今年のセンバツ出場が有力視されている明秀日立(茨城)は、金沢監督が提唱した独自の打撃理論で、DeNA・細川 成也外野手、巨人育成・増田 陸内野手の2人を筆頭に多くのスラッガーを育ててきた。金沢監督はその前提として、「強靭なフィジカルが必要」と語る。

 その真理にたどり着くために、明秀日立の高萩グラウンドを訪れた。

打球が飛ぶ経験でさらにウエイトトレーニングに励む


 昨秋の県大会準々決勝、ひたちなか球場で明秀日立の選手たちの体つきを見た時、かなり鍛えられていた印象を持った。胸筋、太もも周りが実に太かった。そして選手たちは強烈な本塁打を放ち、送球1つ1つも鋭く、秋の段階としては一段階上を行っているチームだった。

 明らかに体つきが他のチームと違っていたこともあり、体作りの秘訣を探ると、新チーム結成後から徹底して、ウエイトトレーニングを行っていた。最初から意識が高いわけではなかった。金沢監督に叱咤激励を受け、意識が変わり、体重が増えていった。パワーアップを実感し、よりウエイトトレーニングに対して懸命に励むようになっていったという。

 その背景を知るため、1月のトレーニング時期に取材を行った。

 練習最初に選手たちが行っていたのは30分間走。歩幅を合わせ、グラウンドの中を走り続ける。そして主力メンバーは高萩グラウンド近くの高萩市衛星記念公園でダッシュや、重りを持って中距離走を行う。インターバルの間には腕立て伏せを行うなど、ここまでは「走り」と「体幹強化」を行う。

 公園でのトレーニングが終わった後、ウエイトトレーニングに取り組むが、オフ期間、シーズン期間で考え方が異なるという。オフ期間はベースアップ種目として、「スクワット」「ベンチプレス」「デッドリフト(背中、ハムストリングスなどを鍛える種目)」の3種目を中心に取り組む。体幹部の筋力をつけることを目的として、最大筋力アップを目指す。

 スクワットは足と太腿四頭筋、ベンチプレスは胸と上腕三頭筋、そしてデッドリフトで背中などを鍛えていく。

 シーズン中はフォワードランジ(片足を一歩前に踏み出すなどの筋力強化)といったスピード種目に励む。ただ取り組むのではなく、明確にどんな目的で筋肉を鍛えていくのか、どんな種目で鍛えていくのかが決まっていれば、フィジカルアップにつながりやすい。選手たちは休みなく、器具に向き合う。叫び声を挙げながら器具を持ち上げ、サポートする選手が励ます。体づくりへ真剣に向き合っている姿がそこにはあった。

 こうした光景が当たり前になるまでには、金沢監督の「叱咤」もあった。主将の石川 ケニー外野手(2年)は「ダラダラとやっていたと思いますし、椅子に座りこむことが多かった」と振り返る。しかし、目一杯取り組み始め、三日坊主で終わらなかったのは、体が大きくなったことで遠くへ飛ばせる実感があったからだ。

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