会の出場権を獲得。14年ぶりとなるセンバツ出場に夢を繋いだ。

 近畿大会では初戦で智辯学園(奈良)、準々決勝で大阪桐蔭塔南(京都)の勝者という組み合わせに決まり、藤田監督は最も厳しい組み合わせと感じていた。

 それでも強豪校が集う近畿大会で東洋大姫路は意地を見せる。1回戦の智辯学園戦では森が6安打完封。打線も少ないチャンスをものにして、2対0で勝利した。

 勝てばセンバツ出場がほぼ確実となる大阪桐蔭との準々決勝でも選手たちは力を出し切ったが、力及ばず0対5で敗戦。藤田監督は大阪桐蔭の強さについて、次のように語っていた。

「森はインコース攻めが特徴で、智辯学園さんはインコースの球を詰まらせて打ち取っていましたけど、大阪桐蔭さんはそのインコースの厳しい球をファールにできるんですよ。粘り負けで少し甘く入ったボールで痛打を食らっていましたね。やっぱりスイングスピードそのものが違うのかなというのは感じました」

 近畿大会8強で終わったが、ナイン同様、藤田監督も夢は諦めていなかった。(後編へ続く)

(取材=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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