目次

[1]「失うものはない」無欲で臨んだ九州大会
[2]鍵を握るのは1番・投手の塚本侑弥


「選抜出場校で、こんなに小さいチームはないでしょう。まさか、ここまで勝ち上がれるとは思っていませんでしたし、それは選手たちも同じだと思います」

 長崎県との県境、西松浦郡有田町にある有田工。町は日本の伝統工芸品の1つ、有田焼の産地として知られ、学校にも陶芸を学ぶことができるセラミック科がある。 野球部は2013年夏に、エースの古川 侑利投手(日本ハム)を擁して春夏通じて初の甲子園出場を果たしたことでその名を広めたが、 昨秋も九州地区大会ベスト4と快進撃を見せた。

 初の選抜大会出場をつかみ、学校としても2度目の甲子園出場の快挙をつかんだが、梅崎信司監督は苦笑いを浮かべてチームの戦力を冷静に分析する。

トーナメント表
浦和学院、敦賀気比などが属するブロック
大阪桐蔭、花巻東などが属するブロック
ベスト8以上の組み合わせ

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「失うものはない」無欲で臨んだ九州大会


「実力だけを見れば、佐賀県内でも決して上の方ではありませんし、みんな本当に小柄です。ウチがここまで勝ち上がれたのは、正直、運の要素も大きかったと思います。今回の県大会はシード制がなく、前評判の高かったチームが一つの山に固まり、また佐賀大会が終わってからも九州大会まで間が1ヶ月空きました。しっかりと対策する時間が作れ、またエースの塚本 侑弥(3年)にもトレーニングをさせることができ、九州大会での好投に繋がりました」

 昨秋にベンチ入りした選手の平均身長は169.9センチ。屈強な体格を持つ選手が集う甲子園ではお世辞にも大きいとは言えず、日本人成人男性の平均身長である172センチも下回る。

 またチーム本塁打は0本で、チーム打率も出場校中24位の.300。エースの塚本も常時は130キロにも満たない程と、数字だけを見れば梅崎監督の言葉も納得せざるを得ない。

 身長180センチを超える大型選手やタレント性を持ったスター選手もいない、いわば普通の公立高校である有田工だが、そんな中でも九州大会ベスト4に進出し、実力でセンバツ出場を勝ち取った要因には、選手たちの野球への真っ直ぐな姿勢があると梅崎監督は語る。

「うちのチームは地元の中学校から集まった選手ばかりで、みんな本当に素直です。特に今年はみんな本当に仲が良くて、九州大会に出るときも失うものは何もないと、前向きに望むことができていました。彼らもまさかここまで勝ち上がれると思ってなかったと思います」

 選手のほとんどは中学時代は学校の軟式野球部に所属しており、目立つような実績もなかったという。また小学校時代からのチームメイトだという選手も数人おり、まさしく地元の子が中心となって構成されたチームだ。

 主将の上原(かんばる)風雅捕手(3年)も、一番の持ち味はチームワークであると胸を張る。

「上下関係がないと言ったら悪く聞こえるかもしれませんが、でも学年関係なくダメなところはダメと言える信頼関係があるので、それは自分たちの大きな武器だと思っています」

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